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トラウマだった、あの話

今見れば大したことはないが、小さい頃みて圧倒的なトラウマとなってしまった話がいくつかある。今日は突如思い出したので、書いてみようと思う。

 ① 『夢』 黒澤明

何でこんな映画を幼い頃の僕が観たのかは定かでないが、当時まだレーザーディスクが残っていた我が家で観たことを覚えている。

『夢』はいくつかのショートムービーがまとめられた作品で、タイトルの通り黒沢監督がみた夢を題材に制作された話らしい。その中でもとくに僕の心に残り続けていたのは、「狐の嫁入り」の話。DVDジャケットの画は、この話の結末部分だ。

お天気雨の日には狐の嫁入りがあるそうで、狐たちは人間にその姿をみられることをとても嫌っているんだとか。幼い少年は母親に注意されたにも関わらず、好奇心からお天気雨の日に森に立ち入ってしまって、狐の嫁入りを目の当たりにしてしまう。狐たちは気配をかぎつけて、ついに少年を見つけ出してしまう。

この、狐たちのじりじりとにじり寄ってくる恐ろしさといったら、幼き僕には少し強すぎる恐怖感だった。作中の少年の背丈が、ちょうど当時の僕と同じくらいだったから、なおさら没入してしまったのかもしれない。

② 『IT』

最近リメイク版が出てきているが、僕のトラウマとなったのは昔の映画。この日記を書くにあたってGoogleで画像検索をしてみたが、やっぱり今でも少し怖い。ペニーワイズ(ピエロ)の怖さでいったら、リメイク版より、昔の方が俄然上回る気さえしてきてしまう。

ITのタチの悪さは、どこにでも突如として現れるというところにある。結果この映画のせいで、お風呂場もトイレも、誰もいないリビングも、すべてが恐怖心を抱くトリガーとなってしまったから、ITをみてからしばらくは大変だった。

ちなみに僕は、ホラー映画と呼ばれるものをあまり観ないのは、ITに由来するトラウマのせいだったりもする。

③ 『おしいれのぼうけん』 ふるたたるひ・たばたせいいち

最後は絵本。この前何の気なしに書店を巡っていて驚いたのは、今でもこの絵本が平積みにされて目立つところに並べられていた。

絵本にしては、しっかりと物語が書かれていた記憶があって、当時の記憶を辿ってもあまり物語内容までは思い出すことができない。なんなら、最後はいい感じに終わる話だったような気さえしてくる。

ただ、なぜだかトラウマのように心に残っていて、漠然と怖い思いをしたことだけは覚えている。

これもまた画像検索をしてみると、明確に覚えている一コマがあった。

これは、悪さをした罰として押入れに閉じ込められた男の子が、押入れの中のシミや木目に恐怖心を重ねて、ありもしないものを生み出してしまうシーン。

この体験は確かに自分にもあって、さっきまでただのシミでしかなかったものが、一度人の顔に見え出したら、もうそれにしか見えなくなってきてしまったり。なんだかよくわからない形を眺めて、ちょっと恐ろしいものを妄想している間に、寝付けなくなってしまうなんてことは多々あった。

これもまたきっと、当時の僕は自分を投影しすぎてしまって、恐ろしくなってしまったんだろうと思う。

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今までたくさんの作品に触れてきたが、案外パッと思い出せるものは、トラウマ級に心震えた作品か、その逆で感動した作品ぐらいのものかもしれない。

感動した作品や好きな作品でいうならば、なんども観るうちに物語を覚えてしまった、なんてことが想像できるが、恐ろしくて一度しか観ていないはずの映画や本が、今でもこうして記憶として明確に思い出せるというのは、不思議なものである。

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