東京国立博物館『博物館に初もうで』

お目当ては長谷川等伯の『松林図屏風』。前回訪問時には観られなかった。もう10年以上前になる。

観たいと思う作品には足を運ぶ。いつか、と思っていたら、その機会は永遠に来ないかもしれないのだから。

ちょうど読んでいた加藤周一『私のなかの20世紀』でも、実際に作品の前に立つことの大きさが書かれていて、我が意を得たりという感。

有名作は、予備知識なく出会い頭の事故のような衝撃的出会い、というのは望めないけれど、やはり実物でなければ感じ得ないものがある。

直島のベネッセハウスで、この『松林図屏風』を本歌取りした杉本博司の『松林図』を観た時のことを思い出す。あの、暗いホテルの中で感じたもの。言葉には出来ないけれど、忘れがたい記憶。

本物の『松林図屏風』を観た記憶を携えて、また杉本博司の作品の前に立ちたいと思う。

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