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ポルトガルで10年前の答え合わせを

毎年恒例、夏休みの海外旅行。2019年はポルトガルに行ってきた。

「ポルトガル?良さそうだね。で、何があるの?」ポルトガルに行くことを伝えたとき、人からさんざん言われた台詞がこれ。

確かに、フランス、イタリア、スペインなどと比べると、超有名な建築物があるわけでもなく、すぐに頭に浮かぶ料理やブランドがあるわけでもない。

だけど訪れてみると、のんびりした街の空気や、親切な人々含めて、魅力的なものがたくさんある国だった。


そもそも、私のポルトガルとの出会いはこれ。

陸路でイギリスを目指す旅の途中、トルコかどこかのアジアの国で、主人公が街の人に話しかけられる。その人が言うには、お茶を「チャ」と呼ぶ国と「ティー」と呼ぶ国があり、「チャ」と呼ぶ国同士は仲間、だから俺たちは仲間だと。

そこからギリシャに入り、お茶を「ティー」と呼ぶ国に入ったと寂しく思う。そして旅の終盤、いつ旅を終えるべきかを悩んでいた時、ポルトガルでお茶を飲もうとメニューを見ると、表記が「cha」(※実際はaの上に点がつく)だった。それを見た主人公は、ここが旅の終わりかと感じる。

それ以来、ポルトガルは私の中で何かのきっかけを与えてくれる可能性がある国。そして同じ「チャ」の国の仲間、という印象だった。


あれから十数年、たまたまinstagramのフォロワーさんがポルトガルを旅行されていて、その写真がとても素敵だったことから、旅行先として案が出たのだった。


せっかく懐かしい小説の地にいくならと、ポルトガルに行く前に改めてヨーロッパとアジアの茶の語源を理由を調べてみた。

お茶は中国からアジアやヨーロッパに、交易によってもたらされた。中国語の発音では、お茶は広東語系の「チャ」と福建語系の「テー」の2種あり、お茶が広東語圏と福建語圏どちらを通して伝搬されたかで発音が異なるそう。

ヨーロッパの多くの国へは、福建語の地域との海路の貿易によってお茶が広まったものの、ポルトガルだけは大航海時代に広東語圏を訪れ、そこで最初にお茶の存在を知ったり、「チャ」と発音するアジア圏の国での見聞を本国に送ったことから、「chá」の呼び名が定着した。

ポルトガルで実際にお茶が「chá 」と表記されているのを見たときは、小説で読んだことの答え合わせをしているようで、とても嬉しかった。


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