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80%を100%にすべくほふく前進する紙媒体の作業アゲイン

イビサです。今日の一曲はヤバいTシャツ屋さんの「眠いオブザイヤー受賞」です。なんだかロングスリーパーなのかいくらでも寝られそうです。

さてWeb媒体の記者ですが、今年の頭に久しぶりに紙媒体の編集仕事をやりました。手間も時間もかかり、すごく大変だったけど、過去自分がやってきたことの再発見になりました。

「横書きから縦書きへ」「感性的なデスクの朱字」「どこまで紙の作業フロー」など

今回担当したのは新聞に挟み込む24ページの冊子のうち、特集4ページ+タイアップ1ページ。特集はありもののWeb記事を使えるので、たいした作業じゃないかと思って、高をくくっていたが大間違いでした。

まず大変だったのは、Web記事の横書きから、紙の縦書きに変えること。ご存じの通り、IT系の記事は英数表記が多いので、これを縦書きに変えるとかなり読みにくくなります。ここの調整が一苦労。PDFで校正していると、何行削るとか、何文字削るがわかりにくい(特に縦書き)ので、追い込むのが大変です。

次に大変だったのは感覚的すぎるデスクの朱字でしょうか? 普段私は一匹オオカミで記事を書いて、勝手にアップしているので、誰かが自分の記事をチェックするというフェーズ自体がそもそも慣れません。しかも規定のフォーマットが共有されていないので、レイアウトは手探り。デザイナーさんにお願いして、早めに初稿を上げると、特集は色が違うとか、空きが気になるとか、いろいろな朱字が飛んできて、どんどん校正が版を重ねます。

ポイントなのはデスクの指摘がかなり感覚的なことです。正直、「ここの空きが気になる」とか、「見出しの大きさが気になる」とかって、感性の問題なので、正解がない。要はアートの領域です。なので、「そんな気になるかねえ」と思いながら、こちらもデザイナーさんに修正を依頼しています。とはいえ、意見が食い違ったら、デスクと編集担当が調整して決める必要があるので、やはりオフィスに常駐して、気になったときに話に行くというフェーズになるんですよね。これがセル生産型のWeb記者の作業フローと大きく違うことで、媒体全体を最適化するために、リアルタイムに調整を続けていく必要があるわけです。

あとはやっぱり紙の仕事って作業フローも紙なんですよね。校正がPDFで来ていても、基本朱字を入れた紙のスキャンがPDFになっているだけ。表記の揺れを検索するとか、朱字のテキストを変更するみたいなデジタルであればあっという間に終わる作業にえらい時間がかかります。人のこと言えないけど、字も汚いので、朱字もよく読めません(笑)。

一方で、そういうアナログユーザーに対して、PDF(というよりAcrobat)も冷たい。紙では当たり前のようにやっている空きスペースに朱字を入れるという処理も難しい。スマホでの操作もまだまだ難しく、やっぱり紙の方が楽だなあと感じます。PDF保存時にイメージデータのテキストまで勝手にOCRかけて、検索できるくらいまでやってくれないと 厳しいのかなと思います。紙のフローに課題ありとはよく書かれていますが、やっぱり紙の便利さも大きいので、ここはなかなか意識改革難しいですね。

そうか、10年前オレはこれは面倒な作業やっていたんだ

2週間程度の作業で、ようやく昨日印刷所に入稿したのですが、改めて紙媒体の作業の大変さは実感しました。

普段担当しているWeb媒体はある程度テンプレートが決まっているので、フォントやレイアウト、デザインなどは自由度があまりありません。逆に言えば、決まっているがゆえルーティン作業は楽です。それに対して今回の紙媒体はデザインをイチから起こす必要があり、特集とタイアップを明確に分けるため、デザインも異なる感じにしてもらいました。まあ、新規作業が多く、紙の作業が久しぶりすぎて、単純に大変だったというわけです。

しかも、今回はきちんと外部の校正さんにも入ってもらい、納品先の広告代理店からもチェックが入っています。Webのニュース媒体で、校正さんがきちんと入っているところあるんですかねえ。文章としての表現の妥当性や表記のゆれ、差別表現のチェック、印刷後の色味の最適化など、本当にさまざまなチェックが事前に行なわれました。予算が限られていた紙の雑誌時代はここまではやってなかったので、けっこう驚きました。改めて校正大事。石原さとみだったら最高(笑)。

ここでタイトルに戻るのですが、結局紙媒体の作業は80%の完成度を100%に近づけるためのほふく前進が大変です。一方でこの100%までの手間のかかる作業が紙媒体のクオリティを担保しているとも感じられます。制作プロセスから考えて、商用の紙媒体はWeb媒体よりも精度が高いと言い切れます。この作業を数年前までやっていたとは信じられません。ただ、正直いっていっときも早くWeb媒体に戻りたいです(笑)。


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