欠けたものに口づけて、樋口円香と衣装コメント

 「これからよろしくね!」「もぎたて♡にーちゅ」「コンペイト☆キス」「困らせないで?PUREMINT」それらを、いや悪ノリだろという、心の底からの囁きを無視して、現時点でどういうことか無理矢理に考えてみちゃうぞ、のコーナーです。

 ピトス・エルピスを受けてボツにする予定でしたが、まぁ途中まで作っちゃったし。シャニマス投稿祭のにぎやかしになればいいなと思って仕上げました。先に謝っておきますが、こじつけです。繰り返します、こじつけです。いいね?

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 そもそも樋口ポエムとしてこれらの……なんだろう、台詞……?一言コメント……?まぁこれらが耳目を集めてしまったのは、樋口が絶対に言いそうにない台詞だからなんですよね。あぁ見えて気を許した相手にはノリがいい面を見せる樋口なので、真顔で言ってのけて笑わせるくらいはしてくるかもしれませんが、それはよっぽど気を許した、それこそノクチル内くらいでしょう。であるからして、これらの絶対に言いそうにない台詞たちには、何かしらの意図があるのではないか?と疑ってみようではないか。

 こんなん作っておきながら、自分の中で一番有力説は「ただの悪ノリ」です。それはスタッフの悪ノリ&ああ見えて幼馴染間であればノリがいい樋口概念が好きだからです。
 そうはいいつつ、なんやかんや理由をつけてみようじゃないかという試みなので、9割方幻想を見ている。こじつけです、いいか、あんまり真面目に捉えるなよ。

基本のキ

 とりあえず、そもそも単語としてどういう意味なんだお前という部分を、簡単に元がどういった言葉なのかを分解していきたいと思います。
 まず、にーちゅ=need you 説(高山Pインタビューより)を一部採用するとして、それとキスをダブルミーニングしてあるとしましょう。コンペイトは宇宙→星→星形の菓子である金平糖→コンペイトという認識ということにします。
 これらに共通して言えることは、元々の単語から引いたり、変換したり、歪めた形にして、かつそれとキスを組み合わせることです。

 求められる仕事としてのアイドルの役割をこなす、それをしたいのかしたくないのかという本人の意思は別にして。この部分は水着SRでもシャニPと樋口がやり取りをしていた内容になりますね。樋口円香は本人がそれをしたいと思っていなくとも、必要があればやることを選べる人間であることは提示されている。シャニPの前では否定的なことを口にすることがあれど、アイドルらしさを求められた際に出来る限りで応えるということです。
 つまり樋口の中でキスというのがアイドルらしいサービス仕草(ファンサ)として思いつくものなのでは?という仮説が立てられる。初期立ち絵(アイドルロード産フェスアイドル立ち絵)からして投げキッスしているし。
 二次創作でロリコンにされがちな(個人的には前述のような拡大した切り取り方は正直好みではないが)小糸に対する優しさだとかに透けて見えるのは、純粋さに対して貴重さを感じているのではないか?本物と偽物という考え方においてその性根の美しさ純粋さ、つまりはPUREさ、を重視するならば、PUREMINTは純粋で爽やかな印象となり、樋口の中でのアイドルはそういうものなのではないか?とも考えられる。
 樋口なりのアイドルらしいアイドルという偶像が、キスやPURE、そしてそれを真面目にアウトプットした結果なのではないか?

完璧ではないもの

 ではそのままキスを主張するのではなく、なにかしら欠けているものと組み合わせるというのは何だろう。可愛げの演出としての、舌足らず感であったりする可能性もあるだろう。一昔前の感覚でいえば、女性アイドルは隙があった方が可愛がられる、みたいな演出の可能性もあるかもしれない。それぞれ可能性はあれども、それらはどうも樋口という人格にマッチしない。古い感覚のアイドル像をノクチルに乗せるのは、水と油だろう。
 足りていないのは樋口が思うアイドルっぽさの像ではないとする、では足りていないものは樋口にあると考えてみる。素直さ、愚直さ、可愛げ……別にこれらは樋口円香に対する批判ではなく、スタンスの違いという観点において、そういった面は欠けていると樋口本人も認めるだろうと思われる。ここで踏まえておきたいのは、樋口が自覚していそうな樋口に欠けている要素が、前節で考えた樋口の考えるアイドルらしいアイドル像と近いのではないか?という点だ。可愛らしく愛嬌を振りまき素直で純粋でPURE……樋口が自分には向かないと思っていそうな像ではないだろうか。
 「完璧じゃない?」というボイスがありつつ、樋口円香という人間は自分のアウトプットが完璧であったとは自負できないタイプである気配はそこかしこにある。ただし、自己評価が低いという訳ではなく、求められるレベルとそこへ到達する必要努力は読めていて、その先の話だ。細かくは書かないがwing、感謝祭、gradに続きピトス・エルピスでもその要素は見え隠れする。
 上記の過程を元に、欠けているものとは樋口円香という人物の、その立場と相反する自己表現。求められているものに対して相応しくないという自己評価、それにも関わらずそれを求める気持ち自体は理解できてしまう、その歪みなのではないか?としておこう。

君は誰とキスをする

 さて、それぞれの単語が樋口円香らしくないけれども、そのらしくなさが樋口円香らしいという風に見てきたが、それらは分断されてしまっている。あくまでもそれらを組み合わせたということを考えなければならない。
 前節ではキスという行為を樋口の考えるアイドルらしさという一面から考えてみたが、もっと単純に意図をとらえてみたい、愛の発露、愛好の証としてだ。古今東西キスと言えばその対象に対する愛情を表すものである。それを欠けたものに向ける。欠けたものとは樋口円香という人物の自己表現なのだとしたら、ありのままの自分を愛して欲しいというメッセージにならないだろうか。
 樋口はそういう人間ではない!!!と思われるかもしれないが、ここで言いたいのは、そうだとはっきり断定できる表現ではないということだ、伝わって欲しくないからこその婉曲表現ではないか。
 樋口だけではなく人は大なり小なり誰もが三峰イズム(分かって欲しい分かられたくない分からないでいてね)を抱えて生きているものだが、樋口にもその片鱗はある。人よりも出来るが次もまた評価されるかが分からない、それが怖い、そういった本音を抱えながらも、表面上はシニカルに立ち回る、自分の意志で活躍したい訳ではないというのが彼女の一種の鎧なことは言うまでもないだろう。
 「ありのままの自分を愛して欲しいが、ありのままの自分が愛されることは望ましくないし、そもそもありのままの自分を愛して欲しいというのはどだい無理な主張である。」と考えている樋口円香は、想像できないだろうか?私は割とできる。樋口円香の卑下しすぎないが根底に流れる現代っ子らしい社会へのすれた目線と態度と理解(と幼馴染である透の特異性からの影響)による自己評価や、それだけではない本心に渦巻く情熱、それらを飲み込めば、こういったものが見えてこないだろうか?
 欠けているものを、欠けているままに愛して、口づける。そういったビジョンが浮かんでは来ないだろうか?

 プロデューサー諸君、ではそういったメッセージを読み取った我々はどうすべきだろう。見て見ぬふりをしてやるべきなのである。樋口らしからぬメッセージに目を通し「提出ありがとう。確認したよ。ははっ、いいじゃないか。」「グー」なんてメッセージを送って。既読無視されるべきなのだ。そのために分かりずらく本心を隠しているのだから。そしてそれに気づいてしまったのだから。

怪文書の用法容量

 ここまでこんな文章を読んでくれた皆様に、責任をもってお伝えしたいことがある。
 基本的に上記に長々と書いてきたことだが、典型的な詭弁である。「媒概念不周延の虚偽」とか「合成の誤謬」とか他にも沢山。詭弁のwikiは暇つぶしに読むのにおすすめです。
 一瞬でも、もしかしたらそうかもしれない、と思った方がいたら。(いるのか…?)今の時勢で話題の陰謀論とかに騙される可能性があるんだなと思って欲しい。もちろんそうでなくとも全員そう思っておいた方がいい。かもしれない運転は大事。
 何時間もかけて作った文章を、詭弁だとか、怪文書だと、私は自分でそう呼ぶ。それはそれが正しいと思うからだ、そして、こういった馬鹿馬鹿しいことにこそ、訳のわからぬ詭弁の総本山であるべきだと思うからだ。医療だとか科学だとか政治ではなく、架空のキャラクタ理解に使われた方がよっぽど詭弁も幸福だと思うからだ。
 どんなに下らなく思えても、彼女/彼たちのことを真面目に考えてみることこそが、キャラクタとして生まれた存在へ注げる、最大限の愛情だと私は思っている。そしてこんな文章を読んでいる読者のあなたにも、キャラクタを理解したい考えたいという意識があって、それは愛情に他ならないと感じている。
 だからこそ言っておきたい、ここまで読んでいる貴方は絶対に才能がある。煮えたぎるような愛情を、文章にぶつけてみませんか?
 もしかしたらこうじゃないか、私はこう思った、そういった感想・考察・怪文書、それらはもしかしたら誰かの思考の助けになるかもしれない。どこか拙く、けれども一生懸命高らかに歌い上げるその歌は誰かに届くかもしれない。知識というのは積み重ねであり、発想というのは連想に近い。そう、我々はそれを知っているはずだ。

一人一人が探し集めた
輝きを合わせて
明日を照らす
小さな光になった

ずっと待っていた重なる時を
信じて紡いだ言葉で
織りなす七つの願いを込めて

歌になれ

 はっ!これはまさしく……Resonance+!!!!!

  大嘘だよ、そんなことはないです。名曲を汚した、学会を追放される。助けてくれ樋口。それにしてもいい歌詞だな、上記曲名から公式に飛んで買おう。

 最後に謝辞を述べて終わりにしたい。
 シャニマス投稿祭がなければ多分これらの文章は永遠に下書きのまま眠らされていたと思う。気合の入った作品から、なにかキメながら作ったに違いない、(クスリ)持ってんだろ……くれよ……みたいな作品までが集まるこの祭り、主催と空気を作ってきたこれまでの参加者の皆さまに、この場を借りて心より御礼申し上げる。この文章は君たちのせいで出来ました。

おしまい。

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