改めて大宮アルディージャの戦い方を振り返ろう②攻撃編(横浜FC戦・東京V戦・長崎戦を終えて)

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①はじめに

4戦未勝利の状況から徐々に復調してきている大宮アルディージャ。
大きな変化があったわけではなく、これまでの戦い方の延長線上に東京V戦・長崎戦の快勝があります。
ここでもう一度、今年の大宮アルディージャの戦い方を考えていきましょう。
ということで第二弾の攻撃編です。第一弾の守備編はこちら。

大宮アルディージャの攻撃を考える前に、現代サッカーにおける守備の基本であるゾーンディフェンスについておさらいしておきましょう。

②ゾーンディフェンスの基本的な考え方

完成度の違いはあれど、昨今のサッカーではほとんどのチームがゾーンディフェンスを採用しています。
国内で奇麗なゾーンディフェンスを魅せているチームの代表格はロティ―ナ監督が率いるJ1のセレッソ大阪と長谷部監督が率いるJ2の水戸ホーリーホックですね。

攻撃を語る前にまずは守備の基本概念について理解していなければ、本質的な部分を理解できません。『なるほど…?』という中途半端な理解で終わってしまいます。
ということで、回り道にはなりますがゾーンディフェンスの基本的な考え方について復習していきましょう。

ゾーンディフェンスはピッチ上にある危険度の高いスペース(エリア)から順番に守備をしていく守備です。

ゴールから遠ければ相手がボールを持っていてもゴールに到達される危険性が低く、ゴールから近い位置で相手にボールを持たれてしまえば相手にゴールへ到達される可能性は高くなります。
よって、簡単に言えばゾーンディフェンスではゴールに近いエリア(スペース)を優先的に埋めていくことになります。

マンツーマンディフェンスではマークをする相手選手の立ち位置を基準に自身の立ち位置が決定しますが、ゾーンディフェンスでは3つの基準で自身の立ち位置を決定します。

①ボールとゴールの位置(プレッシャーをかける人)
②味方選手とゴールの位置(カバーをする人)
③相手選手の位置(プレッシャーをかける人)

ボールホルダーに対してプレッシャーをかける際にはボールと自身が守るゴールの延長線上に立つことになります。その際にボールホルダーへとプレッシャーをかけにいった選手のスペースを埋める必要があります。

プレッシャーをかけにいった選手のいたスペースを埋める動きをディアゴナーレといいます。原則的にはプレッシャーをかけに行った選手の斜め後方のスペースを埋めることになります。
ディアゴナーレの動きを行えば、他のスペースが空いてしまうので周囲の選手は更にそのエリアを埋める動きをします。この危険度の高いエリア(スペース)を埋める連鎖性のある動きをスカラトゥーラといいます。

危険性の高いエリアを優先的に埋めていこうとしますが、ピッチ上を10人で全て埋めることは不可能ですので、ボールとゴールの位置関係から危険度の低いエリアは放置することになります。
危険度の低いエリアにボールが到達すれば、各選手はゾーンディフェンスの基準に沿いながら移動していくことになります。

③攻撃側から見た到達したいエリア

ゾーンディフェンスの概念を理解すれば、おのずと攻撃側が到達したいエリアは分かってくると思います。

『相手チームはゴールから近いエリアを埋めていく=ゴールの近くに侵入されたくない』わけですから当然、中央にいけば中央に行くほど守備は厳しくなりますしタッチラインに近づけば近づくほど守備は厳しくなります。
一方で攻撃側はゴールの近くで相手チームの選手からの圧力が無い状態でプレーしたい(シュートをしたい)わけですよね。
攻撃側は如何に相手のプレッシャーが厳しいゴール周辺にいる前線の選手へと余裕を持たせてボールを届けるかといことが重要になってきます。

ここまでが概念の話です。
ここからは大宮が具体的にどのように攻撃を行っているのか考えていきます。

④大宮の攻撃時の布陣

前回の記事で言及したように大宮の基本布陣は3421というフォーメーションですが、攻守での役割を考えるともう少し異なってきます。
守備時は523と541という布陣(選手配置)を採用していると言及しましたが、攻撃時には325と4123という布陣を採用しています。

325が基本的な攻撃の陣形で、多くの試合ではこちらを採用しています。
415を採用するときは相手が3CBに対してプレッシングをしかけてきてボールを自由に持つことが困難な場合だったり、河面選手と櫛引選手(左右のCB:HV)の2人にサイドバックのような仕事をさせたい場合に用いることが多いです。

⑤相手の出方によってボールの前進方法を選択する

大宮の攻撃のキーワードは「シンプル」と「素早く」でしょう。
簡単に説明すると、「シンプル」に攻撃するとは『相手のいないスペースを使っていくこと』ですね。
「素早く」攻撃するとは『相手の陣形が整う前に攻撃を行うこと』です。

手が大宮のビルドアップ(分からない方はリンク先を参照)に対してどのような反応を示してくるかでボールの前進方法は変わっていきます。
ここでは相手が442というフォーメーションを採用してきた前提で話を行っていきます。

①相手が最終ラインにまでプレッシングを行ってくるとき(長崎戦と東京V戦で良く見られた)
442のチームが325の大宮に対してプレッシングを行おうとすると、SHとSBの選手が一列ずつ上がってそれぞれ大宮のCBとWBに対してプレッシングをしかけてきます。
そうするとSBがいたはずのスペースが空くのでそのスペースへとシャドー(奥抜・茨田)やFW(フアンマ)を走らせることでボールを前進させます。

②最終ラインにまでプレッシングを行わないが、FWラインを突破されるとボールを奪いに来るとき(長崎戦で良く見られた)
2トップの裏にいる大宮のボランチの選手(DH:三門・小島)へボールが入ると、442のチームはボランチの選手が大宮のボランチへとプレッシャーをかけにきます。
このとき、相手チームがディアゴナーレとスカトゥーラの動きが徹底できていなかったり、ボールの移動に対してポジション修正が間に合わなかったりするとプレッシャーに出てきたDHの選手の裏のスペースが空いてきます。
このエリアにシャドーの選手が移動して左右のCB(HV)からのパスを受け取ることでボールを前進させます。

③相手がブロックを形成して動かないとき、あるいはスペースが見つからないとき(長崎戦と横浜戦で良く見られた)
ゾーンディフェンスは優先度の高いエリアを順番に埋めていくため、ボールが大外にある時には逆サイドのスペースは放置されていることが多いです。
従って、ボールを動かすことで相手の陣形が一方のサイドに寄ったときにはCBからWB(イッペイ・酒井)やFW(フアンマ)への対角線のパスで一気にボールを前進させます。

⑥ゴールを如何に奪うのか

これまでの大宮はボールを前進させることは出来てもそこからどのようにゴールを奪うのかという部分が整理されていませんでした。
どちらかというと、『各選手の個の力(質的優位)でなんとかしてくれ!なんとかなったわ!』みたいな試合ばかりでした。
これでは、相手の質が高いチームやスペースを与えてくれないチームに対しては通用しません(封殺されてしまうことも多々)。

このようになってしまう原因はポジション意識が高すぎて、DFラインの背後を取る選手がいなかった(相手の陣形を動かさなかった)ことに尽きると思います。
背後を取る選手がいなければ、相手のDFは目の前にいる選手に対応すれば良いだけなので非常に簡単なプレーですし味方のカバーリングも期待できます。また、相手の陣形は動かないままなので中央に近づくほどスペースがなくなっていきます。

しかしながら、東京ヴェルディ戦辺りから前線の選手たちから相手の背後を取る動きが生まれてきます。これによって何が生まれてくるのでしょうか?

相手の背後にランニングすることで相手の選手は動くこと(陣形を崩すこと)が求められます。そうすることで、前述したままでは生まれなかったスペースが連鎖的に生まれてくるのです。大宮の選手は空いたスペースを選択しながら攻撃を行っていけば良くなります。

動きを単純化するとこんな感じ。(せんだいしろーさんのPSG分析とほぼほぼ同じような形です。)

ここからはシャドーの裏へのランニング後に大宮の選手がとれる選択肢を何個かあげていこうと思います。全てではないので皆さんも試合を観ながら探してみてください。新しく発見したらTwitterで教えてもらえると嬉しいです。

比較的理解が進んでる方は『ハーフレーンで相手のDFラインの表と裏をどちらも使えるようにしている』と思ってくださればいいです。

ここ最近頻出するパターン。DHがCBのいたエリアに降りたあとに大外の選手がカットインしてくる。

たまに行うサイドチェンジ。おもにペナルティエリア内にいる味方の選手が少なかったり相手の帰陣が速かったときに使うことが多い。

CBが裏抜けに間に合わずに一発でニアゾーンを取れた場合。シュートの選択肢もあるが、背後を取られた相手のDFたちは必死にゴール前に戻ろうとするので、マイナスのクロスを送ることとDHがフリーでシュートを打てる。

あまり頻出する動きではないが、このパターンが実行されるときはたいていペナルティエリア内まで侵入できることが多い。

奥抜&フアンマのペアが良く行う形。

⑥おわりに

思っていたよりも公式のピックアッププレーで使える映像がなかったので、イメージが付きにくい方も多いかもしれません。
しかしながら、今回の記事で挙げたビルドアップ(ボール前進)やアタッキングサードでの崩し(どのようにしてゴールを奪うのか)という部分はフルマッチを観れば多く見られると思います。
大宮の攻撃が大きく変わったのはニアゾーン(ペナルティエリア内の左右のエリア)へのランニングが頻繁にみられるようになったことです
5バックのチームと対戦すると、ニアゾーンの前にはHV(左右のCB)の選手がいるので、攻略の難易度は上がってきます。そのようなときに大宮の選手たちがどのような反応を見せるのか注意深く観察してみてください。観察する際のヒントはこの記事に載せてあります

守備編と攻撃編の2つに分けて大宮アルディージャの戦い方を振り返ってきましたが、いかがだったでしょうか?
大容量ですが、2つの記事を読んでいただければ大宮アルディージャの現状を理解することが出来ると思います。

次節(35節)は強敵の水戸ホーリーホックと対戦しますが、現状の大宮ならば十分に勝てる相手だと思います。
『心は熱く、頭は冷静に』
昇格を目指して闘う大宮アルディージャを後押ししていきましょう!

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改めて大宮アルディージャの戦い方を振り返ろう②攻撃編(横浜FC戦・東京V戦・長崎戦を終えて)

あるちゅー(ちくき)

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あるちゅー(ちくき)

大宮アルディージャについての記事を投稿します。気が向いたときにはレガネス(スペイン)含めてた海外のチームについても投稿します。 twitter(https://twitter.com/Soka_ardija0331?s=09

大宮アルディージャ戦解説

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