遅ればせながら例のウイルスにやられてしまった話 その3

三日目の朝。体温は37.0℃、だるさは昨日よりだいぶマシだが喉はめちゃくちゃ痛い。今までやたら喉風邪にやられまくって生きてきたが、痛みの程度がコレなら、酷さはトップ5くらいには入るかもしれない。

今までで最も恐怖を感じた喉風邪は、確か9歳あたりだったかで経験した『喉の痛み+咳+痰が絡みまくる』のコンボのときだった。元々痰が非常に固まりやすい体質で、そこに痰を止める方向の薬を飲んでしまった結果、薬でかたくなった痰が詰まって呼吸ができなくなって窒息しかける、という事態に陥ったのだ。より正確には、『痰が絡む→咳で切ろうとする→切れない→更に咳をする→切れない→肺の中の空気を九割使い尽くす→痰で気道のどこかが塞がって息が吸えない→眼前ブラックアウト』である。あのとき最後の一息で一部でも固まった痰が破れなかったら、私は今頃ここにいないだろう。

辛うじて『吸える』状態になったのを、酸欠でクラクラする頭で注意しながら細く細く吸い込んで(その段階ではまだ痰を吐き出せて居なかったため)、次の一息でなんとか痰の六割くらいを追い出し、呼吸を取り戻したことを覚えている。このとき、家族は全員別の部屋にいて、私の窮状には誰も気づかなかった。熱はないから大丈夫という理由で、一人で寝ていたのだったか。……以降、私は市販の『痰を止める効力を持った喉風邪用の風邪薬』が飲めない。

それに比べれば、今は『痛ェなオイ』で済んでいる状態で、少なくとも呼吸はできている。咳もそこまでではない。本気でヤバそうだったらスマホで助けも呼べるし、あのとき感じた「死ぬ!」という切羽詰まった恐怖はない。

とはいえ、痛いモンは痛い。なので昨日から引き続き、アイスと茶碗蒸しで生きている状態だ。もし件のウイルスに対する備蓄をしようと考えている人がいたら、その中に『使い捨てのプラスプーン』を追加しておくことをおすすめしたい。アイスと茶碗蒸し、あと杏仁豆腐くらいしか食べられない状態に陥った場合、スプーンを洗うのは大変面倒だ。

あと飲み物。口にするモノの中では服薬時の水が一番キツい、なんて状態である。水よりも、クリームを入れまくった珈琲の方が比較的マシという事実。やっぱり喉への摩擦を避ける油分が重要なのかもしれない。ロキソ様が効いてくれていれば『まあ何とか水も大丈夫かな』くらいになるので、生活リズムが服薬リズムに支配されることになる。結果、やたら『健康的』とされる時間区分で生活しているのだが、不健康の結果として生活時間だけが健康になっている。時間だけ健康でもあんまり意味がないな、などと思う。

そういえば、昨夜やっと抗原検査キットが手元に来たのでやってみたら、疑いようのない陽性反応だった。まあ知ってたけども。判定のために紅色に反応すればいいところ、小豆色くらいの濃さで出た。そんなはっきり言わんでも……いやでも、症状から考えれば『これで陰性だったらキットの正確性を疑う』くらいの状態であるので、むしろそれくらいはっきり出て当然といえば当然なのか。

ちなみに母は早くも回復傾向の様子、父も熱こそあれど喉は無事とのことなので、未だ咽頭痛と熱が去らない我が身との差を考えると、やはり予防接種の威力は絶大であるなと思う。受けられる人は是非受けて頂きたい。感染そのものは防げなくても、症状の程度がかなり違うようなので。

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