見出し画像

BLACKPINK「Playing With Fire」:四つの歌声が描く音楽世界、目の前で揺れる小さな火

扇情的なピアノの音から始まるイントロに魅せられ、随所で響くシンセサイザーのリフが印象に残ります。BLACKPINK(블랙핑크)「Playing With Fire」は、いくつかある彼女たちの代表曲のひとつです。歌メロはキャッチーで艶めいていながら、けれども時として歌声にどことなく虚ろで冷めた雰囲気が漂う。四つの歌声が織り成す音楽世界は、歌い手が変わるたびに切り替わり、異なる表情を見せてくれます。

ピアノはイントロの途中でシンセサイザーにバトンを渡し、さらにリズム・セクションが加わってサウンドは一気に厚みを増します。イントロ、Chorus、エンディングで顔を出すシンセサイザーの音が曲全体の印象を決定づけています。“playing with fire (불장난)” とは「火遊び」ですが、音や、音に絡みつく歌の雰囲気からは激しく燃える炎というより、夜の隙間に浮かぶ小さな火をイメージしました。目の中に灯る小さな火が、ゆらゆらと揺れて誘うような。

日本語の歌詞を乗せたバージョンもリリースされていますが、個人的には韓国語で歌うオリジナルの方に魅力を感じます。日本のマーケットに向けたローカライズはK-POPの基本的な営業戦略であり、日本のファンからすれば歌の内容を理解しながら聴くのが普通です。その一方で、オリジナルの歌で韓国語の響きを味わいながら聴くのも良いと思います。

すべてのK-POPにあてはまるかはともかく、少なくとも「Playing With Fire」を聴く限りでは、韓国語と英語の相性は良いと思えます。韓国語の間に英語が入り込み、言葉は歌やラップに乗って違和感なく流れていきます。それは言語に何かしらの共通点があるからのか、それとも四人の歌い方に起因するのかは分かりませんが、個人的には聴きやすくて心地好い。

「Playing With Fire」を含め、いくつものBLACKPINKのミュージック・ビデオがYouTubeで億単位の再生回数を叩き出しています。そのことからも分かるとおり、BLACKPINKのファンの輪はワールドワイドに広がっています。この四人に世界が熱狂する理由はさまざまですが、そのひとつに韓国語の響きがもたらす心地好さがあるのかもしれません。少なくとも違和感なく受け止められているのではないかと。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?