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アウトプットを苦行にしないための訓練(note版)

イビサです。はてな民がnoteに移ってきてびっくりしたのは、公開した記事を取り下げるにはいきなり削除しなければならないことです。ステージング環境的なものがない。でも、最新のnoteでは下書きまで戻すのサポートしたみたいで、かなり使いやすくなった印象です。

さて、昨年(2018/6)に登壇した広報コミュニティのPRLTで話した「アウトプットを苦行にしないための訓練」の内容をnote版として記事化しておこうと思います。スライド版は以下の通りですが、インパクト重視で手書きでパワポ作ったので、読みにくいこと請け合い。おかげでSlideshareさんは一切テキスト化してくれませんw。さあ、note版行ってみましょう。


定期的に記事を上げていない「自称メディア」が多すぎる

みなさんはメディアの定義とはなにか?と聞かれたら、どう答えるでしょう。読者が多い、記事がしっかりしている、特定分野に専門性があるなどいろいろな答えがあると思いますが、私は「更新すること」と答えます。ブログだろうが、商用メディアだろうが、定期的にアウトプットし続けること。これこそメディアでもっとも重要なことだと考えます。

オウンドメディア隆盛の昨今ですが、定期的にアウトプットしているメディアの少ないこと少ないこと。プレゼンを作るため、とあるB2B系のオウンドメディアを調べたところ、掲出タイミングが非常にばらついていることに気がつきました。あるときは3日に1本程度の頻度で記事を出しているのですが、記事掲出が3ヶ月空いてしまうこともありました。本数はともかく掲出頻度がひどくばらついているのです。

私もメディアの人間なので、制作現場の舞台裏は痛いほどわかります。予定した原稿が来なかったり、イマイチだったり、企画が煮詰まってしまったり、予算がいきなり絞られたり。おい、ライター逃げるなよとかw 掲出頻度がばらつく要因はさまざまです。四半期末に立て続けに記事がアップされると、「おやおや、上司に怒られたかな?」とか想像してしまいますw

たとえば、アプリマーケティング研究所とか、たまに回ってくるSNSカルチャー系の記事はすごくよくできていて、イラストも大好きです。でも、更新頻度が低いし、記事の本数自体も少ない。ランキングの上位もずいぶん過去の記事です。手間がかけている分、しようがないんですが、もったいないなあとは思います。こんな開店休業のオウンドメディアなんて、正直ゴロゴロしています。

メディアを継続するのにツラいのは「ネタが続かないこと」

更新できない、掲出頻度がばらつく理由は、①人がいない、②お金がない、③ネタが続かない、④労力がかかるのおおむね4つです。どれも関連し合っている要因ですが、オウンドメディアも最初の半年はネタも豊富で、期待とお金があるのですが、長期的な戦術を考えておかないとどんどん疲弊していきます。私もIT系のタブ(今のTECH.ASCII.jp)を1人で担当していたときは、記事が更新されない悪夢とか見ましたしw 実際に体調を崩してサイトが更新できないこともありました。ツラかったなあ。

とはいえ、お金は出してくれる人がいるし、お金があれば人でもかけられるし、人がいれば労力かけてもノウハウになるからいいのですが、一番ツラいのはやはり「ネタが続かない」ことです。われわれも広告案件で長期的なタイアップ企画やっていて、一番ツラいのはここ。お金もらっているのにネタがなくて、メディアが続けられないというのはホントつらいです。裏を返せば実現可能性の高い企画を潤沢に出せる人は、メディアに限らず、本当にどこでも重宝がられると思います。

ブログが簡単に書けるようになったこと、クラウドソーシングなどが普及したこと、コンテンツマーケティングの流行もあり、みなさんメディアをやりたがりますが、紙であろうが、なかろうが、そもそもメディアはお金も人手もかかるものです。競争力の源泉となる編集や記者、デザイナーなどの現場のメンバーのほか、サイトの運営を行なうディレクターやエンジニア、校閲や法務的な機能もどこかで持っていなければなりません。

また、アーンドなり、商用なりと呼ばれるサイトは、収益を得るために広告営業が必要。意外と抜けがちですが、クライアントからの記事の訂正対応もあるので、サポート的な機能も必要ですし、読者を集めるための宣伝やSNSなどマーケティング・広報もあったほうがいいでしょう(これはオールドメディアも弱い面ですが)。紙からWebになってもメディアが組織戦であることは変わりません。まさに「戦いは数だよ、兄貴」(by ドズル・ザビ)。少人数でやるのは、まさに無理ゲーと言えるでしょう。

コンテンツの森を作るためにアウトプットを繰り返す

メディアの理想は「コンテンツの森」を作ることです。オウンドメディアを作るにあたっては「特化した領域に注力すべき」という意見が多く、確かにその通りとも言えますが、コンテンツに関してはさまざまなバリエーションが必要だと思っています。森の中で目立つ大きな木を「特集」と考えれば、継続的に1つのネタを追い続ける中くらいの木である「連載」も必要。作りやすく、更新頻度の高い「ニュース」は下草と考えられます。最近であれば、SNSや動画も重要ですよね。

役割の異なるコンテンツが複数用意されることで、検索やSNSで飛んで来た読者を回遊させることができます。今日日、律儀にブックマークして同じメディアに来てくれる読者は少ないので、作り手はさまざまなコンテンツを作れるよう、日々アウトプットの鍛錬を繰り返す必要があります。

また、良質なアウトプットのためには、まず良質なインプットが必要です。コミュニティや勉強会に足を運んで、とにかく人と会うこと。Webサイトや本を読んで知識を入れること。社内外の人とランチしたり、勉強会の後の懇親会で、いろいろなヒントや気づきを得ることができます。私が記者キャラバンでいろいろな方と話すのもこの目的が大きいです。

そして、これらをまずはSNS、テーマがまとまったらブログの形でアウトプットしていく癖をつけましょう。次にSNSやブログの反応を見ながら、写真やタイトルにもこだわった記事に仕上げていきます。アウトプットを習慣的に、継続的に行なっていくと、企画力や気づきはますます拡がるサイクルができます。どのビジネス書にも書かれていることですが、経験は経験でしか補えないし、質は量でしか担保できません。

みんなメディアを型にはめすぎてませんか?

最近思うのはみなさんメディアを型にはめすぎてませんか?ということです。一つのネタがあったら、オーソドックスなインタビューで素材の良さを引き出すのもよいのですが、もっと違うパターンを考えてもよいと思います。ここでポイントとなるのは、業界地図シリーズでおなじみ沢渡あまねさんの「手を変え」「品を変え」「景色を変え」というフレーズです。

手を変えるというのは、インタビューだけではなく、座談会やパネル、識者との対談にすればネタに深みが出ます。私は距離が離れているエンジニア同士を集めて、オンラインで座談会やったこともありますし、書籍を読んだ読書感想文をタイアップ記事として書いたこともあります。

品を変えるというのは、表現方法と言えばいいでしょうか。文章も説明文だけではなく、会話体、短文、ポエムでもいいし、動画、マンガ、小説、アプリなど、いろいろあります。スライドの例に出したのは、過去にタイアップでやったkintoneの例。マンガアプリとイラストの合わせ技をお楽しみください。

そして最後の景色を変えるというのは、まさに場所ですね。いつも自社や客先でやっていた取材を、いい感じのカフェにしてみるとか、いい感じのお寺にしてみるとか、いい感じの屋上にしてみるとか。以下はもつ鍋囲んでクラウドを語るというこちらもタイアップ企画です。

ちなみに紹介した記事は2つともタイアップ記事ですが、これは偶然ではありません。原資があるというのは、それだけで企画を差別化できます。編集者や企画担当のモチベーションも上がりますし、クライアントのためにいいモノ作ろうという気持ちがコンテンツの差別化を生みます。広告を忌み嫌う人がいっぱいいるのは知っていますが、額の多寡ではなく、労働力に対する対価や敬意という意味でも原資は重要です。忌避感を生むのは、要は見せ方だったり、センスだったりするのではないかと思っていますが、ここらへんはまた別項にて。

まとめ

ということで、まとめは以下のとおり。

1、アウトプットはやっぱり数打ってなんぼ

2、とはいえ、全部やったら死んでしまうので、注力分野と労力のかからない分野とのメリハリを付ける

3、つらいのは企画が続かないこと。続けるためには、つねにインプットとアウトプットを心がける

4、アウトプットは習慣である。楽しいものである。そして、もっと自由でいいと思う

自己紹介記事でも述べたのですが、今後いろいろな形でのアウトプットは、特別な人の特別なスキルではなく、多くの人が当たり前にやるべき「営み」になると思います。そんな時代に向けて、「息をするようにアウトプットを癖付ける」というのは、メリットしかありません。この記事も、そんなみなさまのお役に立ちますように。






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