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2022年 第34節 アビスパ福岡vs浦和レッズ レビュー

試合内容




前節の勝利で自動降格の可能性はなくなっていたものの、J1参加プレーオフとなる16位の可能性は残すという、心理的に難しい状況での試合となった。それでも緩むことはなく、浦和のパスワークをシャットアウトし続け前半は0-0。後半11分に岩波のスーパーミドルによって失点したものの、4分後には湯澤のピンポイントクロスをフアンマが巧みに合わせてすぐさま追いついた。
そのまま1-1で終え、長谷部茂利監督と、この試合が浦和レッズでのラストマッチとなったリカルド・ロドリゲス監督との、2020年のJ1昇格争いから続くある種のライバル関係は決着がつかず。
それでも試合後の両ゴール裏の反応からわかるように、この試合への満足感には大きな違いがあったといえる。
最終順位は14位。アビスパ福岡にとって、非常に苦しい1年だった。新型コロナウイルスが最大の敵となり、一時は自動降格圏に沈んだ。それでもブレることはなく、全体のコンディションが向上した終盤の3試合は2勝1分で残留を達成。得点数はリーグ最少、遅攻の質はなかなか上積みがみられないなど来季への課題は少なくないが、報道されているように長谷部茂利監督が続投となれば、どこにとっても難敵となるだろう。
正直なことをいえば、個人的にはチームのほとんどがコンディションを崩した時点で、残留すれば今季は100点満点だと思っていた。それほどに厳しい事態だと感じていた。それをチーム一丸となって乗り越えたアビスパ福岡に、「強くなった」と感じた2022シーズン。
潤沢な資金はないため、移籍市場ではおそらくさまざまなことがあるだろう。けれどまずは、2023シーズンをJ1で戦えることをひたすらに喜びたい。
また自分たちの確固たるスタイル、それに適した選手という躍進するための条件は満たしており、多少入れ替えがあってもアクシデントさえなければ、来季は順位を上げる公算は大きいと考える。来季は今季のルヴァン杯で少し夢見たユニフォームへの☆を、現実のものとすることを期待したい。

採点(及第点5.5)、寸評

GK 31村上昌謙  6.5
28分の被決定機を、正面とはいえ止めたことは大きかった。積極的に飛び出し、裏のスペースへ飛び出してくる相手もケア。

DF 20 三國ケネディエブス 6.0
パスミスはいくつかあったものの、守備面では堅実なパフォーマンス。来期はより期待できそうだ。

DF  3 奈良竜樹 7.0
3バックの中央に位置取り、タイトな守備とカバーをバランスよく披露した。さすがのひと言。

DF  5 宮 大樹 6.5 
守備職人らしく、この日も身体を張った。守備の強度はこの2年で大きく向上した。

DF  2 湯澤聖人 7.5
前節に続き、質の高いクロスでアシストを記録。攻守に全力で戦い続けるなど、終盤戦のプレーには目を見張るものがあった。MOMを、フアンマと悩んだ。

DF 13 志知孝明 6.5
右の湯澤ほど目立ちはしないが、確実に左サイドの安定感を増してくれた。今シーズンを経て、裏を突かれるケースが減少した。

MF 40 中村駿 7.0
チーム最長となる、12kmを超える走行距離を記録。終盤戦の結果の上昇と、彼のコンディションの上昇は比例していた。

MF  6 前 寛之 6.5
タックル成功率100%(5回中5回成功)という数字が表すとおり、守備面を中心にキャプテンらしい働き。岩尾との、2020年のJ2最高のボランチ2人による対決は見応えがあった。

FW 17 ルキアン 6.5 (88分OUT)
得点とはならなかったが、積極的にゴールを狙った。ゴール数こそなかなか増えなかったものの、シーズンをとおしての貢献度は攻撃陣上位だった。

FW 11 山岸祐也 6.5 
エースストライカーらしく、厳しいマークに苦しむ。それでも後半は巧みにボールを受け、チャンスにつなげた。

FW  9 フアンマ・デルガド 8.0 (80分OUT) MOM
個人的には、前節に引き続きMOM。得点や競り合いはもちろん、この試合ではテクニックも見せつけた。3試合連発で、残留に多大な貢献。

途中出場

FW 16 渡 大生 6.0 (80分IN)
労を惜しまず、全体のバランスを崩さないようにプレーした。

FW  7 金森健志 採点なし (88分IN)
守備に奔走。試合後には、感極まったような姿も。

監督  長谷部茂利 7.5
苦しいシーズンも、コンディションが向上した終盤戦では「らしい」試合運びで勝ち点を積み重ねた。この試合では拮抗した状況に交代を悩んだかもしれないが、最終的にあまり交代枠を使わずとも貴重な勝ち点を獲得。来季の続投を、切に願う。

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