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大宮アルディージャに関わるみんなの力でもぎ取った勝利(J2第39節 大宮アルディージャvs柏レイソル レビュー)

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この試合のプレビューはこちら

①はじめに

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大宮アルディージャ(オレンジ)
河面が出場停止から復帰し、ベストメンバーで首位の柏に挑む。
相手のDFやGKまでボール奪取を狙う523と自陣に引いて守る541を併用しており、ボール奪取後にスプリント力のある選手たちが繰り出す高速カウンターがストロングポイント。

柏レイソル(黄色)
クリスティアーノと三原がケガで欠場。代わりにマテウスサヴィオと手塚がスタメンに起用された。
江坂やヒシャルジソンが相手のMFとDFの間で、最終ラインからのボールを受けながら相手を攻略していきたい。しかし、ストロングポイントは強力な前線4人(オルンガ・江坂・瀬川・マテウス)が繰り出すカウンター。

②柏レイソルの狙い通りの先制点

(マテウスサヴィオの先制点 0:20~)

523のフォーメーションで首位の柏に挑んだ大宮アルディージャは試合序盤から相手の最終ラインまでプレッシングを仕掛けてきた。
それに対する柏レイソルのボールの前進方法はプレビューで書いた方法と同じ方法だった。(433での前進)(詳しくはプレビューを参照のこと)

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大宮の守備の狙いは柏の最終ラインまでプレッシングを仕掛けることで柏レイソルのCBにSBやDHへパスを出させること、オルンガへのロングボールを蹴らせることにあった

理由はいくつか考えられる。

✓高い位置でボールを奪ってカウンターを仕掛けれればゴールへと到達しやすいこと。
✓柏のCBはあまりボールを扱う技術が上手くないこと。
✓大宮のCB3人(河面と河本と櫛引)が対人能力に優れるので、柏の前線とロングボールを競り合ってもある程度勝利が見込めること。

CBがボールを持っているときにFWフアンマはアンカー役であるDH手塚を捕まえておく役割があった。
シャドーの2人(OH奥抜とOH茨田)は柏のインサイドハーフ役(江坂とヒシャルジソン)へのパスコースを消しながら、SB(古賀と高橋)にパスが出た際にはプレスをかけられる立ち位置(中間ポジション)を取っていた。

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CB⇒CB、SB⇒CBへのパスをきっかけにフアンマがDH手塚へのパスコースを消せるコース取りをしながらボールをもつCBへとプレスを仕掛けることから大宮のボール奪取が始まる。
シャドー(OH)の選手はSBとCBへそれぞれパスの出た先へとプレスを仕掛けていった。

SBへとプレッシングを行った場合には、アンカー役へのDH手塚へと大宮のDH(三門と石川)がプレスを行い、浮いてしまったインサイドハーフ役(江坂とヒシャルジソン)には両CB(櫛引と河面)が縦に移動して捕まえる約束になっていた。

シャドーの選手が柏のCBへプレッシングを仕掛けた場合に浮いた柏SBに対しては両WB(イッペイと酒井)が前に出て対応する。
前に出ていったWBの裏は左右のCB(櫛引と河面)が横に移動することで、空いてしまったWBのスペースを埋める約束だった。
この場合の大宮としては、柏のCBからパスを受けたSBや前線の選手(オルンガ・瀬川・マテウス)のところでボールを奪いたかった。

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失点シーンについても同様の方法で柏のCBへのプレスが開始された。
しかしながら奪いどころの1つである瀬川vs櫛引のところで、瀬川の巧みなオフザボールの動き(ボールを持っていないときの動き)によって櫛引が対応しきれずに裏を取られてしまい、失点に繋がってしてしまった。
(マテウスサヴィオとの競争に敗れた河面&酒井の対応も良くなかった)
失点後も何度か櫛引が裏を取られるシーンが見られたが、試合が進むにつれて瀬川の動きに適応して裏を取られるシーンは少なくなっていった。

≪まとめ≫
✓大宮は柏のCBまでプレスを仕掛けて、高い位置でボールを奪いたかった
✓奪うためには前線の人数が足りないので、WB(イッペイと酒井)がサポートのために前に出る。するとWBの裏のスペースが空いてしまう。(抱えるリスク)
✓WBの裏のスペースはCB(櫛引と河面)が横に移動することで埋める。
✓失点シーンは瀬川の動き出しが巧みだった。

③積み上げたものを信じた結果の同点

相手のCBまでプレスを行うことでどうしても抱えてしまう弱点を突かれて失点してしまった大宮アルディージャだったが、この日の大宮はめげることはなかった。
積み上げてきたもの(相手の最終ラインへのプレッシング)を信じて、失点後も果敢に相手の最終ラインへとプレッシングを実行していく。
同点弾も相手の最終ラインへのプレッシングが実った結果だった。
パワーを持って相手のCBへとプレッシングを行ったフアンマ、茨田、奥抜の前線3人とそれに呼応してアンカー役の手塚へとプレスを仕掛けた石川の頑張りを、僭越ながら褒めたいと思う。

④シャドーのランニングと逆転弾

同点弾の数分後に逆転弾が生まれた。
逆転弾のポイントはここ最近の大宮では影を潜めていたシャドー(OH)へのランニングだった。

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3バックに対して442のチームがプレッシングを行うには前線の枚数が足りない。そのため、SHの選手が1人前に出て対応する必要がある。
それゆえ、前に出ていったSHの裏のスペースで大宮のWBはボールを自由に持つことが出来る。
得点シーンはSHマテウスの裏でWB酒井がボールを持ったタイミングで奥抜が斜めにランニングを行ったことで、パスコースを消していたSB高橋が奥抜に引っ張られて酒井からフアンマへのパスコースが開通した。
フアンマがそのままワンタッチで裏へとボールを落とした結果、ランニングしていた奥抜が柏の最終ラインの裏でボールを持つことが出来た。
最終ラインの裏でボールを持った奥抜に対して飛び出してきたGK中村を避けるようにPA内へクロスを送り、イッペイの落としを茨田が決めて逆転に至った。

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逆転弾の他にも奥抜のランニングによってチャンスが生まれたシーンがあった。
(プレビューで指摘した柏の弱点である古賀の背後を狙ったシーン)
奥抜が逆サイドのSBの裏へと斜めにランニングすることで、中央を埋めていた染谷が引っ張り出され、イッペイが走りこめるスペースが生み出されました。
イッペイの動き出しはフロントカットと呼ばれるもので、マーカーの視界の前側を通ることで、マーカーがパスコースに体を入れる前にボールに到達することが出来るので、シュートをより容易に行うことが出来る。

≪ポイント≫
・中央からサイドの裏へとランニングすることで人を動かすことが出来る。すなわち、スペースを作り出すことが出来る。(パスコースやドリブルのコースに使える)
・相手の最終ラインの背後を取れると、PA内の低い位置と逆サイドの選手がフリーになることが出来る。
・味方がボールを持った時に、連動性を持って他の選手が動くことで相手の選手は迷いが生じる。

⑤プレス対策のための柏レイソルの変更

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ハーフタイムのタイミングで柏レイソルは江坂⇒ジュニオールサントス、高橋⇒川口の交代を行った。
これにより、柏の攻撃は4123から4222へと変化した。
この変更により大宮のシャドーは守備時に柏のDHとSBのどちらかを必ず見る必要性が出てきた。

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シャドーが柏のDH(手塚とヒシャルジソン)を捕まえようと内側にポジショニングを取ることで、柏のSB(古賀と川口)は余裕をもってボールを持つことが出来る。
通常ならばWBが一列前に出て対応することになるが、WBが前に出てSBへとプレスを仕掛けてしまうと最終ラインで柏の強力な攻撃陣と大宮の最終ラインが数的同数になってしまう(カバーリングを行える選手がいなくなる)ため、失点の危険性が大きくなってしまう。
仮に数的同数を許容したとしてもWBのイッペイが前に出てしまうと、失点シーンのようにスペースがある状況で櫛引と瀬川が1vs1の状況になってしまう。

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では、大宮のシャドーが柏のSBを見るとどうなるのだろうか?
柏のDHが自由になるが、大宮のDHが前に出て柏のDHの対応をすると中央の密度(バイタルエリアの密度)が低下してしまい、柏の強力な攻撃陣にプレーできるスペースを生み出してしまう。とりわけ、マテウスサヴィオや瀬川へのパスコースが空くことになる。
従って大宮のDHは前に出ることが出来ないので、フアンマが柏の選手4人(ヒシャルジソン、手塚、染谷、山下)に対して孤立し、柏のCB(山下と染谷)が自由になる。

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孤立したフアンマだけではパスコースの制限が出来ないので、大宮は全体的に自陣に撤退するしかなくなる。
すると、柏の両CBは高い位置を取り、フアンマ1人に対して4人も必要としない柏はヒシャルジソンが三門と石川の間辺りに立ち、手塚が再びアンカーのような立ち位置を取るようになった。
柏はこれにより、大宮のシャドーとDHの選手の立ち位置によって山下と染谷と手塚からSBとSHへとボールを供給することで大宮を完全に押し下げることに成功した。(後半75分以降のタコ殴りにされる状況が生まれた)

投入されたジュニオールサントスの出来が想定以上に悪かったことや柏の最終ラインの選手の質(SBとCBの技術力)の低さに助けられた部分もあり、後半は無失点のまま試合終了のホイッスルを迎えることが出来た。
とりわけ、右SBの高橋が負傷によってハーフタイムで退いてくれたことが大きかったように思えた。

≪ポイント≫
・柏は布陣を変更することで、大宮のシャドーに2つの守備の選択肢を持たせた。(シャドーのタスク過多)
・シャドーのタスク過多によって全体的に大宮が後ろに下がったため、フアンマが孤立し、CBと手塚からのボールの供給が増えた。
・CBやSBが余裕をもってボールを持つことが出来たは良いものの、CBのボールの扱う技術の低さや、SBの能力の低さから柏は攻め切ることが出来なかった。
・途中投入されたジュニオールサントスがボールを足元で受けたがるので、前線にボールが供給されてもなかなかスピードアップ出来なかった(大宮の守備が整う時間があった)。

⑥みんなでもぎ取った勝利

試合開始直後の失点や75分以降のタコ殴りにされる状況など苦しい場面は何度も見られたが、今シーズン高木監督が積み上げたものを信じた選手たちの働きによって首位の柏レイソルに勝利することが出来た。

選手やコーチ陣の頑張りもあったが、この試合に関しては大宮アルディージャに関わる全ての人が一体となってもぎ取った勝利だった。

フロントの煽り動画によって大宮サポーターのテンションと気合は今シーズンで一番にまで高められていたと思う。

チケットは完売し、聖地NACK5スタジアム大宮には11687人というほぼ満員のサポーターが詰めかけた。
我々サポーターが作り出した雰囲気が相手チームの選手をやり辛くさせ、確実にアルディージャの選手の後押しすることが出来ていた。

スタジアムの雰囲気もあるし、ああいった(1失点目のような)形で点を取るとチームも乗ると思うので、あそこで上手く後ろが我慢しきれなかったというのがもったいなかったかなと思う。」
柏レイソル公式、山下達也選手のコメントより引用
「集中して入ったのですが、今日も早い時間に失点してしまいました。しかし、失点を引きずらずに戦えたから、逆転につながったと思います。守備では、まずはオルンガ選手を、そして彼のポストプレーからの形を抑えるために、センターバック3人が距離感を保ちながら対応しました。1つ守るごとに、スタンドの皆さんが後押ししてくれました。大きな声援が僕らの背中を押してくれ、粘り強く戦い続けることができたと思います。ここで一喜一憂している時間はありません。すぐに切り替えて、皆さんと一緒に最後まで戦い抜きたいと思います
大宮アルディージャ公式、河面旺成選手のコメントより引用

NACK5スタジアム大宮で試合することが出来るのは今シーズン残り2試合だけである。残り2試合も聖地を満員に埋めて大声援を送ることで相手選手が恐れ、大宮アルディージャの選手が果敢に戦えるような雰囲気を作っていきたい。

⑦おわりに

この試合で見られた全ての得点・失点・チャンス・ピンチは今シーズンの大宮アルディージャが積み上げてきた戦術によってピッチ上によって生じるものであった。
これまでの文脈に則ってサッカーが行われている。
チームは確実に良い方向へと向かっているし、自信をつけてきている。
大宮の残り4試合はこれまで積み上げてきたものをどれだけ信じて実行できるかにかかっている。


高木監督は試合後にこのようなコメントを残している。

「相手によっていろいろな戦い方っていうのはアイデアとしてもあったが、その選択をしてやるよりも、自分たちが今までやってきたことのプラスアルファで戦っていこうと。やってきたことをベースにやっていこうとは思っています。」

シーズンも終わりが近づく中で、高木監督の下で積み上げてきた戦術は確実にJ1クラスの相手にも通用するようになっている。
残り4試合のうち、苦しい時間帯を迎えることは必ずあると思う。
しかし、我々が応援している高木監督率いる大宮アルディージャを疑う必要はない。
試合が終わるころには皆で勝利を分かち合うことが出来ているはずだ。
我々サポーターが出来るのは、スタジアムに駆けつけて大声援で後押しするだけだ。
まだ自動昇格が決まったわけではない。
しかし、どうせならば残り4試合を全て勝って優勝しようじゃないか。

仲間を、自分を、積み上げたものを信じろ。
大宮、さあ行こうぜ、俺らと共に熱くなれ。

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大宮アルディージャに関わるみんなの力でもぎ取った勝利(J2第39節 大宮アルディージャvs柏レイソル レビュー)

あるちゅー(ちくき)

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あるちゅー(ちくき)

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