見出し画像

#2 ircle

コロナ禍になり、ライブに行けなくなった。
中止や延期のお知らせを嫌というほど見たし、 
県外に行けないからと諦めたチケットもあった。そんな状況になって3年目、
私は久しぶりに県外へ大好きな音楽を浴びに
向かうことができた。

ジャパニーズロックの救世主、ircleだ。

ircleに出逢ったのはグドモの対バンだった。
初めてのライブハウス、暗くて音が大きくて
モッシュやダイブが怖くて
高校生の私にはなかなか衝撃的だったけど、
そんな場所で彼らに出逢い好きになった。
他の曲のことは全然覚えていないのだけど、
唯一「嘘つき少年より」のことだけは
鮮明に覚えている。
さっきまであんなにうるさかったライブハウスが
シンと静まり返り、彼らの音だけが響いていた。
すごく優しくて、あたたかくて、胸が痛くなる曲だった。

あれからほかの曲をYouTubeで聴いたり
してはいたものの、
ライブに行ったりCDを買ったりすることはなかった。
数年して私が大学生になった頃、
彼らは初めてのフルアルバムを発表した。
あまり熱心に追いかけていなかったのに
なんだか嬉しくて、初めてircleのCDを買った。
お世辞抜きでとんでもなくかっこよかった。
そこからはあっという間で、
なんであのときもっと追わなかったんだろう、
めちゃくちゃかっこいいロックバンドじゃないかと後悔しながら、今じゃすっかり彼らの虜だ。

そしてつい先日、彼らの活動の集大成とも言えるような
フェスに参戦することができた。
言い方に語弊があるかもしれないが、
どう考えても彼らより知名度があるバンドとの
フェスだったため、少し心配していた。
案の定お客さんは彼らではないバンドの
グッズを身に着けているし、
彼ら目当てで来たわけではないことが一目瞭然だった。
しかし、ステージに立った彼らは
贔屓目なしでどのバンドよりもかっこよかった。
アツくて、眩しくて、愛に溢れていた。
なんてバカなことを心配していたんだと思うくらい、
今までで1番輝いていた。
そう言えば今日呼ばれたバンド全員が
彼らをリスペクトし、共に闘う同士として讃えていた。
みんなこぞってircleへの愛を述べていた。
今日の会場である彼らの地元別府も、
そこら中にこのフェスのポスターが貼ってあり、
街全体で彼らのフェスの成功を願っているようだった。
変なことばかり考えていたから気づけなかったけど、
今日呼ばれたバンドも、彼らの地元も、
みんなircleへの愛で溢れていた。

ボーカルの河内さんがMCで
「こんなん感動せんわけないやろ」と述べていた。
私も同じ気持ちだった。
地元でこんな愛に溢れたフェスをできるなんて、
こんなの感動しないわけがなかった。
どうしようもないくらい愛が溢れた。

フェスが終って数日経った今でも、
余韻に浸っている自分がいる。
そして以前よりircleへの愛で溢れている。
これからも彼らの挑戦を見届けたいし、
また大事な節目には私も居合わせたい。

愛してるよって 愛すべきもの全部に
本気で言えたらきっと 空の色すらも変わんだよ




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?