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小林さん

山本草太選手の復活と成長にはたくさんの方々の支えがあったと思います。その中のお一人、小林芳子さん(元強化部長)が草太くんについて語ったことばを集めました。


小林さんは、試合に行くと必ずと言っていいほど何度もお見かけしましたが、いつもひっそりと、けれどとても温かいまなざしで選手の皆さんをご覧になっていらっしゃいました。

選手の身の回りのお世話もよくなさっていて、あれ?選手のお母さん?って思った人もいたんじゃないかな😊

①2012年

草太くんが初めてスケート雑誌に登場したのは、『2012‐2013シーズンガイド』(2012年10月・新書館)。この年、草太くんは強化選手Bに初めて選ばれ、ジュニア強化合宿に参加しました。中学1年生(12歳)でした。

草太少年、練習風景の中に写っていますが、お名前は紹介されていません。期待のホープたちという企画にも取り上げられていません(涙。昌磨くんはいました)

でも、『強化部長に聞く日本選手の現在とこれから。』というページに、草太くんの名前がチラッと出てきました!本当にチラですが、記念すべきチラですね😊

この年に就任した小林芳子強化部長のインタビューです。

――ノービスはいかがですか?
ピョンチャン世代を追いかけるノービスが伸びてくると日本男子は盛り上がります。宇野昌磨、中村優、山本草太、本田太一あたりが続いていくでしょう。男子選手は女子に比べ圧倒的に少数ですが、ジュニア、ノービスと良い選手が長く繋がっている状態です。国内で競争し、お互いの競技力を高め世界に挑戦してほしいです。

➁2014-2015年

DOI2015パンフレットに、「2014-15シーズン総括とジャパンチームのこれから」~日本スケート連盟フィギュア強化部長 小林芳子さんインタビュー~というページがあり、草太くんの名前を挙げていました。

(抜粋)一方、ジュニアもここ何年かは表彰台がなくて厳しい戦いをしてきましたが、昨シーズンはジュニアGP初戦のクーシュベル大会で山本草太選手と新田谷凜選手が2位になって勢いがつきました。

その後の試合でも誰かが必ず表彰台に上がり、ジュニアグランプリファイナルには男子2名女子3名が進出という快挙を果たしました。その勢いがシニアにも影響してスケートアメリカの町田選手や、スケートカナダの無良選手の優勝につながったのだと思います。

世界ジュニア3位の山本選手はもう1年はジュニアですが、宇野選手とは同じリンクで練習してふたりで新しい4回転に取り組んだりと常に刺激し合っています。かつて高橋選手と織田選手が同じリンクで練習をして切磋琢磨し合ったような関係性の中で、ともに平昌五輪の有力候補に成長してくれると期待しています。

日本選手の活躍が、草太くんと凜ちゃんのおかげって言葉が嬉しいですね!


③2016年7月

1回目のケガから復帰してまもなく、DOI2016に出演しました。体力も戻っておらず、ジャンプを跳ぶのをハラハラしながら見てたのを覚えています。ジキルとハイドを披露してくれましたが、試合で見れたのはその1年2か月後でした…。そのDOIパンフレットから。

小林芳子強化部長 2015-2016シーズン総括
山本草太選手が、世界ジュニアへ深夜便で出発する日の昼に練習で右足首を骨折してしまったのは残念でした。
出発ぎりぎりまで練習していたというのも、「やらなきゃ勝てない」というのがわかっていたからだと思います。
すごく悔しかったと思いますが、持っているポテンシャルはすごいだけに、ここから大きくなって欲しいと思います。

これは世界的な問題でもありますが、今季からは各大会で選手のメディカル調査をし、予防のために何が必要か考察する予定です。またドクターによるメディカルチェックも定期的に行いケガの早期発見、ケガをした場合には速やかに高気圧酸素治療などを受けられるようにするなど、しっかりした体制も作り、サイドから選手のサポートをして参ります。

④2016年12月

全日本メダリストオンアイス2016のパンフレットに、草太くんの名前があって、わあーってなりました。休んでる選手のこともちゃんと触れて下さってすごく嬉しかったです。

インタビュー男子部分、最後の10行です。

小林芳子強化部長インタビュー「2016-2017シーズン前半を振り返って」
「残念なのは、村上大介選手と山本草太選手が今季はともにケガで出場できなかったことでした。それだけ今の技術の発達はケガのリスクも大きいのです。現在、強化部ではドクター、トレーナーと連携を取り適切な治療や障害予防をさらに徹底しているところです。ただ二人とも故障をネガティブに考えるのではなく、自分の状態と積極的に向き合って、今しか出来ないいろいろなものを考えてやっています。いいリハビリをして来季は最初から「戻って来た」と喜べる状態にしてもらいたいと思います。」

➄2017年

DOI2017のパンフレット。昨年の元気な写真がいっぱい載っていて、涙があふれました。オリンピックシーズンでニュースは五輪一色。雑誌に取り上げられないのは仕方ないとしても、ふろくの選手名鑑にも載ってない時はショックでした。

そんな中、小林さんの言葉にどれだけ救われたことか。

「強化部長・小林芳子さんインタビュー(昨シーズン総括とこれから)」より最後の部分、チームジャパンの今後について全文です。

現時点での平昌五輪の代表選考を考えれば羽生選手と宇野選手に加え、チャンスは誰にでもある状況だと思います。無良選手と田中選手、村上選手。それに山本選手も練習を再開したばかりの状態ですが、うまく間に合えば名乗りを上げてくるでしょう。

さらに友野一希選手も世界ジュニアに出てからすごく意識が変わってきているし、4回転サルコウも降りるので十分チャンスがあると思います。どこまで本気に代表争いに立ち向かえるかというのがカギになってくると思いますが、代表を獲って「やったー」となるのではなく、入賞を狙うくらいの気持ちでやって欲しいです。

小林さん優しいイメージでしたが、今読むとけっこう注文してますね(友野くん)😅


⑥2018年

ドリームオンアイス2018、またまたDOIのパンフレットですみません。ようやく復帰はしたけれど、DOIは憧れの存在(今もですね。来年はよいかな)

なので、この場にいない草太くんの名前が載っててうれしい驚きでした。

フィギュア強化部長・小林芳子さんインタビュー
2017-2018シーズン総括とチームジャパンのこれから

(抜粋)
来季の世界選手権の枠獲りという面では無良崇人選手の引退で代役が決まった友野一希選手が、本当に”代打の切り札”とも言える頑張りを見せてくれました。元々出場する予定だったプランタン杯に出ると2週連続の試合になるためどうするかと聞くと、「練習になるからやります」と(略)

振り返ってみれば彼も、16年世界ジュニア選手権に山本草太選手の代役で出場して世界の厳しさを学んでからはスケートに対する姿勢が変わり成長してくれました。昨季もNHK杯の代役出場もうまく生かしたと思いますが、これからは補欠ではなく正選手としてしっかり選ばれるようになってもらえればと期待しています。(田中選手の話がつづき、)友野選手の活躍は田中選手だけではなく、あとに続く若い選手のモチベーションも高くしてくれるものだと思います。

これまで男子の中核選手として活躍してくれた無良選手は引退しましたが、力を伸ばしてきた友野選手の下には山本選手もいます。彼ももう足首のケガも心配することなく滑るまでになっています。まだ若干の恐怖感はあるようですが、シーズン最後のプランタン杯では練習をしていなかったにもかかわらず3回転ループ+3回転トウループをキッチリ降り、3回転フリップや3回転ルッツも跳びました。持っている資質には期待できるものがあるだけに復活が楽しみです。

北京五輪へ向けては世界ジュニアに出場した須本光希選手や三宅星南選手、さらには島田高志郎選手などの世代が成長し、下から突き上げる勢力になってくれればもっともっと層も厚くなると期待しています。

小林芳子さんはこれまでもずっと、
草太くんがケガで報道されなくなった時も、草太くんが出ていないショーでも試合でも、必ず草太くんの名前を出して誉めて下さいました。

2年近く試合に出ていない間も、
連盟は草太くんのことを忘れていないよ、待っているんだよと発信してくれて、心からほっとすることができました。

小林部長ありがとうございました。これからもどうぞよろしくお願いします。


2020年6月、小林部長はその任を終えられ、公にお話されることはなくなりました。

今の草太くんをご覧になってどんなお気持ちかな。

どなたかインタビューして下さったら、ステキなお話が聴けそうですね😉

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