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Glyphsでローマン体に挑戦(2019/3/29若干加筆)

ここのところ温めていた書体のアイデアがありまして、せっかくだからフォントにしてみようと思い立ちました。
アイデアの概要を書いておきます。ローマン体を骨格としたもので、ステムの細い部分が曖昧になったような、ちぎれたりかすれたりしたような書体を描いてみたい、というもので、名前は「Obscure(朦朧とした)」と決めていました。
ネヴィル・ブロディが90年代にデザインした書体「FF Blur」という書体があります。サンセリフ書体をPhotoshopでぼかしフィルタをかけたような、溶けたような感じのフォントがあり、Obscureはそのオマージュです。

で、Illustratorで寝る間を惜しんでちくちくと描き、Glyphsに取り込んだのが上の画像です。初めはDidotあたりを観察していたのですが、結局、骨格として参考にしたのは、CaslonとBodoniです。ローマン体ですので、最初は流麗な曲線を描こうとしていたのですが、モダンな感じを取り入れたくて、あえて直線の要素を少し取り入れています。朦朧とした感じというより、見ようによってはステンシル書体のようにもなっているかなぁという感想です。

「Q」は悩みどころでしたが、ここも直線にしたことで、現代的な感じは多少出せているかなぁと思っています。

細くなっている部分は途切れたようになるようになんども書き直し、目を細めてCaslonやBodoniなどのローマン体を観察したりしました...。
ステムやセリフの部分などはパーツで細かく描いて組み合わせていたのですが、どうにも完璧にモジュール化するとローマン体では破綻が生じる気がして、パーツをちまちまと調整しています。

いろいろと細かくパーツを作りすぎて、コントロールが大変だったのですが、このフィルタが割といろいろ解決してくれました。ありがたや。.woffフィルも用意してWebフォントとしてエンベッドして使うことも想定していますので、アンカーポイントは少しでも無駄のないものに近づけていかないと、サボればサボった分だけ、ロードするときに遅くなってしまいます。

それと、幅の広いグリフ(Mなど)はメトリクス情報を書き換えるのですが、コレを更新しないと「あれっ」ということがあるのでご注意。


大文字と数字、役物を描くだけでかなり消耗したので、今回は小文字はやめておきました。集中力を保つ自信がちょっとなかったもので(笑)。そのうち小文字に挑戦するか、スモールキャップスにするのもいいかなぁと考えております。(後述しますが、結局小文字も作ることに)

サンセリフやドットフォントよりもずっと難易度の高いローマン体ですが、Gryphs上でもパスを整理したりと調整をして、なんとかフォントにできました。.otf/.ttf/.woffに書き出し、すかさずSTORESで売っています。WebフォントはPV数などの制限はなく、CSSに@font-faceでエンベッドして、サーバに.woffファイルをアップロードすれば使えます。
お値段ですが、そもそもわたくしはタイプデザイナーでもありませんし、もともとロゴ案を作った時の数文字のグリフを出発点に、足りないところを書き足した程度のものです。わたくしなりに気を配って作ったものですが、ご購入いただいた方にはカジュアルに使っていただきたいので、お値段はフォントとしてはかなりお安めに設定したつもりです。

追記:
うっかり小文字にも着手。それと同時にカーニング情報をちゃんと持たせようと設定しているのですが、なかなか難しいです。いまこんな感じです。

こういう感じでペアカーニングの情報を設定していきます。

小文字は大文字よりもカーニングがシビアになるので、細かい設定が必要なのですが、結構細かく設定したにも関わらず、万全とは言えない気がします。

一応STORESで小文字収録バージョンも売っております。万全ではないのですが、プロポーショナルメトリクス情報も持っているので、ある程度のオートカーニングも効くと思います。ただ、万全ではないので、気になるところは手動でお願いいたします...。
こちらもカジュアルに使って欲しいので、お値段は抑えております。もちろん、Webフォントも収録しております。

https://monte008.stores.jp/items/5bfe5473690db735d2c9db9a

Webフォントサービスを片っ端から試してみたいですし、オンスクリーン組版ももっと探求していきたいです。もしサポートいただけるのでしたら、主にそのための費用とさせていただくつもりです。