#26 Vincent Zhou

https://soundcloud.com/user-983930015/no-26-vincent-zhou 2019年7月20日
みなさんこんにちは、アイスタイムポッドキャストへようこそ。ホストのジャック・ギャラガーと、共同ホストのあやのです。本日のインタビューは、ヴィンセント・ジョウ選手が再び答えてくれました。大阪で木下グループとの歴史的なスポンサー契約があったところですが、このことについて話してもらえますか?

もちろんです。何よりもまず、彼らが僕の2022年オリンピックへの旅に加わってくれたことに本当に感激しています。それに木下さんと、大きな助けとなってくれた濱田先生に本当に感謝しています。僕は彼らとパートナーシップを組むことができて、本当にすごくラッキーだと思っています。木下グループは日本の他のスケーターも何人かスポンサードをしていて、僕にとっては初めての大きなスポンサーです。これまで多くのスポンサーがいたわけではないので、スケートをする上で経済面は大きな問題でした。だから彼らのように僕の旅をサポートしたいと思ってくれる人がいてくれて本当に嬉しく思います。すごくエキサイティングな、新しいことで、彼らのために何ができるか、彼らが僕のために何ができるか、とても楽しみなんです。


ヴィンセント、どういう経緯でこの大きなスポンサードが成立したのか教えてください。濱田先生がつなぎ合わせてくれたんですか?タイムラインなどもできれば

そうですね、彼らはスポンサーとして、スケート界全体にどんな才能を持った選手がいるかと見ていたようです。昨シーズン後半にすごく成長できたことで、多くの人の目が僕を以前より少ししっかり見てくれるようになったのを感じました。だから日本にスケートをしにきて、濱田先生と僕の母と僕と、3人で話をしました。僕の置かれている状況や経済的なことについて。そうしたら先生はすごく理解してくださって、生徒を助けたいと思ってくれたんです。それで先生が木下さんに連絡してくれて、大阪のリッツ・カールトンでお会いする機会を作ってくれました。そこで話をして、全てが決まったんです。正直に言って、彼らの助けで本当に楽になります。だから本当に、彼らのようなサポーターを得られて、彼らが僕のチームを助けてくれて、本当に嬉しいです。これは全てのスケーター、全てのアスリートが得られる幸運ではありません。本当に感謝しています。


これは複数年契約ですか?2022年の北京までの。それとも期限なしですか?

まずは一年です。次のシーズンが終わる時にもう一度話をして決めますが、いい結果をあげて2022年まで続いてくれるといいなと思っています。


私の調べによればこれは非常に歴史的なことですよね。これまでたった二人しか日本企業が海外選手にスポンサーしたことはないんです。一人目は70年代にプロになった時のジャネット・リン、そしてもう一人は84年のオリンピック前にスコット・ハミルトン。非常に意義深いことですよね。歴史の一部となってどんな気持ちですか


そうですね、海外でのスポンサー事情を見るとまず彼らが確認するのは、どこの国の代表かということです。もし僕が彼らの国の代表でなければ、そこで自動的に終わりなのです。だから本当に僕はスーパーラッキーだと思います。今回のスポンサーシップが成立した一番大きな要因は濱田先生と僕がいい関係を築けたからだと思います。先生が僕を助けたいと思ってくれて、スポンサーシップを結べる可能性のある選手を探していた人たちに僕のことをよく言ってくれたんです。だから本当になんというか、本当に感激しています。


おっけー、最近のトレーニングスケジュールはどうなっているんですか?タミー・ギャンブルと濱田先生二人のコーチにつくことでどんなシーズンになるか教えてください。日本にはどのくらいくるんでしょうか。今はアイスショーが8月初旬に終わるまで、2ヶ月ほど日本にいますよね。残りのシーズンはどうなるんでしょうか?


そうですね、僕はこれから新しく大学の秋セメスターに入学する予定なので、多分日本には来られなくて、ブラウン大学から車で1時間半程度のボストンでトレーニングすることになると思います。すごく大変なセメスターになると思います。国際試合のために何週間も大学に行けなくなりますからね。学生アスリートが二週間だけでもセメスターの途中で不在になるのは珍しいことです。僕は五週間ですから、そのためにそれぞれの教授と話をしてどうにか解決策を探す必要があります。もうそれを始めようとしていて、もちろん今は選択の途中ですが、何人かの教授にメールをして何か僕が使える材料やツールがないかと聞いているんです。スケートについても、大変なシーズンになると思います。大学とのバランスをとって、これまでのようにはトレーニングができないでしょうし、精神的にも身体的にもこれまでと違ったことになると思います。それに大学があるということが頭にあるのはスケートにも影響を及ぼすでしょうし、逆も然りだと思います。試合の合間にもたくさん勉強して追いつかなければ行けないでしょう。多くの学生アスリートが試合のために離れることはよくありますが、僕にとっては初めてのことなので。だから少し緊張しています。でもその一方ですごく楽しみでもあるんです。スケートで何か煮詰まってしまった時、スケート界にいるとすごく小さく閉塞した感覚になります。だから新しいことを経験してスケート界の外にいる新しい人々と出会えること、新しい視点を得られることはすごくエキサイティングだと思います。すごく大変なシーズンになると思いますが、同時にとても楽しみにしています。


おっけー、今年のグランプリシリーズは中国杯にエントリーされましたね。もう一つはどこでしたか?


中国とロシアです。


そうでしたロシア。アメリカのナショナル大会の前などに日本に戻ってくることは現実的だと思いますか?


そうですね、先ほど言った通り秋のセメスターに入学しますし、ブラウンはすでに年間やセメスターの休学を許してくれています。2022年のオリンピックが終わるまで、秋のセメスターの後は通えないかもしれないですし、ちょっと厳しいと思います。でも濱田先生は僕のチームにとてもいい刺激を与えてくれていますし、日本に1週間ぐらい帰ってきて先生にブラッシュアップしてもらうのはとても大切だと思います。セメスターの間の4ヶ月自分だけで練習していたらきっと技術的な強化が必要になるでしょうからね


なるほど。あなたは今日本にいるわけですが、大阪にいる間住む場所はどうなっているんですか?自分の家があるんでしょうか?それとも今日同部屋などで過ごしているんですか?


過去2週間はホテルにいました。だから徒歩とバスでリンクまでの往復を毎日していたんです。でもその後濱田先生が僕が住める場所を探してくれました。だからホテルよりは居心地がいいですよ。多分前のインタビューでもお話したと思うんですが、濱田先生はリンクの上だけでなく生活面もとてもサポートしてくれて、ベストの状態でトレーニングができるようにしてくれるんです。だから、本当に先生に感謝しています。


それはいいですね。4月にお話を聞いた関係性を作れているのは本当に素晴らしい。では新しいシーズンの新しいプログラムについて教えてください。誰が振り付けをしているんですか?


ショートはMumford and Sonsの“I will wait ”で振り付けはシェイリーン・ボーンです。彼女は今すごく忙しいので、彼女に振り付けしてもらえてとてもラッキーですね。彼女はこの夏本当に忙しいんですよ。それだけ素晴らしいということです。アイスダンスの世界チャンピオンが彼女の振り付けで踊りますし、これまで良い評判しか聞かないですね。とても楽しいプログラムです。観客の皆さんもきっと気に入ってくれるでしょうし、自分の殻を破るのも少し手伝ってくれていると思います。プログラムの中で難しいところは、時間とともに変わっていくでしょうね。でも今大変なことは、2つの理由から、ジャンプを組み込むことです。1つ目の理由は、新しいプログラム、新しい振り付けだからです。振り付けたばかりは、クアドはなかなか飛べないんです。だからまだいくつとかどのようにつなぎを入れるかというのはちょっとわからないんですね。もしつなぎが多過ぎれば、クアドを飛ぶのはほとんど不可能です。でもつなぎが少な過ぎれば、スコアが上がらない。だから振り付けをしながら調整してちょうどいいバランスを探っています。全てがうまく繋がって流れのあるプログラムで、且つクアドをしっかりと入れられるプログラムにするためにね。2つ目の理由は、2ヶ月前のショーの時に怪我した膝です。そこまで本当に深刻でもないのであまり深刻な怪我だとは言いたくないんですが、でも2ヶ月経った今でももちろん治りつつはありますが、まだ完全に治ったとは言えないので。


靭帯ですか、腱ですか

靭帯です


どちらの足ですか?


左足です。この怪我のためジャンプをかなり妨げられています。今ドリームオンアイスの公演中ですが、やっとトリプルアクセルが飛べるようになって2週間目なんです。ショーの中でトリプルアクセルを飛んで試してみて、他の高難度のジャンプを飛べるようにしていきたいと思っているんです。特にコロラドに戻った後は合宿まで数日しかなくて、そのキャンプから戻った後はブラウン大学に行かなければいけないんです。だからこの怪我が今後のどう関係してくるか、ちょっとナーバスになっています。でもそんな状況や場所の変化にも対応していけると信じています。過去にも変化には対応してきましたから、今後もできると思っています。


フリースケートはどうですか。


失礼、そうでした。フリーは映画「クラウドアトラス」のサントラで、ローリー・ニコルの振り付けです。ローリーの振り付けは2年目で、彼女は本当に素晴らしい人で振付師です。彼女はなんというか、僕のためのベストの振り付けを温存してくれていると思います。ベストというと語弊がありますが、僕のためにいい振り付けを、心や頭の中に記録してくれているんです。僕たちは通じ合えていて、本当に相性がいいんだと思います。すごくたくさんの繋ぎが、一番難しいジャンプ以外の全てのジャンプの間に繋ぎがあるんです。だからシーズンを戦っていく中でこのつなぎは外そうだとか、シーズンが進むのと同時に進化していって全てのジャンプをよりしっかり飛べるようになりたいと思っています。だから一年の終わりには漏れなくきっちり織られたタペストリーのように滑れるようになっていたいですね。全てのスケーターがそう思うでしょうし、時間をかける必要があると思います。このプログラムは素晴らしく見せられるようになるまで時間がかかると思いますが、とても可能性があるし、振り付けもダイナミックでエキサイティングでとても美しいんです。途中でテンポも変わりますし、ドラマティックなパートもあって素早い動きとのコントラストになっています。これを披露できることがとても楽しみです


おっけー、結果については今シーズンの目標はどこにありますか?グランプリファイナルやアメリカナショナル、世界選手権など


えぇ、グランプリファイナルには出たいですし、世界選手権でももう一度メダルを撮りたいですね。アメリカナショナルでは2位か1位か、、、結果は誰にもわかりません。今年は大学もあるのでファイナルに出場するのは大変だと思います。大学に行くことがどうスケートに影響するかわからないですが、想像もしていないチャレンジが出てくること、すでに想像しているチャレンジが想像より厳しくなるだろうことは間違いないでしょうね。でもファイナルには出場したいです。大変になると思いますよ。膝の怪我から戻ってきてすごくしっかりと練習しないといけないでしょうし、夏の間はまたバカなことをして怪我をしたりしないように健康を保たなければいけません。この怪我はスリップしてしまったからで使いすぎによる怪我ではありませんし、以前の悪い習慣に戻ったということでもない。とても突然で予期しないものでした。えぇ、運が悪かったんですね。次のシーズンに影響するかどうかもわかりません。ただ現実的に物事を見るように努めています。まだシーズンスタートまでは数ヶ月あって成長するための時間があると思うし、一方でいろんなところに行ってきっとまた色んなことがあると思うのでその間は思うように成長できないかもしれない。頭の中で色々なシミュレーションをしています。私の目標はとても野心的で難しいものだと思いますが、そのような野心がなければ私はここにいないと思うので。


ネイサンとは大学とスケートのバランスについて話をしましたか?


まだ話していません。彼と僕とはシチュエーションが少し違うのであまり思い込みを作りたくないと思っています。イェール大学は彼にリンクを貸して、彼はイェール大学でトレーニングしていますよね。ブラウン大学のアイスリンクの貸し時間は全て地元のアイスホッケーチームに貸し出されているんです。だから朝の7時とか夜中の12時に滑るしかできません。だからそれはしないだろうし、毎日のトレーニングを減らさなければいけないんです。毎日1セッションぐらいしかできないと思います。まだ実際どうなるかというのはわからないんですが。。。それに僕はアメリカ1位ではないので自分で試合を選ぶ権利がないので、休みの期間になるべくグランプリシリーズに行くようにしますが、そういった点でも彼と僕の状況は少し違うと思うんです。もちろん彼のことは尊敬していますし、彼が成し遂げてきたことは本当に信じられない鉱石です。だからそれとは比べられないと思いますし、僕は自分のチャレンジを楽しみにしています。


なるほど。今日本でショーに出て日本に住んでいますが、日本の印象はどうですか?人々やスケーター仲間たちの


毎日の生活の中ではみんな僕に日本語を話しかけてきますよ、僕のことを知りませんから。でもそれにも慣れてきましたし、いくつかの日本語を使えるようになってきました。今後とても便利になると思うので、今は言葉も勉強中です。全体的には日本の人々はとても良い人だし謙虚ですね。アメリカやヨーロッパの国々とはだいぶ違うと思います。彼らはそこまでフレンドリーではないんですね。日本やアジアの人々はシャイなので社交的という意味を含むフレンドリーというのとも少し違うんですが・・・日本人はそんなに社交的ではないと思いますが非常に礼儀正しいし丁寧です。それに、最初はちょっと予想していなかったんですが結構元気でもあって、ハッピーな人たちだと思います。日本でのチームやアジアの食べ物を楽しんでいますし、大好きです。ここでは食べるものには苦労しないですね。


おっけー。最近宇野昌磨選手がロシアのエテリコーチとトレーニングすることを発表しましたよね。これには驚きましたか?


えぇ聞きました。ちょっと驚きましたが、そんなに深くは考えなかったですね。彼は非常に強力なライバルです。本当にとても良いスケーターでもあります。彼のような人と一緒に競えることがとても誇りですし、これからのシーズンでも競い合いたいと思っています。彼が今どこにいたとしてもどんどん強くなることは間違いないですし、全て上手く行くことを願っています。


あといくつか。あなたのインスタグラムを見て、それに前回お話しした後に、今から例えば20年後にアメリカの国会議事堂に行ったらあなたがカリフォルニア州知事になっていたりとか、そう行ったことは起こり得ると思いますか?インスタグラムでのアメリカ国会議事堂の写真はどういう意味だったんですか?


あれは、アジアアメリカ文化・歴史賞賛月間の授賞式だったんです。異なる分野の著名なアジア系アメリカ人が彼らの功績を認められて賞が送られるんです。中には活動家や作家、科学者や様々な分野の功績ある人たちが集まっているんです。だから僕にとってもとても光栄でしたね。ちょっと恐れ多くて緊張しましたが、たくさんの著名な方々の前で国会議事堂でスピーチをしてきました。とてもいい経験になりました。


いつか政治家になることは?


政治はとても汚いので。。。好きではないです。もちろん考えることは大切ですが、それが全てを思って飛び込むのは違いますよね


正直な答えですね。それでは最後の質問です。3年前に濱田先生に海外スケーターの教え子を取ることがあるかと聞いたところ彼女は、多くの人に聞かれるけどそれはできないと答えていました。その時は大学のポリシーなどの問題だろうと思っていました。今回は何が違ったのでしょう?なぜあなたは彼女の承諾を得られたのですか?


舞台裏で何が起こっていたかはわからないのですが、僕が分かっていることは自分が彼女といい関係を築けてとんでもなくラッキーだということです。他の誰もこのラッキーの恩恵は受けていませんからね。多くの選手たちが彼女の元でトレーニングしたいと思っていることを知っていますが、ポリシーなのか連盟の考えなのか、それすらわかりませんが、とにかく実現していないですよね。だけど僕は本当にスーパーラッキーで先生が僕を助けたいと思ってくれたんです。そして彼女は想像よりもずっとずっと僕を助けてくれています。本当に彼女にはとても感謝しています。


わかりました。ヴィンセント、忙しい中お時間を取ってくれて本当にありがとうございます。次のシーズンも活躍を期待していますよ。日本のファンへのメッセージをもらっても良いですか?


日本語では1つか2つしかまだ言えません。「こんにちは ドリームオンアイスに来てくれた方々本当にありがとうございました。応援してもらえてとても嬉しかった。また数週間でアイスショーに出る予定で、とても楽しみにしています。今日本に2ヶ月滞在していてとても楽しい時間を過ごしています。文化や食べ物の新しいことを学んだり経験したりしています。スケートファンの中心地に入られてとても嬉しいです。いつもサポートしてくださって本当にありがとうございます。みなさん一人一人に本当に感謝しています。ありがとうございます。


ありがとうございました。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?