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ビジネスサイドと開発サイドをつなぐ共通言語「GalaCliy」の誕生と、その導入成果

こんにちは!プロパンガス料金比較サービス「enepi(エネピ)」のコンテンツ担当の田原です。

過去のnoteでの配信でもお伝えしてきましたが、アイアンドシー・クルーズでは現在、自社開発ツールの連携による業務効率化計画、通称バスティオン計画を全社で推進しています

今回は、上記の計画の中で開発されたシステム進捗管理ツール「GalaCliy(ギャラクリー)」と、GalaCliyを使ってプロダクト開発スピードを大幅に向上させたenepiの事例をご紹介します!

なお、enepiの事業立ち上げの背景については、こちら(IT分野からプロパンガス業界のアップデートを目指すenepiとは?)もぜひお読みください♪

GalaCliyとは

GalaCliyの設計書/要件定義書

GalaCliyとは、プロダクト開発の要件定義〜リリースまでの進捗を管理するだけでなく、リリース後の成果までを観測する、アイアンドシー・クルーズの自社開発のツールです。

Webサービスを運営している会社であれば身近に感じられるかと思いますが、「新しいLP作りたい」「こんな機能があったら便利なのに」等、SEやデザイナーなど開発サイドへの依頼を行い、開発・制作するプロダクトが日々挙がってくるかと思います。

しかし、要件定義やワイヤーの作成など制作がスタートするまでに、事業部・ビジネスサイドで準備することも多く、スピーディーにプロダクトを成長させることができないといったことはないでしょうか。

ビジネスサイドはもっと気軽に開発を依頼したい、一方で開発サイドは良いプロダクトを作るためにしっかり要件を定義して欲しい…こういったジレンマが、多くのWebサービス開発組織にはあるのではないかと思います。

そんな社内でのやりとりを解決したのが、GalaCliyです。単なるプロダクト開発進捗ツールに留まらず、コミュケーションツールであり、また成果の資産化ツールでもあります。


GalaCliyが開発された背景

「ビジネスサイドと開発サイドのコミュニケーションをいかに円滑化し、プロダクトの生産性を高めるか」という課題は、多くの組織が抱えているのではないでしょうか?

アイアンドシー・クルーズにおいても、それは同様でした。当時、当社ではビジネスサイドと開発サイドをつなぐ存在である、プロダクトマネージャーやディレクターの層が厚い組織ではありませんでした。そのため、プロダクト開発において熟練した開発サイドと、未熟なビジネスサイドとの壁を埋めるための仕掛けが必要だったのです。

プロダクト開発に関するナレッジの格差が組織にある中で、具体的には、当時のプロダクト開発プロセスでは、下記のような大きく3つの課題に直面していました。

課題1:開発サイドへの開発依頼を躊躇してしまっていた

当時プロダクトを依頼するときは、開発のリソースが相当限られていたために、極力ビジネス側がプロダクトの要件定義・詳細設定を事前にすべて終えた上でシステム開発部署に依頼する必要があり、気軽に「こういう機能良くないですか?」と、新機能の開発依頼がしづらい状況でした。

その結果、ビジネスサイドから開発サイドに対するコミュニケーションの心理的ハードルが高かったため、プロダクトの開発や機能改善は遅れてしまいがちだったのです。

課題2:開発したプロダクトがユーザー体験を向上させられていなかった

こちらも前述の開発リソース問題ゆえに、開発部と密に話し合いながら開発する時間がほとんど取れず、既に要件定義・詳細設定を終えた上で依頼し、開発側で微調整を行うのみというプロセスだったので、ビジネスサイド側のアイデアだけで完結したプロダクトになり、プロダクトの質の最大化ができていませんでした。

そうしてできたプロダクトの中には、設計意図を開発サイドに正確に伝えられず、結果として使われなくなってしまったものも多々ありました。

課題3:プロダクト開発の改善サイクルが回らなかった

当時開発したプロダクトは、Googleスプレッドシートで管理していました。ただ、スプレッドシートでのプロダクトの管理は煩雑で、リリース後の効果測定はもちろん、各プロダクトが開発された背景や経緯の振り返りをすることが困難でした。

noteに記載するのも恥ずかしいですが、作ったら作りっぱなし状態になってるプロダクトもあった、その結果改善のサイクルがうまく回っていない状態だったのです…!

また、以前は他社製のタスク管理ツール「b」を使って進捗管理をしていましたが、ビジネスサイドからすると「b」はプロダクト開発の経験豊富な「上級者向け」のツールだと感じ、また開発サイドからすると、

・要件に対してあれこれ言いたいが、「b」は決定事項のみを書くような設計(コンセプト)になっている
・チャットワークと併用でも良いが、そうするとやり取りが埋もれ、履歴が残らない
・全体を通した時に各案件のフェーズがわからない(スケジュール管理しづらい)
・1つの案件の中で複数人が担当した場合に工数管理が出来ない
・リリース予定やToDo管理や仕様設計など「整理」に向いていない

といった課題がありました。

IACCのミッション「次世代に紡ぐ事業を創出する」を体現するためには、業界での影響力の強いフラッグシップサービスとなることが不可欠で、そのためには提供サービスを最速で改善していく必要があります。

そのため、プロダクトの開発上の3つの課題は、その動きを阻害する大きな要因であり、早急に改善する必要があったのです。


プロダクト開発の課題克服のための機能を盛り込んだGalaCliy

上記の3つ課題を解決するために、開発サイドの提案よりGalaCliyを開発・運用がスタートしました。

そんなGalaCliyの目玉要素は

① OrderSheet(発注システム)との連携による、開発依頼の生産性向上

② プロダクト開発の全体工程のグラフィカル化

③ プロダクトリリース後の効果測定機能

の3つです。これらの機能と一連のワークフローによって、アイディアベースの要望出しからリリース後の効果測定まで、すべて自社開発ツールで行うことができる仕組みが完成したのです。

それぞれ、簡潔にご紹介しましょう。


① OrderSheet(発注システム)との連携による、開発依頼の生産性向上

ステップ式フォームに従っていくだけで、開発サイドに簡単に発注が可能(ゆえに、どんなレベルの人でも、フォーマット化された要件定義が可能)

オーダーシートの案件依頼一覧画面

GalaCliy上でプロダクト開発案件のスタートさせる前に、プロダクト開発依頼の生産性を高める必要がある、という課題を認識していました。

そこで、ビジネスサイドがまず最初に行うことは、完成度の高いオーダーをきっちりフォーマット化してまとめる必要がありました。

その時たまたま別の目的で自社で開発されていたオーダー発注システム・OrderSheet(仮)と連携させることにより、どういうレベルの発注者であっても一定レベルの定型化されたプロダクト依頼が行えるようになりました。

オーダーシートとは、その名の通りプロダクト開発の「依頼リスト」となります。ただし、ここでは詳細な要件定義まで行うのではなく、プロダクトの利用目的や解決できる内容、利用用途のみで依頼をかけます。

その内容をビジネスサイド、開発サイド両方に視点を持ち合わせる管掌役員が、「これは、本当に必要なプロダクトであるのか?」という観点からチェックし、承認が降りたものだけをプロジェクト化していきます。

この過程を経ることで、無駄な開発がなくなることはもちろんですが、最大限活用できるプロダクトの全体像が、ビジネスサイドと開発サイドで互いに認識が一致した上で開発プロジェクトをスタートすることができます

プロジェクトがスタートするとGalaCliyに案件として登録がなされ、要件定義に入っていきます。要件定義に関してもオーダーシートにてビジネスサイド、開発サイドで共通認識を持つことができているため、ビジネスサイドで足りていない要件があったとしても、開発サイドからフォローしてもらいやすい環境となっています。

現に、前回記事を執筆したプロダクトマネージャーの今村さんは、開発サイドに最大限サポートしていただきながら、良いプロダクトを作るためのディレクションを行うことができているそうです。


② プロダクト開発の全体工程のグラフィカル化

要件定義〜リリースまで、細かなフェーズ管理が一目で分かる

「オーダーシートで発注 → 勝手にガントチャート引いてくれる → GalaCliyで開発スタート」という流れ

ビジネスサイドの開発意図をいかにして開発サイドに正しく伝え、より良いユーザー体験を実現するプロダクトを創るかという点のポイントは、より細かなコミュニケーションを行うことだと考えました。

そこで、ビジネスと開発をつなぐコミュニケーションの共通言語として、プロダクトの開発プロセスをグラフィカルに見える化し、お互いのコミュニケーションの土壌を作ってもらいました。

このグラフィカルなUIでは、「ワイヤー確認」や「html作成」など、社内の業務スタイルに合わせた細かなフェーズ管理が出来ます(「b」では「開発中」という大まかなステータスしか用意されていません)。

また、開発サイドとのコミュニケーションは、GalaCliy内で開発されたチャット機能を活用しています。チャットツールを用いて、要件に対するフィードバックをもらいながら、案件の詳細設計をすることが出来ます。

「案件ごとに」「会話のログを」「気軽に」履歴を残せるチャット形式のUI

これのチャット機能によって、案件ごとに開発部と密なやり取りができ、ビジネスサイドからは出てこなかった専門的な視点からのアイディアをプロダクトに盛り込みやすくなりました。

また、会話のログ(履歴)が残るため、あとから開発経緯や機能追加の背景を振り返りやすいというメリットもあります。


③ プロダクトリリース後の効果測定機能

開発したプロダクトも完成したらそれで終わりということはなく、その成果の観測とさらに改善を回していくことが必要となります。

GalaCliyではレビューという機能があり、プロダクトの成果と改善案を蓄積することが可能となり、次回のプロダクト開発へと生かすことが可能となります。

テスト項目書

機能開発の1つ1つにおいてもPDCAを回すことができる仕組みが、GalaCliyには搭載されているのです。

それによって、スプレッドシートでの煩雑な管理からの開放され、またBIツールやMAツールなどの自社の他システム連携しているため、プロダクトリリース後の効果測定が容易になり、プロダクトの改善もしやすくなりました。


enepiでのGalaCliy運用事例「ガス会社おすすめ順の自動ロジック化」

実際にGalaCliyを使って、生産性が向上した事例を1つご紹介します。

enepiでは、お問い合わせいただいたお客様に、現在利用のガス会社とご案内できるガス会社の料金プランの比較ができる見積もりページ、通称マイページを提示しています。

このマイページでは、enepiがオススメするガス会社順、安い料金のプラン順といったランキング表示形式なのですが、定量的な数値である安い順はロジックの作成は容易です。ただし、オススメ順に関してはガス会社の担当をしている営業サイドの様々な定性的な評価を元に、1社1社の点数を算出しランキングを作成、それをマイページへ反映させるという作業を行なっていました。

今だから言えることですが、少なからず営業サイドの恣意性でランキングの変動はあったと思います。

そのため、明確なオススメ理由はお伝えしにくい、またランキングの算出に時間がかかるため更新頻度も数ヶ月に1度と、ユーザーに対してよりより情報の発信ができているかといえば、自信を持って頷くことができなかったことは事実です。

そんな折、開発サイドへ「恣意的に点数をつけているものをロジックに落とし込み、週次で自動反映できるようにしたい」と言った相談から始まったのが、「ガス会社おすすめ順の自動ロジック化」プロジェクトとなります。

以前であれば、事業部サイドのみでの議論となっていたため、スプレッドシートやexcelでのいかに早くランキングを作成するかということを考えるにとどまっていたでしょう。オーダーシート、Galacliyというツールによって開発サイドへ気軽に相談できる環境があったため、結果、ビジネスサイドで何も工数を使わず済む方法へと大きな進化を遂げることができました。


GalaCliy運用後の成果と、今後の意気込み

課題が解決されたことでプロダクトの開発スピードがあがり、直近の四半期では、26個ものプロダクトをリリースすることが出来ました

総括すると、GalaCliyを通じて、ユーザー体験の向上に繋がるプロダクトの開発スピードがより早くなり、よりユーザーライクな世界観を前よりも早く実現できるようになったと思います。

今回は「バスティオン計画」の一貫として開発されたプロダクト開発進捗管理ツール「GalaCliy」について紹介しましたが、ほかにも自社ツールは多くあります。

GalaCliyのおかげでプロダクト開発のスピードは大幅に向上したので、これからもプロダクト開発の生産性を上げ、より良いプロダクトを増やしていき、IACCのミッション「次世代に紡ぐ事業を創出する」を実現していきます!

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