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詩『正当な果実』/井戸冬嶺

『正当な果実』/ 伊部冬嶺

いくつもそこらの枝に生っている
私の過ちたちは
いつまでも放置する
わけにもいかないし
収穫して
調理して
皿に乗せて
そうして手元に置いて直視して
よく噛んで食べて
すぐに眠れば
全て栄養として身体に溜まって
まとわりつくだろう
その実は繰り返しくりかえし噛めば
毒にも薬にもなるし
過ちを受け入れる事で
生まれた苦しみは
人生の中で必要な苦しみだろう
反省と自己否定の結果としての
最終的な成長をもたらすだろうに
選り好みして
実を腐らせたカラスは
もっと強い毒で
自意識の被害者になってしまっている
身体は正当な痛みしか受け付けない
不当な痛みは
そもそも感じられないはずだ
苦しみは事実の中にしかない
現実といつまでも一緒にいよう

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