気楽に! 独学突破の弁理士試験

友人から弁理士試験を受けると聞き、力になるべく独学受験を振り返ったことからの派生記事。同じく独学合格の八女さんを巻き込んで書きました(多謝!)。


はじめに

弁理士資格、「必要性・緊急性がない」が「関心あり」の人が観測の限りでは結構多い。

多くの企業の知財部門や技術系部門では、弁理士であろうとなかろうと仕事内容や待遇に影響しない。その割には試験合格にお金や時間、労力がかかる。「興味はあるけど……」という話をよく聞いた。

そんな人がもっと気軽に勉強始めたら良いんでは!と思っています。

白河は独学が気軽・気楽でとても良かったので、ご紹介です。
(勉強法は人それぞれだと思うので「お勧め」というほど強い気持ちはないです。)

コストをゼロにはできなかろうが、コスト総量又は単位期間あたりのコストを小さくすることはできる。それが独学ならやりやすい。

以下、まずは独学の楽さを金銭面、精神面から述べ、我々の勉強法について述べます。

八女  独学ストレート合格。論文選択科目のみ免除。業務でも勉強していたので試験対策前にある程度の知識があった。

白河  独学ステップ・バイ・ステップ合格。2年目から八女さん法を参考に勉強方法変更。論文選択科目のみ免除。スタート時は非知財部門・社内研修を受けた程度のほぼ初学。

独学は楽! 「費用」編

白河は独学と言いつつ、ベースは八女さんの勉強法。よって用いたものはほぼ同じです。リンク先は同シリーズの最新っぽいものです(記事執筆時)。

①受験料+郵便料+写真印刷代 1万3千円
②試験日の交通費
四法対照法文集 4千円
④(短答)過去問参考書1,  計8千円
⑥(論文)過去問参考書 7千円
⑦(口述)参考書 5千円
⑧(口述)模試 1万円

八女さんは5万円以内、
白河はこのうち①②が×3、④が×2で5万円をオーバー、しかし8.5万円は下回りました。

とはいえ遠方の方は②だけで数万、というケースもあり総額そのものはアテにならないね。

予備校を検討しなかったから具体的な費用感がわからないのですが、一説には数十万とも百万(?)とも聞く。それに比べるとだいぶコンパクトな支出でしょう。
資格が必須でない、弁理士登録する予定が見えない状況で「高いお金をかけて資格を取るかどうか」悩む人を見聞きします。「数万円でもっと気軽に受験する」もあるよ、と書いておきます。
金銭的に余裕がない学生さんにも良いと思う。

ところで並べて見ると論文の参考書はお安め感ありますね。短答合格者しか買わないから短答過去問より数が出ないだろうに&ボリュームも結構あるのにこのお値段とは。

独学は楽! 「精神」編

独学受験は金銭面もそうですが、精神面も「楽」です。

①無理しない! 他のやりたいこと、やるべきことをできる。
②比べない! のんびりマイペース。
③カスタマイズ! 自分に向いた勉強方法でできる。

①無理しない! 他のやりたいこと、やるべきことをできる。
特許事務所以外の方にとって、弁理士資格を取ることは「不要不急」であるケースが多い。別に資格がなくても仕事でき、評価もされる。

一方で面白そうなプロジェクト、出世の足がかりになりそうな赴任など、ハードだけど「今だからこそ」のチャンスは急に降ってくる。
主の勤め先以外の仕事でもそう。
プライベートのタスクや趣味もある。

弁理士資格が不要不急である以上、これらを我慢して勉強することや、これらと重なったときに後ろ髪ひかれることはストレスである。

独学なら勉強ペースは自由でスケジュール変更可能。他の優先事項が生じたらがっつり休むも自由にできる。

八女さんは仕事のために、白河は毎試験後やる気を失い、全く勉強しなかった時期がある。また、勉強期間でも、仕事以外のやりたいことも避けず調整した。

弁理士資格が必要な方、1年でも早く取得したい事情がある方は「全力疾走がよろし」だが、不要不急なら「歩いて休んで」もアリでしょう。

もとが「無理せず」「休んでもいい」だから、「今年は仕事が忙しくなるかも……あまり勉強できないだろうから来年に……」など気にする必要がなく気軽に始められます!

②比べない! のんびりマイペース
予備校に関する誤解があるかもしれませんが、イメージは十人数十人が同じタイミングのカリキュラムをこなすもので、同級生(?)の勉強ぶりが見えたりするものです。

白河はまず決められたスケジュールについていくというのが不得手な上に(これは①に通ずるところ)、さらに、だからといって同級生を無視して楽しく自由を謳歌できる強さもない

予備校の利用期間に他のやりたいことがあれば休むが、多分平気ではない。ちょっと「これで勉強が遅れそう」と思ってしまう。

成績が出るなら「周りよりできた・できない」にとらわれそう。(そしてまずできない側でしょう)

比べても仕方ないのに「見えると比べてしまう」タイプにとって、独学は良いかもしれません。

SNS等での印象ですが予備校は求められるレベルが高そうなので、予備校での好成績までは要らないのでは(でも気になりそう)という勝手な想像もある。

③カスタマイズ! 自分に向いた勉強方法でできる。
ずばり自分に向いていない方法で勉強するのはストレスでしょう。

八女さんは人の話を聞いて勉強するのが苦手で、「講義形式は嫌だ」と思ったのが独学にした理由とのこと。人に教えてもらうより自分で学ぶ方が好き。さらに他人にペースメイクされるより自分のペースで進めたいのだそうだ(これはちょっと①や②にも通じますね)。

自分に合った方法を作ってできるのは、気楽ですよ。

というわけで以上、独学勉強の、精神的な楽さについてでした!

勉強方法の概要

既述の通り、良い勉強法は人それぞれ故、以下は単なる紹介です。

用いた有料のものは「費用」編に挙げたとおり。

その中でもメインは過去問でした。次に条文、その次が特許庁HP(逐条解説、審査基準、審判便覧等)。

基本は下記のとおり。
①短答対策は過去問解きと条文読み、
②論文対策は過去問解きと過去問で出題された趣旨整理、
③口述対策は過去問読みと過去問で出題された趣旨整理。

それぞれ「自分が」やりやすいように小さな工夫をしました。例えば……

・すきま時間で過去問参考書を見やすいように、本を物理的に分割する
・条文集を読みやすいように、内容的に分割する

・とっつきやすいように、初めは過去問を解こうとせず読む(白河)

・法文集も参考書もカラーリングや書き込みはしない。理由は(八女)そのような習慣がないから。(白河)見づらくなるから。

挙げた順番は3ながら、侮れないのが特許庁HPだと思う。補助的に使うことで理解しやすく、解答しやすくなった。

・参考書の解答や解説がよくわからないときは特許庁HPを見る
・趣旨系は参考書の内容をアテにせず逐条解説をひいて覚える

勉強方法は思い出しつつ書いていたら大変長くなったのでこれにて割愛。いずれ別記事にするかもしれません。

おわりに

弁理士資格取得は「不要不急」だが「関心あり」、だがコストはかけられない……という状況に対し、「コストをゼロにはできなかろうが、支出総額や単位期間あたりの労力(時間的占有率や強度)を小さくできる。それによって体感コストを下げられる」と思っています。それが独学ならやりやすいよ、という紹介でした。

弁理士試験というと「大変だよ」「頑張らないと」という声を聞くが、それはガッツリ取り組む場合の話。
たいそうな覚悟なしで軽率に取り組んでも良い!

途中で苦しければ休んでも、やめても良い。それでも勉強したことは絶対無駄にならない。(と思いたい)

ある年は「来年は昇級試験があるんで」と言い(タシカニ🦀業務実績も要るし社内試験や合宿もあって重いから、弁理士試験の勉強時間の確保は難度上がる)、その翌年は「来年はA事業部担当になるかもしれないんで」と言って(タシカニ🦀忙しくなるし事業面の勉強も多いから以下略)、長らく勉強を始めなかった同僚の顔を思い出す。言いだすとサラリーパーソンいつどうとでも大変になり得る。

優先順位低く、他に何かあったら減らす・止めるくらいの気持ちで、興味があるなら気軽に始めても良いだろう! と背中を押したいです。

くり返しになりますが、八女さん・白河の方法を特別お勧めするつもりはないです(※)。「良い」勉強法は人それぞれですからね。

※しかし白河は途中から導入して凄くやりやすかったのでよかった(感謝)。いかほどの汎用性があるかの興味はある。もし実践してみたい方いらっしゃったらご連絡ください〜!

お読みいただきありがとうございました!

筆者 @sylacwa


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