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HRのための勉強ノート9 - 面接(Interview) -

米国留学中のMasaです。「面接って結局何なの?何見てるの?」ということを感じる方は多いんではないかと思います。今回は、人事の目線で「面接」というものの構造や特性を、過去の経験や学んだことに基づいて分解していきたいと思います。そして写真は全く関係ない大学のアメリカンフットボールの様子です。。。

1. 面接はテストではない

何かの選考過程において、面接という手法が使われることが多くあります。従ってテストのような感覚で面接を受ける(=正しい回答があると思って面接に臨む)ということが一般的な感覚だと思いますが、そうではありません。面接はあくまでも特定の目的を達成するための手段である(それ以外にも方法はある)という事を面接官をされる方、人事の方は認識する必要があります。

2. 面接はおしゃべりじゃない

一方で、いわゆる抽象的な「コミュニケーション能力」という物を測定する場面でもありません。面接官を楽しませる事ができたとか笑いが生まれたとか、よく話せた、みたいな感覚を持ったとしても、面接官が不合格を出す事もあるでしょう。しかし、一理ある事も確かです。例えば、面接官が意図している事をその通りに回答できた場合は、「相手の意図を汲み取る力」が評価される事もあるからです。

3. 人間はバイアスに囲まれている

こちらの記事にもあるように、人間は何かを判断するときに多くの偏見や心理的背景が働き、何かを認知したり、その認知に基づいて行動します。従って、面接という場では多くのバイアスが働いているという事を私たちは知っておくべきなのです。

例えば、面接のシーンで起こりやすいバイアスは以下の通りです。

・Stereotype of the ideal candidate(特定のキャラクター)
・Order of candidates(候補者の順番)
・Similarity bias(共通性)
・Physical attractiveness(外見的な魅力)
・Negative information(ネガティブな情報)
・Rating biases(評価におけるバイアス)
・Snap Judgements(第一印象で評価する)
Hypothesis testing(仮説検証)
・Amount of information(情報の過不足)

「特定のキャラクター」に対する偏見は、例えば体育会の学生は根性がある、という物がそれに該当します。「候補者の順番」とは、1番目の学生は評価が辛くなりがちとか、前後で超優秀な候補者がいた場合により強く影響されること。「共通性」は、面接官と同じバックグラウンドを持つ候補者は甘く評価されやすいとか、などです。「仮説検証」は、事前の情報によってその後の評価が影響される事を示しています。

4. 面接は信じられない?

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出所元:Ann Marie Ryan and Nancy T. Tippins
"Attracting and selecting: What psychological research tells us(2004)"

こちらの情報も少しずつ日本でも浸透してきたと思いますが、リクルーティング活動で頻発するその選考方法について夫々の相関関係を記した物です。少し古い情報ながらも、頭の片隅に置いておくべき情報だと思います。

上記のリサーチにおいては、実際に仕事をしてもらったときの評価(例えばインターン時の評価)が、連続的なパフォーマンス(いわゆる長期的なパフォーマンス)ともっとも相関性が高かったという事を示しています。

また、上記の情報で着目すべき点は他に2つあります。1つは、「あれ、面接って2つない?」という事と「テストってかかれてるやつ種類多くない?」という事です。

この分類によって整理されている "Cognitive Tests"とは、詳細はリンクで見て頂くとして、日本でいう筆記試験という捉え方をして頂くと良いと思います。"Integrity tests"は、ある特定の状況に対する回答を続ける事によって候補者の矛盾や誠実性を測定する試験です。"Personality Tests(Conscientiousness)"は、これも少し前述のテストに似ていますが「Big Five factors」と呼ばれる心理学でいうとても有名な理論の中の「Conscientiousness」にフォーカスして評価をつけるテストです。従って、日本でよく利用されている適性検査は、これらのTestをごっちゃ混ぜにした物という風に捉えて頂くのがイメージと近いかもしれません。

さらに、面接の種類についてですが「構造化面接」と「非構造化面接」の種類の二つに分かれます。「非構造化面接」とは、評価したいコンピテンシー(行動特性)が曖昧であり、評価の基準が曖昧であり、属人的に会話し、属人的に評価をつけてもらうという面接手法です。例えると、「プロ野球選手であれば、将来プロ野球に行ける素質を持った候補者を見抜く事ができる」という考え方になります。一方で、構造化面接とはその逆で、評価したいコンピテンシー(行動特性)が明確であり、評価の基準が具体的であり、標準化された質問に基づいて質問し、言語化された評価基準に基づいて評価をつけてもらうという面接になります。

従って、「安定的に高いパフォーマンスを発揮できる候補者を見抜いていく」という目的の場合は、各手法を組み合わせながら、効率性や妥当性を追求していくのが良い選考方法と言えます。

5. 良い面接をデザインするために

良い面接をデザインするためには、以下の何点かを注意する必要があると教授は述べました。

・面接で測定できる仕事に必要なKSAを測定するために面接を使用する(動機・人格を測定する場ではない)
・すべての候補者に尋ねるための標準化された質問リストを作成する
・仕事に関連する質問(状況、行動、サンプル、過去の行動)をする
・面接中および面接後に完成する各候補者の評価基準を作成します。
・面接中および面接後に記入された各候補者用の評価シートを作成する。
・評価方法について面接官にトレーニングを行う
・どのようにバイアスを避けるかについて、面接官にトレーニングを行う

非常に一般的ではあるものの、原則は地味である、という結論で今回は終了したいと思います。

Masa

頂戴したサポートでHRプロフェッショナルを目指す人々が学び続ける環境・場所・情報を作りたいと考えております。少しのサポートで活動が継続できます。大変ありがたいです。