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[言葉] 和暦と西暦

元号が変わる、というのは大きな区切りの一つです。 
平成の最後のほうは、「平成最後の」というフレーズが枕ことばとして多用されていましたし、今は「令和最初の」というものがそれにとって代わっています。  

一方で、「東京2020オリンピック」という表記にみられるように、日本という国はときどきで和暦と西暦を絶妙に使い分けている国なのでしょう。

では、日本の会社は暦をどのように使っているか、つまり和暦と西暦、どっち使ってるの? ということついて、上場会社等が提出する書類である、有価証券報告書(有報)を例に、少し見てみたいと思います。

さて、有報の開示に関するルールである「企業内容等の開示に関する内閣府令」の第三号様式とでは、有報の表紙ページにある【提出日】は「平成 年 月 日」と表記されています。つまり、和暦が指定されています。

ただし、実務上は、西暦和暦どちらでも問題はないとされています。以下の記事では、2018年3月期時点で既に500社以上が西暦になっているそうです。

有報の日付表示、あなたは和暦派?それとも西暦派?【1分で読める!「経営財務」記者コラム】

つまり、和暦から西暦へ表記を変える会社が増えてきている、ということです。

そのような流れのなかで、財務会計基準機構という組織が2019年3月に発行した、「有価証券報告書の作成要領」に以下の、新たな一文が加わりました。

 ③ 有価証券報告書の作成にあたっては、和暦と西暦のいずれも使用できるものと考えます。
(「有価証券報告書の作成要領(平成31年3月期提出用)1ページ 留意事項より抜粋」)

財務会計基準機構は、日本の会計基準を決める「企業会計基準委員会」を運営する公益財団法人。ここが発行する作成要領は、有価証券報告書を作成する上での記載事例や留意点を記載している、公式マニュアルのようなもの。

そこに上記のような一文が加わるということは、西暦和暦どちらも使用OKという実務上の取り扱いを明文化することに他なりません。

実務上は、西暦のほうが過年度比較をする際にわかりやすいということもありますし、英文開示する、なんてことを考えると最初から西暦にしていたほうがよい、ということもあります。今後和暦で有報を作成する会社はますます減るのではないかと思います。

今回の改元は平成へのそれと違って、社会に影を落とさない区切りでした。そんな元号のかわり目で、企業が法律に則って出す書類から、元号(和暦)が消えていくのは、少し寂しいですね。

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