草間彌生が喋るのを見た

ETV、SWITCHIインタビュー 達人達の「松本幸四郎×草間彌生」回を見ました。
面白いよね、達人達。

毎回あんまり誰が出てるとか気にせずに、土曜22時はETVにチャンネル合わせてるんですが、それで草間さんが喋ってるのを初めて見ました。

草間作品、私わりと苦手です。
なんというか、すごく不安を煽ってくる。怖くなる。
「芸術の力」というものが「感動体験を導く力」であって、「感動」が「心や感情を動かすこと」であるならば、草間作品はものすごい力のある芸術作品なのだろな、と思っています。

ウィキペディアにも載ってるみたいだし、番組内でも幻聴幻覚に触れられていましたが、草間さんは統合失調症の芸術家なのだと認識しています。

なので、草間さんが喋るのを見聞きしていて、とても怖かったです。
発症当時の私みたいな喋り方でした。
私は統合失調症当事者です。

・ 文語調の言葉を、文章を読むように喋る
・ ときどき突然黙る
・ 噛み合いそうにない話題に会話が飛ぶ

この辺り、私が発症時というか急性期のときに、主治医の診察受けるときみたいだな、とか思いながら。
ちょっと心中穏やかではなかった。

前述のとおり、番組内では草間さんの幻聴幻覚についても触れていて、それに抗うために絵を描き続けた、みたいなナレーションが入っていました。
草間さんも「描きたいことは頭からどんどん溢れてくる」みたいなことをおっしゃってて、ああ、すごくわかるなあ、と思いました。

統合失調症は(とても乱暴な言い方をすると)脳が働きすぎる病気なのです。

まあ働きすぎるとはいっても、今日ツイッターに流れてきたツイートによると発症でIQが平均8ポイント下がるとかなんとか。

草間さんは芸術学校で絵画の技法を学んで、それで症状と闘っている。
これ、当事者本人にとっては生死がかかった戦いのはずで、それに武力が伴なったらそりゃ力強いものが出来てしまうよなあ、なんて納得しました。

で、これは実際のところどうなのかわかんない私の妄言なのですが。

草間さん、統合失調症の治療薬はたぶん飲んでないんじゃないかなあ、とか。
だとしたら、あのつらい症状に抗うのはすごいバイタリティだなあ、とか。
もし、おくすりを飲んでいたら、ちょっと変わり者のおばさん、くらいの人だったんだろうな、とか。

統合失調症の罹患率はおよそ1%。
100人に1人は発症するようなありふれた病気です。
当然、ほとんどの当事者は普通の能力しか持っていません。

平凡な能力しか持たない統合失調症患者である私は、注目されることもないまま死んでいくんだなあ、とか、そんなことを考えました。
いやまあ注目されたいかって訊かれたらどうかなーって感じではありますが、褒めてもらいたかったり讃えてもらいたかったりはするんですよね。

そんな感想を、ツイッターでさらっと流してしまおうかと最初は思ってたんだけど、あとで読み返したくなるかもしれない、とここに書いておきます。

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