『ペペロンチーノ』#51

ニンニクひとつかふたかけら、乾燥トウガラシ一本(これは輪トウガラシでもいい)、オリーブオイル大さじ一杯、スパゲッティは140gくらい、これら4点と塩、それさえあれば少なくともペペロンチーノにできる。量は、私にとっての一人前、一食ぶん。麺は少し多めかもしれない。ふつう80〜100gで一人前。
それでは取り掛かろう。大まかには、こうだ。麺を茹でる、オリーブオイルとニンニクと唐辛子を熱してソースを作る、茹で上がった麺をソースと会える、こんなところ。いざ。
コンロで使うのは、麺を茹でる用の鍋と、ソースと麺を和える用のフライパン。出しておく。
麺を茹でるときにこぼれなさそうな大きさの鍋に水を500ccくらい(レシピ本に従うと云リットル使わすけど、1人分には勿体ないよね)入れて沸かす。フライパンにはオリーブオイルを入れとく、火はまだ。
湯を沸かしているうちに、ニンニクをつぶす。親指の付け根でまな板に押し付ける。皮は、潰したときに剥きやすくなるのでそのとき剥ぐ。根元の硬いところは切り落とす。私はニンニクはコロッと入っているのが好きなので刻まない。潰したニンニクは、フライパンへ。唐辛子はヘタ側の硬いところをちぎり、中のタネを取り出しておく(タネは辛い。辛いのが良ければ、後々使う)。それもフライパンへ。2つを入れたら着火。火がフライパンに当たらないくらいの弱い火加減でじーわじーわと熱して、ニンニクの旨味とトウガラシの辛味をオリーブオイル染み出させる。ニンニクと唐辛子は焦げないようにじっくり火を通す。ニンニクとトウガラシの香りを鼻に捉えられたらストップだ。火を止める。
湯が沸いたら塩を小さじ一杯入れて、麺を茹でる。私はφ1.6mmのスパゲティ、12分を目安に茹でる。よく、芯が少し残るアルデンテにと言われるが、安いスパゲティは芯をちゃんと固く残して茹でると旨味のない粉を残すだけなので注意。一本食べて、好みは人によりけりだが、コンビニの赤飯おにぎりのようだったらよい。ここで、茹で上がる前に、茹で湯30ccくらいをソースに加える。ソースをまた弱い火でじわじわ温めながら、油と茹で湯が混ざり合うようフライパンを揺する。暇が見つけられたら、皿を出しておいて、茹で湯を少し入れて温める。そのうち麺が茹で上がったら湯切りして、フライパンへ投入。ソースと麺をぐるりぐるりと混ぜ回す。フライパンをあおれなくても結構。また一本味見をしてみて、物足りなければ塩を入れるなどして調節する。このとき、あの食卓塩以外の塩があれば味わいが広がって愉しい。
できあがったら、皿から温め湯を捨てて、フライパンからザッと移す。中央が盛り上がっていて唐辛子が添えられていれば見目もよい。
この、アーリオ・オーリオ・エ・ペペロンチーノ、大学生のうち一人暮らしをしていた頃にやたらとハマった。バンビーノを読んだことと、それに際して初めの料理本をブックオフで、ラベットラの落合シェフのを買ったことが事の始まりだった。とにかく作った。西友の安い食材で、とにかく作った。ニンニクの火の通し具合と味の出し方、塩味の付け方と、茹で汁を加えた後の乳化のさせ方、これで自分の舌の満足度が左右されるのだとわかった。ブロッコリーを加えたり小松菜を加えたりして彩りと栄養バランスを考えたりもした。二十歳を迎えるや否やのあの頃はとにかく、「ひとつのことに“ハマっている”そして“極めようと試みている”という状態がかっこいい」と思っていた。それは今も変わらない。今も変わらなくて、友達3人での新年会に食べた貝柱とアスパラの塩炒めが旨くてそのニンニク風味から思い出されたハタチのペペロンチーノ。

#ペペロンチーノ #180207

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