みなさん、こんにちは！
I’chiba’nです！

本日は前回に続き、「DTMer・作曲家の目線から見るK-Popの特徴」
下編となります！

今日の記事は、よりK-Popぽい楽曲（韓国アイドル曲風）を作るため、
試してみるといいポイントを紹介させていただきたいと思います！

チームを組んで共同制作してみよう

韓国の音楽市場は日本と同じく、コンペで楽曲を決めることが多く、
一つの案件に対し、
少なかったら数十曲、多ければ数百、数千曲の中で
選ばれる必要があるため、
制作曲の数を増やすことはもちろん、楽器、作詞、仮歌など、
固定でいつでも対応できるようにしています。
工場にそれぞれ持ち場があるように、
さまざまなジャンル、楽器に対応できるメンバーで
チームを組んで制作することが多いです。

楽曲制作をチームで行うといいこと：

• 担当パート、楽器などが決まっているので、楽曲制作時間短縮

• 各自得意のパートでチームに貢献するので、楽曲のクォリティーUp

• 人数が多い分、自分にはないアイディアからインスピレーションされやすい

• 楽曲パートごとでのコンペ、作詞コンペなどを通して少しでも多くの人の好みが反映された楽曲が作れる

工場化することで得られる頂点を
極端化させるやり方です。

アーティスト例

①HYOLYN X CHANGMO - Blue Moon
作曲、アレンジ：Groovy Room

Groovy Roomは、GYUJEONG、Lil Moshpit（Hwuimin）二人組の作曲チームです。

メインになるジャンルはFuture Bass系を中心にさまざまなEDMをベースにしたHiphopトラックを制作するチームですが、
独特な音色、ポピュラーからマニアックなコンセプトまで対応できる彼らの音楽性を認められ、さまざまなK-Popアーティストとのコラボなども行っています。

GYUJEONG氏がピアノ、ギターなど、リードパートを、
Lil Moshpit氏が楽曲のリズムとシンセなどを担当することが一般的な流れだと知られています。

各メンバー自分の頂点を強調させる方向にワークフローを決めているのです。

②Blase, Black Nut, Jimmy Paige, Dok2, SMUGGLERS - Grrr
作曲、編曲：SMUGGLERS

SMUGGLERSは、多くの作曲家、ビートメイカー所属しているチームです。
メインになるジャンルは、Trap, Drillなどのヒップホップビートを制作しています。

SMUGGLERSは、楽曲依頼がくると、大人数のプロデューサーが各自自分のビートを提出、
SMUGGLERSの名義でまとめて提出になるので、
選ばれる確率を上げています。

なお、大人数の作曲家が所属しているので、いろんなタイプ、ジャンルの楽曲制作に対応できる特徴があります。

③KARA - STEP
作曲・編曲：Sweet Tune

Sweet Tuneは、ハン・ジェホ、キム・スンス、二人をメインに、
2023年現在は12人で活動している作曲チームです。

最近は前ほど活発に活動しているチームではありませんが、
infinite, KARA、日本ではSMAPとアイドリングなどの楽曲をチームで制作、
Sweet Tuneの名義でヒットさせています。

♡
チームで楽曲制作をすると、
メンバー通しでメロディーの意見を合わせたり、
同じトラックに各自がメロを書き、評判がいいメロディーを選ぶ中で、
悔しいことも、学べることもたくさんあるかと思います。

一人での楽曲制作も好き勝手に自由に作られる魅力がありますが、
チーム活動は自分の実力を伸ばしてくれることはもちろん、
楽曲制作のアイディアもたくさんもらえるし、
より効率的な作業ができるので、韓国はもちろん、
アメリカ、そして日本でも一部の方はチームを組んで楽曲を制作しています。

みなさん、ぜひ覚えてください。
音楽は絶対一人では作れません。
たくさん人に絡まって、助け合う中で個人の実力も伸びます。

たまには部屋から出て、
ソングライティングキャンプなどに参加し、
自分と違う人の壁に思いっきりぶつけてみましょう。

メロディーは適当（クール）でいいよ

’は？音楽はメロディーが一番大事なんだけど、何言ってるの？’

と、思った方、落ち着いてください。
その発想はとても正しいです。

僕が今回わざわざ「適当」という言葉をタイトルに使ったのは、
K-Popの楽曲制作順番に基づいています。

こちら、前回の記事に書かれていた文書となります。

ほとんどのK-Pop (韓国アイドル系)は、
楽曲のトラックを作った人（トラックメーカー）と、
メロディーを書いた人（ソングライター、トップライナー）が違います。

トラックメーカーの仕事はわかるとして、
トップライナーはどんな仕事？だと思った方に簡単に説明すると、

出来上がってるトラックにメロディーをつけ、
仮歌を録音する仕事です。

仮歌の方の中には、自分の楽曲を作っていたりする、
シンガーソングライターの方が多く、
できているコードに感覚的で良いメロディーを乗せる作業に
特化されている方が多いです。

K-Popの制作現場では、できたかっこいいトラックに、
トップライナーさんがハミング、鼻歌など、口ずさんだ
「適当」なメロディーがそのまま本番まで使われることが多いです。

もしくは、メロディーではなく、
セリフやラップみたいなものが、
曲の一番大事なサビメロにくることも多いです。

メロディー例

①LE SSERAFIM - Unforgiven

(1:40から〜)
楽曲の一番ポイントになるパートですが、
アレンジも逆にシンプルになり、歌メロはなく、ラップでもなく、
セリフみたいなものが入っています。

でも、かっこいいですね。

②STAYC - Poppy

(0:46から〜)
この曲も同じく、メロディーだとは言えない何かがサビに来ていますね。
でも、このシンプルさが後半では（2:30から〜）、
ボーカルアドリブと合わさって綺麗で可愛く聞こえますよね。

♡
「適当」に作られたように感じられるこのメロディーは、
実は、「人間の感覚」という一番計算的で確実なデータを
反映しているものです。

K-Pop楽曲を聴いてみると上記の曲のような、
メロディーと呼べないものから、
コードに合わない不協和音、あってないテンション音などが
結構頻繁に入ってますが、
「かっこよく聞こえればOK」とクールに無視しています。

作曲家としては、
細かいところもこだわってスケールを選んだり、
テンション音をよりよく聴かせるアレンジにしたかったり、
さまざまな欲心があるかもしれませんが、

細かいところに気を取られていて、
より大事なことを忘れてないかについて常に確認する必要があります。

音楽は結局人の耳で判断するもの、
最終的には「かっこよく聞こえればOK」な曲もありますので、
たまにはみなさんも鍵盤と五線譜ではなく、
自分の歌声とマイクだけでメロディーを乗せてみてください。

難しくない、
適当に、
クールに。

自分の世界観を作ろう

K-Pop楽曲の歌詞をみると、
翻訳されていても意味がわからない歌詞が多いです。

何が言いたいのだろう、と
どこか闇を感じる曲が多いですね。
それはそのグループ、もしくは曲のコンセプトが
理解できてないからかもしれません。

世界観例

①BTS - Map of the Soul 7

BTSはデビューの頃から、「成長」をキーワードで、
コンセプトアルバム（アルバムの楽曲が一つのストーリーになるアルバム）を制作してきていました。

特に、Map of the Soul 7はスイスの精神分析学者、Carl Jungが提案した、
心理学理論を元ネタにしています。

ペルソナ、コンプレックスなど、ユングの理論をもとに、
自分自身のエゴを探しに行くコンセプトになっている、BTSなりの心理学書であり、哲学書であるのです。

こう言った風に、
K-Popにはただのラブソングだと思った楽曲に違う意味があったり、
何かしらの大きいコンセプトや設定を持っている場合が多いです。

②ユンナ - EVENT HORIZON

ユンナ - OOrt Cloud

去年、韓国で一番流行った楽曲だと言ってもいいぐらい、
アイドルの中でもいい成績を維持した、ユンナのEvent Horizonです。

この楽曲が収録されたアルバム、「The End Theory」は、
曲だけを聞くとただのラブソングのように聞こえますが、

実は天文学を元に、地球温暖化、ボイジャー号、
ブラックホールなど、
宇宙という大きいスケールのものを歌うアルバムです。

歌詞の内容なども、かなり理学的根拠を持っていたりして、
韓国でとても大きい人気を得たアルバムです。

③ (G)I-DLE - Nxde

オペラ「カルメン」の「ハバネラ」をサンプリングして作られたこの曲は、
ヌードを「人の本来の姿」という意味に再解釈し、
言葉から思い出す猥褻なイメージを批判する内容をしています。

韓国では数年前から女性の人権やフェミニズム運動などが話題になり、
そういった社会像を表現した曲だと思われます。

♡
このように、K-Popはチームが持っている世界観があったり、
各アルバム、各曲に詳しいコンセプトをつけ、
詩をストーリー化させることが多いです。

みなさんも今作る曲の歌詞は、
コンセプトのあるものにしてみるのはいかがですか？

本日の記事は、
K-Pop風の楽曲を制作する時、
よりやってみるといいことを紹介させていただきました。

上編、文化やジャンルの理解から、
中編、本格的なトラックメーキングのコツ、
そして最後に、
下編、試してみるといいこと

まで、DTMer,作曲家の目線から見るK-Popを紹介させていただきました。

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