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Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue" at NIPPON BUDOKAN [PART2]

藍井エイルのライブ「Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"」は、ベスト盤『BEST -E-』と『BEST -A-』に収録された新曲を初めて、そして最後に聴けた場でもあります。『BEST -E-』に収録されている新曲は「アカツキ」です。この曲を聴いていると、背反する感情が浮かんできます。美しいメロディは、心に火を点けるような、熱く燃える気持ちを生む一方で、糸がぷつんと切れたような、諦観にも似た切なさを残していきます。熱くなったり、ふと哀しくなったり、その落差に翻弄されます。ライブでは、分厚いバンド・サウンドの中でもメロディの美しさが屹立することに感動し、一片たりともメロディを逃すまいと思いながら観ていました。

もうひとつの新曲「レイニーデイ」は『BEST -A-』に収録されています。メロディもサウンドも明るくて、軽快に歩くイメージが浮かぶポップさが特徴です。ポップな雰囲気を支えている要素のひとつは、ハンドクラップを思わせるシンバルでしょう。サビを始めとしてイントロや間奏の随所で響きます。最初に曲を聴いたときに「ライブで手を叩いたら楽しいだろうな」と思っていたのですが、実際に楽しかった。彼女はマイクスタンドを前に歌い、両手を叩き、そして観客もハンドクラップで曲に参加しました。弾ける雨粒のようにハンドクラップが響き渡ります。

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アンコールでは時間を一気に巻き戻して、デビュー前から歌っていたという曲「frozen eyez」を歌います。そして、アルバム『D’AZUR』から「ツナガルオモイ」を披露します。作詞には彼女の名前がクレジットされており、曲名を含め、ひとつひとつの言葉に思い入れがあるのだろうと思います。コール・アンド・レスポンスもまた、言葉と言葉の交換です。その直後、歌に涙を滲ませながらも、最後まで歌い切ります。

ライブは最後の曲を迎えます。青から始まった世界は、次第に他の色で彩られ、カラフルになっていきます。藍井エイルは真っ白なワンピースで「虹の音」を歌います。ステージと会場を照らす光は七色に輝きます。曲が終わると、彼女は踵を返し、ステージの奥から放たれる光へと向かいます。白い衣装をまとうことは「藍井エイル」から色を消して白に戻る、ということを意味していたのでしょうか。白い影は光の中に浮かび、やがて消えて見えなくなりました。

Eir Aoi 5th Anniversary Special Live 2016 "Last Blue"
2016-11-04/05 at NIPPON BUDOKAN

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