対談正面

≪特集≫スポーツにおける歯の大切さ

Jリーグを戦うトップチームを頂点として、グルージャには現在、小・中・高のアカデミー生、幼稚園・小学校のスクール生が所属しており、約400人もの未来ある子供たちをお預かりしています。

今シーズン、クラブとして初めて、ユースチームから清水敦貴選手(盛岡四高卒)がトップチームに昇格しました。小学校の頃からグルージャ一筋でサッカー人生を歩んできた清水選手。自身が活躍する姿を見せることで、グルージャアカデミー・スクールの子供たちに夢を与えるべく、日々厳しいトレーニングに励んでいます。

プロアスリートとしての成長を促すため、日常生活でも意識を高める清水選手ですが、今回、都南歯科医院 副院長の山田優貴さんとの対談において、「スポーツにおける歯の大切さ」に関するアドバイスを頂きました。子育て世代の親御さんにもぜひ知って頂きたい、「幼少期から意識するべき歯の予防」についても伺ったので、ご紹介させていただきます。

山田優貴
都南歯科医院 副院長 https://tonandc.com/

≪プロフィール≫
1983年 岩手県盛岡市生まれ
東北学院高校卒(仙台)
岩手医科大学歯学部卒
岩手医科大学歯学部歯科補綴学第二講座 入局
医)スマイルクリエイト 根城よしだ歯科 勤務
都南歯科医院 副院長就任 現在に至る

「プロアスリートの歯は、フェラーリがスタッドレスタイヤを履いて走っている状態」(山田)


- 山田さんご自身、学生時代はバスケをされていて、最近ではフルマラソンに参戦される等、歯科医師としてだけでなく、オフにはアスリートとしての一面も持っています。アスリートにとって歯は大事だと聞きますが、実際のところ、競技にどの程度影響するものでしょうか。
(山田)
正しく噛み合った歯並びで食いしばると、筋力が最大限に発揮されることは研究結果が実証されています。どちらかというと、パワー系の動きをするときに、歯は大切な役割を果たしますね。逆に瞬発系の動きでは、歯を食いしばらない。例えば、マイケル・ジョーダンがベロを出してシュートしている姿。身体全体を解き放ち、リラックスした状態を表しています。バスケの場合、ディフェンスを得意とする選手は、歯を食いしばることが多く、マウスガードを付けている選手をよく見かけます。外傷を防ぐためだけでなく、噛み合わせを良くする為に装着しています。

- サッカーではマウスガードを付けている選手はあまり見られませんが、たしかに、バスケやアメフト等、アメリカのスポーツでは装着している選手をよく見かけますね。
(山田)
サッカーと歯に関する研究はまだ少ないですが、シュートやディフェンス時など、一試合を通じてパワー系の動きは多いので、歯の噛み合わせがプレイに影響を及ぼす可能性は高いと思います。それこそ、清水選手のようなプロアスリートの歯は、フェラーリがスタッドレスタイヤを履いて走っているような状態です。歯にとてつもない負荷がかかっていて、ともすれば、食いしばりで歯が欠けてしまうリスクも十分に考えられます。マウスガードの装着が必須とは言いませんが、歯の噛み合わせは大切な要素です。

- 清水選手は、見たところ歯並びが良さそうですが、歯のケアは意識していますか。
(清水)
歯並びは子どもの頃から良いです(笑)。すごく意識しているわけではないですが、歯はしっかり磨くようにしています。
(山田)
生まれつき歯並びが良いことは、スポーツをする上で特権ですよ。”8020運動”って聞いたことはありますか。「80歳で自分の歯を20本保ちましょう」という取組みです。北欧のフィンランドやスウェーデンが歯の予防大国として有名ですが、日本人はまだまだ予防の意識が低く、80歳で歯が20本以上ある人は約半分の50%程です。20本と言っても、親知らずを除くと、それでも8本失っていることになる。通常の方より歯に負荷をかける職業に就かれているので、歯磨きだけでなく、フロスも取り入れて歯のケアを意識することをお勧めします。引退後のほうが、長い人生ですから(笑)。

「おやつは15時に食べさせましょう」


- グルージャにはたくさんの子供たちが所属しているのですが、子育て世代の親御さんたちは、子供の歯の為にどのようなことを意識すべきでしょうか。
(山田)
端的に言うと、歯の予防は「細菌のコントロール」にあります。歯を失う主な原因は2つ。虫歯と歯周病で、このどちらも菌の感染によるものです。
更に、虫歯になる原因は、食事、唾液の力の衰え、細菌の感染の3つに特定されます。その為、都南歯科医院では、患者さん全員に細菌検査をして、細菌に対する唾液の力を調べたり、菌が大好きな砂糖をどのぐらい摂取しているかを確認しています。

- やっぱり、砂糖は歯に良くないんですね…
(山田)
虫歯の主な原因菌であるミュータンス菌は、糖質(主に砂糖)をエサにしてネバネバした水に溶けにくい「グルカン」という物質をつくり、歯の表面に付着します。このグルカンは粘着性が強いので、多くの細菌がくっつき合い大きな塊に成長していきます。これがプラーク(歯垢)です。また、プラーク中でミュータンス菌は、砂糖を分解して「酸」を作ります。この酸によって、歯の表面のカルシウムが溶け出し、やがて虫歯ができます。
ここで大切なのが、唾液です。酸性化した口の中を、唾液がおおよそ20分ぐらいで中性に戻します。そして、掘った穴を埋める「再石灰化」が行われます。
親御さんに気を付けて頂きたいのは、ダラダラと口の中に砂糖を頬張らせることです。例えば、子供がアイスを食べたとします。その後、20分以内にチョコを食べ、ジュースをちびちび飲みながらTVを見る。こうなってしまうと、唾液の力で口の中を中性に戻す余地もなく、ミュータンス菌がずっと活発に歯を掘り続けることになります。「15時のおやつ」とはよく言いますが、朝・昼・晩の食事に加え、おやつを15時に食べることで、中性化と再石灰化の時間をしっかり確保できることになります。
(清水)
午前にサッカーをして、午後は筋トレをしていると、夏場は特にスポーツドリンクを飲む機会が多いのですが、マズいですね…
(山田)
身体は健康的ですが、口内環境はジュース飲みながらのテレビっ子と変わらないですね(笑)。トレーニング以外の時間は、ぜひキシリトールを食べてください。キシリトールは、ミュータンス菌を抑制する作用があり、さらには歯垢中で酸をできにくくする作用に加えて、酸を中和する採用があります。歯磨きとフロスが出来ずとも、キシリトールを食べることで、口内環境を整えることができます。
(清水)
市販のキシリトールガムは甘いですけど、きちんと効果があるんですね。
(山田)
市販のものはキシリトール量が少ないです。歯医者専用のキシリトールガム等がありまして、こちらのほうがより適切な効果を望めます。当院でもおススメを揃えていますので、是非(笑)。

「定期的に、衛生士によるプロフェッショナルケアを」


– 唾液の力を検査するというお話がありましたが、年齢と共に予防の仕方は変わってくるものでしょうか。
(山田)
まず、ミュータンス菌は主に口移しによるものです。3歳までの時期が大切で、親御さんからの口移しやキスで移ってしまったら最後。菌は減ることなく一生付き合っていくものですので、愛情とは裏腹に、口移しやキスは極力控えてください。万が一、虫歯菌に感染してしまっても、安心してください。菌を減らすことはできませんが、コキシリトールや、プロフェッショナルケアすることで、コントロールすることは可能です。年齢と共に、唾液の力は衰えます。今、虫歯で無くとも、唾液の力の衰えと共に虫歯になる潜在リスクが存在します。

– 定期健診で口内環境の変化を診て頂くことは大切ですね。
(山田)
ここまで、ご自身でできるケアの話を中心にしてきましたが、歯茎の中のバイ菌の層を一掃する為には、衛生士によるプロフェッショナルケアが必要になります。セルフケアにも実は限界があり、歯石除去を兼ねて、菌が苦手とする酸素をしっかりと全体に行き届かせるためにも、プロフェッショナルケアを定期的に行うことをお勧めします。
(清水)
色々と勉強になりました。幸い、これまで虫歯がなく過ごしてきましたが、今度、唾液の検査、お願いしたいです。
(山田)
もちろんです。息長く現役生活を送るためにも、清水選手の健康をサポートします!

都南歯科医院様には、「スポーツにおける歯の大切さ」のPRを兼ねて、キヅールとのコラボステッカーを作成いただきました。グルージャのホームゲーム、ホームタウン活動の他、都南歯科医院の受付でも数量限定でお配り頂けることになりましたので、歯の検診を兼ねて、都南歯科医院をぜひ訪ねてみてください!


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