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ジーナ式の新生児期の授乳について、助産師目線で考えてみる(その1)

二児の子育てをしている、病棟勤務助産師のいーです。

主に、第一子の0歳期でお世話になったジーナ式。
・スケージュールを決めることで授乳を制限して、母乳育児が上手くいかなくなるんじゃないの?
・ジーナ式を軌道に乗せようとミルクを足して、どんどん母乳の量が減ってしまった。
という方も居られるかもしれません。

実際に私も、(助産師なのに恥ずかしながら)母乳育児に関する知識が不足しており、希望していたようには母乳育児をできないままジーナ式のスケジュールを実践していました。

助産師として母乳育児について学び直している今、再度「母乳育児とジーナ式」について、本を引用しながら考えてみたいと想います。
全3回に分けてまとめているので、参考にしてみてくださいね。

今回は、あくまで新生児期、母乳育児が確立するまでの時期について考察しています。


概要

ジーナさんの生後すぐの母乳育児への考え方(私なりの意訳)は、

①生後すぐは寝てるからといって何時間も授乳を開けちゃダメ(これがデマンドフィードだめ!の意味と予測)
②生後すぐ(0日目から!)からの頻回授乳を推奨
③1週目で母乳が軌道に乗る人というのは、0日目から休まず3時間おきで授乳してる人を指している
④児に合わせて授乳すると自然と昼夜逆転が起こる
⑤成長期は頻回授乳で分泌増やす(一般的にはこれが正しいと指導する)のではなくて搾乳で増やす!
⑥できるだけ早くから入眠と授乳の癖づけを防ぐ
⑦生後すぐからのジーナ式はチェックポイントを守って!

という感じです。

そして他のスケジュールはさて置き、
1~2週目のスケジュールだけは、絶ッ対に
「生後1-2週目(生後0-14日目)」を指すのではなく、
「ジーナ式開始できる基準になって1-2週目」を指しています!!!
ここだけは譲れません‼︎ (誰?)

それでは、落ち着いて(←私が)それぞれ見ていきましょう。
①生後すぐは寝てるからといって何時間も授乳を開けちゃダメ については、こちらの記事をお読みください。


この記事では
②生後すぐからの頻回授乳を推奨
③1週目で軌道に乗る人 について考えていきます。
それでは、「赤ちゃんとおかあさんのための快眠講座 改訂版」を引用しながら、以下に考えをまとめていきます。

②出産直後から「頻回に少量ずつ」授乳する

母乳の出をよくするには、出産直後から「頻回に少量ずつ」お乳をあげることが必要不可欠です。

カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版p78

これは一般的な母乳支援の考え方と一致します。
「少量ずつ」という所が解釈しづらいのですが、ここは「時間」と「量」で分けて考えてみます。

時間について

吸わせる時間については支援者によって意見分かれそうですが…
まずは短時間で、そして母(の乳頭の強さ)も子(の体力)も出来るようになれば時間を伸ばしていく、という指導はよくあるものです。
母子の様子に合わせて徐々に伸ばして、赤ちゃんが吸いたいだけ吸わせる、という点では間違ってないです。

量について

赤ちゃんの胃の大きさは、飲む母乳の量でビー玉ぐらいの大きさ(5-7ml)から徐々に大きくなります。そしてこれは、初乳の分泌量に見合っていると言われています。
頻回にあげることで徐々に母乳が増え、それに合わせて胃が大きくなります。なのでこの時期は頻回に吸わせて、母乳増やす&胃をそれに合わせて大きくする時期です。
「授乳を制限して少しの量から飲ませる」のではなく「少ししか出ない時期からしっかり吸わせる事で赤ちゃんとお母さんのペースで胃を大きくしていく」という事を、ジーナ式でも目指していると思われます。
これは書籍からはかなり分かりにくいです…

3時間経たなくても泣いたら授乳

しかし、3時間たつ前にお腹がすいているようであれば、迷わず授乳してください。

カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版p80

ココ最重要ポイントです‼︎私が先生なら絶対にテストに出すとこ‼︎
ジーナ式でもそうでなくても、新生児期の授乳では、
・お腹がすいているなら飲ませる
・最長でも開けるのは3時間(特に生後1-3週間あたり) が大事なのです!

これは、
・赤ちゃんは一回に飲める量が少ないので、3時間以上開けると、脱水や体重増加不良を引き起こすリスクがある
・母乳育児を軌道に乗せるためには、生後約3週間までは1日に8〜12回以上の授乳をすることが望ましい(3時間おきで1日8回です)
の母子両方の面から大切になります。

③1週間で授乳が軌道に乗る人は「0日目から休まず頻回授乳している人」を指す

病院にいる間に3時間おきの授乳を続けていれば、1週目の終わりには、授乳も軌道に乗っているはずです。

カリスマ・ナニーが教える 赤ちゃんとおかあさんの快眠講座 改訂版p.81

ここでの、「授乳も軌道に乗っているはずの人」は、「産後すぐから」「休まず3時間おき(もしくはそれ以上の頻度)の授乳を」「正しい吸わせ方で」「ミルクなどを足さずに」している人だと思われます。

日本の産院でこれが出来るところ…どれだけあるんでしょう…?
状況的には産後速攻で母子同室になってたらそうなのですが、毎回の授乳を手厚く見てくれる病院じゃないと「正しい吸わせ方で」は難しいですよね。

というわけで、上記の産後すぐ、休まず3時間以内で、正しい方法で、何も足さずに授乳、をしているのでないなら、母乳分泌増加のためにはまずは頻回授乳が必要かなと思います。特に新生児期は。

混合ならいいのかもしれないと思うところですが、この時期にミルクの量を増やしすぎる事は、その後の母乳分泌を妨げる可能性もあります。ミルクの量を増やすことで授乳回数や授乳量が減る→1日に8回以上の十分な授乳ができない→母乳分泌が確立しない
といった流れです。
母乳分泌が増えなくなるリスクも考慮した上での選択が必要になります。


今回はジーナさんの母乳育児への考え方について、私なりに考えてみました(その2に続きます)。
母乳育児を頑張っている、頑張りたいジーナママたちの助けになれば幸いです。



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