アイスクリップ

関東在住、映画と展覧会のレビューを書きます。映画はハッピーエンドじゃないものメインで。

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最近の記事

タイポグラフィに魅せられて

この2、3年トートバッグにハマっています。 というか、タイポグラフィの美しさに魅せられて、気に入った文字列がプリントされているトートバッグを見つけるとすぐに買ってしまいます。 気付いたら家に30個近くのトートバッグが溜まっていて、毎日ノートPCを入れて仕事に向かっています。憂鬱な仕事のある日もトートバッグの文字列を見ると心が和みます。というか大袈裟ですが勇気づけられます。 特に気に入っているトートバッグはNYのCopper Hewitt の企画展のもの。 フォントと大

    • 上海の夜景を見ながら考えた 「先進的」って何だっけ?

      忙しさを理由に秋からnoteを更新していなかったのですが、 2020年のスタートを機に、2019年9月からの文化的暮らしを振り返りたいと思いますー。 「CODE46」な都市、上海 9月のこと。 大学時代の友人と10数年ぶりに連絡を取る機会があり、友人が上海で会社を経営していることを知りました。 上海は私の大好きなマイケル・ウィンターボトム監督のSF映画「CODE46」(2004年公開)ロケ地となった場所でずっと訪ねてみたかった場所。 思い切って9月末の連休に行くこ

      • 人は思い出をどう刻む? ボルタンスキー展で考えた

        仕事前の朝の時間を有効活用して、 開館時間に合わせて新国立美術館で開催中のクリスチャン・ボルタンスキー展を観に行ってきました。 私は美術を体系的に学んだことがなく、ボルタンスキーに詳しいわけでもないのですが、彼の集大成ともいえる回顧展で、しかもテーマが「Lifetime」となると、アーティストとして生きてきた彼が、誰もが向き合う「生と死」というテーマをどう表現するのか?にとても興味が湧きました。 展示エリアにはこれまでの彼の代表作が六本木の会場に合わせて新たな手法で展示

        • 六本木、朝8時。やたら壮大なことを考えた。

          建築家の 中山英之さんの一風変わった展示が六本木のTOTOギャラリー・間にて開催されています。 少し時間が経ってしまったのですが、先日朝活イベントに参加して、中山さんご本人から展覧会のコンセプトや建築家としての想いを直接伺うことが出来たので、こちらにまとめておきたいと思います。 今回の企画は中山さんが設計した住宅について完成後の暮らしぶりを映像作品にまとめ、その建造物としての展示と、映像作品の上映を組み合わせた趣向を凝らしたものです。 展示物と映像作品の両方を鑑賞するこ

        タイポグラフィに魅せられて

          「青の帰り道」と青い服ばかり買う私

          私のクローゼットはなんだか青いです。 気が付くといつも青色の洋服ばかりを買ってしまいます。 よく考えると青は不思議な色だと思います。 ピンクはやさしくてかわいくてちょっとはかなげな色とか、黄色は元気をもらえるしゃきっとした色とか色にはまとっているイメージがあります。 で、青はというと、もちろん濃淡によってイメージは変わりますが、色々な意味をまとっています。 サムシングブルー 花嫁が結婚式でどこかにブルーのものを身につけると幸せになれると言われています。 花嫁の清らかさと誠

          「青の帰り道」と青い服ばかり買う私

          『愛がなんだ』をカップルで観に行く勇気

          未だに自分の中のNo.1キャラはウッディ・アレンの映画『アニー・ホール』の主人公アニーだと思っている私。 『アニー・ホール』のオマージュと言われるシーンがある、と聞いて『愛がなんだ』を観に行きました。 観始めてしばらくして、思ったこと。 主人公の名前の印象が薄い…。 主人公が「愛」を捧げる「マモちゃん」。 恋のライバル、「すみれさん」。 この2つの名前ばかりが耳に残って、主人公の名前が置き去りになるのです。 主体性がなくて流されやすくて不器用で、バランスが悪くて

          『愛がなんだ』をカップルで観に行く勇気

          十和田市現代美術館にやっと行ってきた②暗闇に魅了されて

          十和田市現代美術館が期待以上だったこと①でお伝えしたのですが、 続いて美術館の常設展示作品をぜひとも2つ紹介させてください! 2作品とも写真を撮るのには不向きな暗闇作品。 だからこそその魅力をテキストでお伝えしたい! カーテンを開けると広がる真っ暗な闇。先に何があるのか手をのばして探り探り進んでいく。 目が暗闇に慣れてくると、ようやくその作品が何なのかを少しずつ把握できるようになります。 どうやらそれはレストランのボックスシートらしい。 シートが本当に存在するものなの

          十和田市現代美術館にやっと行ってきた②暗闇に魅了されて

          十和田市現代美術館にやっと行ってきた①写真に写るものだけじゃない魅力

          24時近い駅には人もまばらで、 GWのど真ん中、最終の新幹線で十和田市に向かう観光客は私だけのようでした。 タクシーは七戸十和田の駅から、建物も街灯も少ない深い闇を駆け抜けて十和田の街に向かいました。東京で仕事を終えてからかなりあわただしく新幹線に乗った私にとってはこの深い闇こそが遠くまで来たのだと実感する最たる目印となりました。 先日観た映画『ナイトクルージング』の影響からか やたらと暗闇に敏感になっていることに気がつき、 闇が深いほど、感性を研ぎ澄ませなさい と言わ

          十和田市現代美術館にやっと行ってきた①写真に写るものだけじゃない魅力

          どっちもあり!自分なりの中間地点を探そう『nendo×サントリー美術館』

          ヒトは何かとカテゴライズしたがる生き物だなぁと思います。 君は 体育会系?文化系? 理系?文系? 直感派?論理派? と二択で答えを求められがちです。 私は文化系だけど、ダンスは得意。 文系だけど、時刻表を調べて乗り換えを緻密に組み立てるのは好き。 歯磨きをしていて急にアイデアがひらめくことはよくあるけれど、思慮深くないテキトー発言は好きじゃない。 と、自分の性格や好きなことを二択の枠組みに当てはめようとすると、無理が生じる。。 サントリー美術館の展示はあえてそんなこと

          どっちもあり!自分なりの中間地点を探そう『nendo×サントリー美術館』

          『ナイトクルージング』の静かなさけび

          週末の空気感か漂う渋谷、アップリンク。 映画館のシートに身を沈めた私は一体何を見せてくれるのか?と期待していました。 エンターテインメントという装飾に彩られたゆるやかで社会性の高い映画作品を勝手に想定していました。 でも目の前に現れたのは深い暗闇。 その暗闇は私が受動的でいることを許してくれませんでした。 幼い頃に「おしいれのぼうけん」という絵本を読んだ時のような想像力を掻き立てられ、現実をも超えるリアルへといざなわれていきました。 『ナイトクルージング』 この作

          『ナイトクルージング』の静かなさけび