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ピッチの切り取り方とシャドーについて≪J2第31節 大宮アルディージャvs町田ゼルビア レビュー≫

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①はじめに

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※Football Labより引用
大宮アルディージャ 1 - 1 町田ゼルビア
【得点者】
前半3分 ロメロ フランク(町田)
後半28分 イッペイ シノヅカ(大宮)
【警告・退場】
後半25分 ロメロ フランク(警告・町田)
【ハイライト】

②町田のサイドアタック

町田は、選手をサイドへと過度に集中させる特徴的なサイドアタックを仕掛けてきます。サイドに人数をかけることで数的有利を活かしながら攻撃をしかけつつ、ボールを失った際にすぐさま相手の選手へとプレッシングを行うことが出来ます。

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町田の2FWは大宮の3CBの選手間から裏のスペースへと積極的にランニングを仕掛けていきます。大宮の3CBが裏へと走りこむ町田のFWについていくとPAの角のエリアが空いてきます。そこにロメロフランクがボランチの位置から遅れて走りこんでいきます。
同サイドアタックを行うことで、ボール前進の場面でボールを失っても周囲に味方の選手がいる状態なのでカウンタープレスをしかけることができます。しかし、ロメロフランクがPA内に侵入していくことで、ボールロスト後には中盤にDHが1人だけになるので被カウンターに対する保険は効果的ではなくなると思えます。この辺りはメリットとデメリットを天秤にかけたときにどちらが勝るかどうか、チームとしての判断しているなのだと思います。

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試合開始直後の先制点もこのサイドアタックから生まれています。

過去のロメロフランク選手の得点シーンをチェックしても同じような構造が見られます。町田の狙いがしっかりとハマった結果、ロメロフランク選手が得点を重ねているのでしょう。

③町田の守備の特徴

町田は全ての選手がPAの幅の距離感を保ちながら442のブロックを敷いてきます。2トップが相手のビルドアップ隊に対してプレッシングを行うことでボールをサイドに誘導しながら、MFとDFの4-4ブロックがボールサイドへとスライドしていきます。大宮の3バックに対して2トップのスライドが間に合わない場合はSHが一列出て、343のように変換してプレッシングを行います。

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サイドの高い位置へとボールが入ると、町田はすぐさまPA付近まで撤退し、クロスを跳ね返す準備を行います。この際に、サイドの高い位置にいる大宮の選手に対してSBが出てきて対応します。
一般的にはDHがSBが出ていったエリアに降りることでチャンネルを埋めたり、SBが対応せずSHがSBの脇に降りて対応する形が多いです。しかし町田はクロスを供給される前提で動くため、チャンネルが空くことが非常に多かったです。また、クロス対応のためにPA内へと集結する意識からなのか、大外の選手を見失うことがあり、大宮のWBの選手がしばしば浮いているシーンが見られました。

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大宮の得点シーンも指摘したこの2つのポイントの組み合わせによって生まれています。

④3バックによるベーシックな442崩し

3バックのチームに対して442のチームがプレッシングをしかける際に、SHとSBが一列上がって343へと変化するのは良く見る形です。
大宮のDHの一枚は町田の2トップの間に立つことで、町田の2トップの選手に対して縦パスを意識させることで二人の距離を狭くさせます(DHにパスが入って前を向かれてしまえば、一番危険な中央のエリアを明け渡すことになる)。
DHの立ち位置によって町田の2トップが中央に締まることで、大宮のビルドアップ隊が左右にボールを動かすと町田の2トップのスライドが間に合わないシーンが出てきます。そうすると、SHが前に出てきます。
この際に、WBが少し降りる(SHとSBの間の高さに立つ)ことでビルドアップの出口となります。町田のSBが降りる動きをする大宮のWBへとついて来れば、シャドーが町田のSBの裏のスペースへとランニングしてビルドアップの出口となります。

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では、2トップが中央を締めて左右にスライドしなければどうなるでしょうか?ここで重要となるのはHVの持ち上がりです。この試合ではあまり見られませんでしたが…(町田のスライドが素早かったため後半途中まで出番なし)。

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HVが持ち上がることでSHは複数の選択肢を迫られます。あとは相手の動きを見てHVは最適の選択を行えば良いです。

①WBを見ようとすれば、ハーフスペースが割られる。
②OHを見てれば、WBが浮いてしまう。
③SHがHVまでプレスを行ってボールを追い出そうとすれば、最終ラインの選手がOHとWBを見ないといけなければならず、最終ラインに穴が空く。

⑤ピッチをどのように区切って解釈するか

大宮はピッチ上に均等に選手を3-2-5のフォーメーションで配置していました。ピッチ上に均等に選手を配置することで、町田の442ブロックが捨てたエリアに人を置くことが出来るので、サイドチェンジからチャンスを創出することが出来ます(後述)
しかし、ピッチ上に均等に選手を配置することで生じるデメリットもあります。
1つ目に考えられるのは、ボールホルダーは常に複数人からのプレッシャーを受けなければなない状況下に陥ります

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ネガトラでは各所で数的不利が生まれていることで、MFとDFは複数の判断を強いられることになります。

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ピッチに人を均等に配置して横幅と深さを作り出すことは、フリーになる選手を創出したり、ここの選手のプレーエリアを創出することに繋がります。しかしながら、切り取り方を変えて考えると各所で数的不利を作り出すことにもつながります。
基本的な考え方ですが、「攻撃の際には相手を縦横委に広くさせる」「守備の際には自分たちが縦横に狭くなる」というのは、ピッチをどのように切り取って考えるかというところに繋がるのかもしれません。

⑥奥井のアイソレーション

大宮の攻撃の狙いは大宮の左サイド(町田の右サイド)に町田の守備ブロックを集め、空いた右WBの奥井を使って素早く攻撃することでした。
大宮はアイソレートした奥井から、高い位置をとる町田の最終ラインと町田のGKの間のスペースへと低い弾道のアーリークロスを供給し続けることで前半からチャンスを創出し続けました。クロスに対して左サイドのOHとWBはシュートを求められることから、得点感覚に優れる大前と吉永が起用されたのだと思います。しかし前半の場面では大前のスプリント能力の問題や、WBのスタート位置の低さから奥井のクロスに対して飛び込むのがFWのシモビッチだけという場面が多く、決定的なシーンまで至ることはありませんでした。

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⑦541から442への変化した理由

後半から吉永に代わってイッペイを投入し、大宮は442へと変化します。
この変更の狙いは大きく3つ考えられます。


①守備時に大宮のDHが町田のSHを見ていたことで、DH-DH間を使われていたので、中盤を厚くすることで大宮の3バック(変更後は2CB+SB)の前のエリアの防御を厚くする。
②大宮の守備時に余っていたWBを一列上げてSHにすることで、カウンター時に素早く相手の裏を取れる(適性位置に走りこむ距離が短くて済む⇒早くポジショニングをとれる)。

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③奥井のクロスに対してPA内に入っていくためのスタート地点がWBよりSHの方が前にあるので間に合う。(吉永よりもイッペイの方が速い)

早い時間に大前⇒富山への交代が行われたのも大前の負傷に加えて、PA内に入っていく選手の数を増やす目的があったと思います。(ビルドアップ時にシャドー役に裏抜けをさせて相手を動かしたいという目的もあった可能性もある)

なお、後半の途中まで三門が最終ラインに降りて河面も上がって415のような形でビルドアップを行っていました。しかし、町田の2トップに対して4人を最終ラインに割く必要がなく、ネガトラの問題もはらんでしまうことから、このような形に代わっていました。
奥井だけが一列上がった325の形をベースにしながら、町田の前線のスライドが疲労によって遅くなったこともあり、左SBの河面の持ち上がりからチャンスを作っている時間帯もありました。

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⑧シャドーに求められる仕事

大宮のここ数試合の攻撃の停滞はシャドーの動きに原因があると思います。そこで、3421のシャドーの選手がビルドアップで担う仕事を整理しておきたいと思います。
①相手を留めるためのポジショニング
相手のMFラインとDFラインの間に立つことで相手の布陣を中央に締めさせる。⇒大外の選手や中盤の選手にプレーエリアを与える。
②ビルドアップの出口役
相手の守備ブロックがゆがんだ際に、そのゆがみ(スペース)でボールを受ける。
③相手を動かすためのランニング
相手の最終ラインの裏へとランニングすることで相手の守備ブロックにゆがみを作り出し、他の選手がボールを受けるエリアを作り出す。

大宮の選手は③の仕事が出来ていないことが多いです。
裏へのランニング意識が希薄であることから、相手の配置にゆがみ(ズレ)が生じず、ビルドアップ隊はボールを前に運ぶことが出来ません。そうすると、大宮のビルドアップ隊は無理な形でフアンマやシモビッチに対してロングボールを供給してしまい、跳ね返されてカウンターを受けることになります。(顕著なのが甲府戦の後半や栃木戦の後半)
また、①の仕事も出来ていないことがあります。
ビルドアップに詰まってくると中盤まで降りてボールを受けようとしまうので、味方のプレーエリアを潰してしまうだけでなく、ビルドアップの出口役が一人減ってしまいます。
こうすると、中盤の選手は狭いプレーエリアでボールを受けなければならないので相手のプレッシングを真っ向から受けることになります。

大前や奥抜は①~③のプレーを正確に判断しながら行うことが得意ではありません。一方で茨田や富山、小島(フアンマ)は①~③のプレーを忠実に行うことが出来ます。従って、今後は茨田や富山、小島がシャドーでプレーする機会が増えてくるのではないかと私は予想しています。

⑨おわりに

1-1という結果に終わってしまいましたが、少なくとも攻撃に関してポジティブな印象を受けました。戦術・配置・選手の特性が前半は噛み合わず得点機会を得ることはかないませんでしたが、シャドーの選手の動きやチームとしての狙いは理解できる部分が多かったです。
後半から、よりこの試合へチームとしてアジャストするために442への変更し、イッペイ&富山の投入すること得点機会を多く創出できていたと思います。的確な高木監督の判断だったと思います。

次節の横浜FC戦は難しい試合になることが予想されますが、私が注目すべきポイントはこの3つです。

①ビルドアップの際にシャドーが他の選手へスペースを作り出せているか
②ビルドアップ隊が無理なボールを供給しないか(櫛引と河本が無理なボールを供給しがち)。
③相手のビルドアップ隊へのプレッシングの際にSBの選手を抑えることが出来るか


昇格戦線に生き残るためにも、大声援でチームを後押ししていきましょう。

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あるちゅー(ちくき)

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あるちゅー(ちくき)

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