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ジュゴンの肉

 実在しない高橋留美子原作のアニメ「Quen Sistar」を夢の中で視聴した。青い髪の姉妹が主人公で、姉は長髪、妹は短髪。基本的に仲が悪いが、学園ラブコメをこなしながら刀を手に異形と戦っている。「昭和の匂いをプンプン残してるな〜」と感想をツイートしたら「そりゃ昭和の作品だからな」と友人から指摘を受け、ショックのあまり中途覚醒した。「でも、もしかしたら本当にあるのかも」と考えて、スマホで検索したが、ヒットせず。上坂すみれのラムちゃんはどんな感じなんだろう。再び眠りについて、違う夢を見た。

 どうやら真面目で本物っぽい女性活動家に、同志を装い同一の粉砕対象をでっち上げて内なる男根を向けるのは、彼女に対する唯一の対抗手段のように思えた。半世紀前の山岳ベース事件で森恒夫らは、遠山美枝子や小嶋和子みたいな、いかにも"女"を見せているメンバーを割と早い段階で死に追いやり、妊娠中の金子みちよも容赦なく総括した。それに比べ、連帯意識ですらない生ぬるい性欲を友達感覚で無邪気に向けてしまうのは、非接触型の痴漢行為だった。今度はお前の卑しい孤独といじましい寂しさが活動家の魂を殺す。いや、知らんけど。

 アカデミズム独特のジャーゴンやしきたりが内包されたよく分からん人文研究よりも、腰の曲がったおじいちゃんが錆びついた軽トラを安心して運転できるように田舎道を舗装することの方が公共性がある。個人の自由を尊重して同性婚を進めるよりも、独身男女対象の婚活事業を行う社会福祉協議会に補助金を出した方が納得感がある。人よりもコンクリート、例外の承認よりも慣習の追認。こうした土着性に向き合っていない人たち、いつまで一人で空中戦を繰り広げているんだ? 土臭さとドブ板感が、全く足りない。だから共感が広がったとしても、固い支持は得られない。まあ優先順位を付けず、全部やればいい話なんですが。

 何を食べたいかと聞かれたら、圧倒的にジュゴンの肉だろ。希少性が高そうだし、美味しそうだし、何より食べるだけでめちゃくちゃ怒られそうだし。貯金2000万とかそういうことよりも、ジュゴンの肉を食べられるくらいのポジションに登りつめるには何をすればいいのかを考えた方がいい。まずは手始めにトド肉の缶詰をアマゾンで注文します。