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MMTにみるデジャヴ感

いよいよ参院選が迫ってきたが、相変わらずの野党の弱小さを見ていると自民党が勝つ事は容易に想像がつく。10月に増税が控えている事もあり、各党経済政策を打ち出しているが、日本でもMMTに関する議論が同時に熱を帯びてきた。反緊縮を掲げている極左の政党には少しばかり追い風になるかと思ったが、そうでもないみたいで、"話題の彼"もなかなか厳しいらしい。。

さて、サムネ画像にもある通り、MMTについてなのだが、昨日ステファニー・ケルトン氏が来日し、僕なりに疑問に思った事があり、そしてデジャヴ感があったので書いてみた。
もう知らない人はいないだろうが、MMTとは現代貨幣理論とか現代金融理論と日本語では呼ばれるが、簡単にいうと、自国通貨建てで国債を発行できる国はデフォルトにはなりえないという意味だ。何を言っているのかというと、自国通貨建てで国債を発行できる政府に発行上限はないんだから、中央銀行を政府の奴隷にし、財政政策を拡張し、財政赤字なんぞ気にするな。という事だ。つまり、財政政策>金融政策であり、財政政策をもってして経済を均衡させようとする考え方だ。
この考え方に至る背景には、やはり各国の永遠の課題である財政赤字をどうするかという問題に対するソリューション探しであり、根幹にあるのはあのケインズ大先生の理論である。
また、皮肉な事にMMT推進派の経済学者達は、MMTの成功例として日本を例に挙げており、勿論非公認だが、債務残高がGDP比240%を超えながら、あれだけの異次元金融緩和をやっても物価上昇率が0.7%の日本において、見方によってはそうも見えなくはないのかもしれない。
勿論、政府の債務残高については色んな議論がある。日本は対外純資産が豊富にあるから大丈夫だとか、MMT推進派の彼らが主張するように政府単体のBSだけでみるのではなく、政府+中央銀行のBSでみれば帳尻が合うなど。
最近年金の話題もタイムリーであり、社会保障費もかなりの大爆弾になっている中で、MMTは願ったり叶ったりの救世主なのかもしれないが、僕はどこかデジャヴ感があり、例えば、ケインズ大先生のハーヴェイロードの前提が崩れた時の事を思い出す。
経済学なんてものは、マルクス主義に始まり、一見論理的に考えられたものに見えるが、史実が示してきたようにことごとく失敗してきた。僕は、論理的に導き出された答えが間違えるはずがないと思っているので、マルクス主義をはじめとした、今まで失敗してきた経済政策や経済理論は、全て論理的じゃなかったと思ってる。例えば、共産主義は、資本主義=自由経済に対して計画経済と言われるが、それは、一部のエリート達が計画的に経済を回せば自由経済よりきっと上手くいくっていう前提の考え方になっている。
だから、一般的には共産主義の方が論理的で資本主義は感情論だとか言われる。しかし、それは大きな間違いであり、むしろ逆だ。
共産主義ってのはぜんっぜん論理的じゃない。よく論理的に考え過ぎると間違えるとか言われてるけど、何度もいうが、論理的に考えて導き出された答えが間違えるはずがない!!!
じゃあ、なんでソ連は崩壊し、ケインズのハーヴェイロードの前提も崩壊したのか??
僕が考えるに、それは、それらが全然論理的じゃなかったから。どの辺が論理的じゃないかってゆーと、生物遺伝学とか心理学とか進化論を完全に無視しているから。マルクスは人間のインセンティブを無視していたし、ケインズは民主主義下の議員が身の保身に走り、公共事業をやめられなくなる事を見抜けなかった。これらは全て上記の学問を無視して数学だけで導き出された答えを論理的だと勘違いして失敗した政策だ。
だから全然論理的じゃないし、だから間違えた。
今でも世界の大半の国々が資本主義下で機能しているのは、自由経済だからであり、何故自由経済が計画経済よりも上手くいっているのかというと、それは自由経済においては、意図せずにも生物学な作用が上手く機能しているからだと思う。そこまで含めて論理的なのである。政府がそこまで計算してやってるわけでないが、僕は生物進化学や進化論、心理学などの分野における合理性に逆らうとロクな事にならないと思っているし、史実の示す通りだ。イギリス古典派経済学が今でも有効なのはまさにそういう事なのだと思う。

さてMMTについてだが、僕がデジャヴ感を感じるのがお分かりいただけただろうか。MMTはまさにケインズ理論の延長線でしかない。
そしてここでもまたケインズ大先生と同じ過ちを犯している。どんな過ちかというと、彼らは、インフレが起こった際、歳出を止めればいいと言っているが、政治家が自分の身を切って歳出を止められるはずもなく、結局は彼らが軽視している金融政策と同じ流動性のワナにハマるだけだろう。そして何よりどのタイミングでインフレが2%を達成するのかも予測出来ないし、政策実行の前に2%を超えるような事態になれば、反緊縮を謳う政権がいきなり緊縮を敢行する事になる。笑
笑い話のようだが、全然ありえる話だ。
つまり、インフレを止められるような対策がない。
あとは、増税くらいでしかインフレ抑制は図れないが、考えるだけでディストピアだ。

経済政策だけでなく、こうしていつもリベラルは生物学的な合理性を無視して間違えるし、歴史的に間違えてきた。いつもめちゃくちゃな感情論で大衆を煽り、それによって何億人も餓死し、人々を苦しめてきた。
今回、リベラルの政策の後ろ盾となっているこのMMTも同じ臭いがしてならない。
いつの時代も彼らに騙され、完膚なきまでに叩きのめされる人々はいるが、どうか物事を論理的にかつマクロで考えた冷静な一票を投じて欲しいと願うばかりだ。

故郷の母と父に、何か買って送ってあげたいと思います。