いちかわ あかね

ライターの仕事をしています。 小説、エッセイ、映画(主に邦画)、舞台、お笑い、ラジオが…

いちかわ あかね

ライターの仕事をしています。 小説、エッセイ、映画(主に邦画)、舞台、お笑い、ラジオが好きで、いつも金欠です。

マガジン

  • なんてことない話

    自分のために書いてる文章です

  • エッセイぽいもの

    ちっぽけでも、伝えたいことがあって書いてる文章です

  • たいせつ

    大切にしたい文章などを集めています

  • 書くこと

  • かく、つなぐ、めぐる。

    • 32本

    『かく、つなぐ、めぐる。』はライター・古賀史健さんが開講したbatons writing college (バトンズの学校)の1期生有志によるマガジンです。「書くこと」を通じて出会った仲間たちと、これからもつながっていける場をつくりたい。そして、古賀さんから受け取った大切なバトンを胸に、この先もみんなで書き続けたい。そんな思いから、私たちはこのマガジンを立ち上げました。毎月、2つのキーワードをもとに、11人の"走者"たちがバトンをつなぎます。記事の更新は3日に1度。書き手それぞれの個性的なエッセイをお楽しみください。

最近の記事

大晦日の日記

大晦日、約3ヶ月ぶりに付き合っている彼に会った。当日になって彼がLINEで「中華街で食べ歩きとかもいいなと思った」と提案してくれたので、ふたつ返事で数年ぶりの横浜中華街へ。相変わらず約束の時間に支度が間に合わなくて、結局予定より30分くらい遅れて着いた。 最初は豚まんを食べた。角煮入りで、ちょっといびつな豚の顔が愛らしい豚まん。「かわいい〜」とか言って写真を撮りハフハフと頬張りながら、かわいいとか言ってから平気な顔して食べるのってなんか残酷だなと思った。豚まんと小籠包を食べ

    • 親知らず抜いた話

      1ヶ月くらい前に、親知らずを2本抜いた。同じく先月、友達の結婚式の直前に下の親知らずが腫れて散々な思いをしたので、延々と先延ばしにしてきた抜歯を決めたのだった。 抜歯後しばらくは奥歯のあった場所にできた穴が気になって仕方なくて、洗面台の前に立つたびに口を大きく開けて穴ぼこを確認してみたり、舌でなぞるみたいに確かめたりしていた。それから1ヵ月経ったいま、歯のあった場所は着実に歯茎に置き換わっていて、穴はほぼ塞がりつつあることが自分でわかる。 抜歯後の穴には食べ物が落っこちや

      • AIの活用で「書くこと」に手を伸ばせる世界に

        じわじわと、というよりはものすごい速さでAIによる文章生成の自動化が進んでいるようで、でもそれをまだ自分流に使いこなせないわたしは傍観者みたいになっている。 とはいえ、わたしのように書くことがラクではない人ないしライター初心者にとって、AIは有用な使い方ができるんじゃないかとも期待している。 たとえば、今思いつくのはざっとこんな感じ。 少なくとも、勇気が出なかったり面倒くさがりだったりで、書くことに一歩を踏み出せなかった人のハードルがぐんと下がるはず。使い方次第なところ

        • 16歳の自分が30歳の自分に書いた恥ずかしい手紙

          昨日は母校に行って高校1年生のときのクラスメイトと会い、「30歳の自分へ」というタイムカプセルのような手紙を回収してきた。母校へ向かう電車の中では、一刻も早く葬り去りたい気持ちをそのままnoteに書いた。 学校で受け取ったその“手紙”は、ルーズリーフの1ページを半分に切り取り、封筒風に折り畳んだものだった。友達に見られるのが恥ずかしくて怖くて、その場では開けられなかった。 ようやく手紙を読んだのは、クラスメイトと別れた後。ガラガラの電車の座席に座り、膝上に乗せた鞄の上で、

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        記事

          久しぶりの母校に向かう電車で

          今日はたぶん10年ぶりくらいに、高校のときに通っていた母校に向かっている。高校1年生のときにクラス全員で書いた「30歳の自分へ」という手紙をみんなで開けるという、ちょっとしたイベントのためだ。クラスメイトから連絡がきて、そんなこともあったな〜!と懐かしさとともに思い出した。 思い返せば、中学生のときは少なからず嫌なこともあったけれど、高校のクラスに嫌いな人は全然いなくて、毎日居心地が良かった。放課後にマクドナルドとかスタバに行って、くだらないことでお腹を抱えて笑っていたあの

          久しぶりの母校に向かう電車で

          書くに値すると信じる気持ち

          自分が好きな文章の要素のひとつに、「“書くに値する”という気持ちで書けているか」というのがあると、最近気づいた。 書くに値するという気持ちで書かれた文章からは、書き手の熱と思いが伝わってくる。たとえば、誰かの人生経験についてや愛してやまないものに関する文章を読んだとき。それに心を動かされるのは、「書くに値することなんだ」という、書き手の信念のようなものがあるからじゃなかろうか。 意識的な信念でなくてもよくて、無意識で向ける眼差しによっては、たわいのない出来事も書くに値する

          書くに値すると信じる気持ち

          録音越しに聞く自分の声に思うこと

          取材の仕事では基本的にICレコーダーを回していて、書き起こしのために一通りインタビュー相手との会話を聞き直している。取材音源を聞きながら自分の質問の仕方を反省することもあるけれど、自分の話し方や声のトーンが気になることも多い。逆に、知り合いとの会話もしくはテレビやラジオで誰かの話を聴いている場面で「この人の声や話し方好きだなあ」と思うことがあって憧れる。生まれ持った声質というのもあるけれど、話し方は癖とか習慣で作り上げられるものでもあるはずで、自分の話し方をどうにかしたいと思

          録音越しに聞く自分の声に思うこと

          あの頃のボタン連打に思う、意味不明でも躍起になっちゃう人のキュートさ

          この前、YouTubeでポケモン(バイオレット)のゲーム実況を見た。自分がプレイしたポケモンゲームは、小学生の頃にやりこんだサファイアが最後だ。初めて見るバイオレットは、二次元とはまるで違う立体的な世界観、動きの細やかなポケモンバトル、今っぽい会話、新たなやり込み要素や演出と新鮮さに溢れていた。 一方で、ポケモンセンターで流れるBGM、ポケモンが進化するときのBGM、ポケモンが技を忘れるときの「1、2の……ポカン!」は変わらなくて、長すぎるブランクのある自分も優しく受け入れ

          あの頃のボタン連打に思う、意味不明でも躍起になっちゃう人のキュートさ

          大人数よりもふたりで行くご飯が好きなのは

          「この人は自分に興味がないんだな」というのが、嫌でもわかってしまう瞬間がある。初めてそれを強く感じたのは、大学生1年生のときだったと思う。入学したての頃、新入生と先輩たちと男女5〜6人で行ったファミレス。目の前に座った男性の先輩は、わたしの隣に座る女性にばかり話しかけ、質問し、その場は盛り上がっていた。自分がいなくても変わらないだろう空気感が悲しくて、存在感を出そうと合いの手をうったり、うまいこと言ってみようとするも、むしろ空回りしてるみたいで恥ずかしくなる。たわいもない会話

          大人数よりもふたりで行くご飯が好きなのは

          二拠点生活っぽい暮らしを始めたことなど近況報告

          生きてます。 最後の更新からずいぶん間があいてしまったのですが、元気に生きています。昨年の秋から冬くらいまで心身ともに体調を崩してしまい、SNSとも距離を置いていました。最近は体調も戻ったので、仕事したり、家でひとり本を読んだり、TVerやYouTubeを観てケラケラ笑っていたり、たまに落ち込んで「ダメだ生きられない……」って気持ちになったりと通常運転です。 ちなみにそこまで体調を崩した理由は、自分でもいまだにわからず……。最初は背中とか腰の痛み、喉が痛くなるとか身体の不

          二拠点生活っぽい暮らしを始めたことなど近況報告

          宇宙人家族 #かくつなぐめぐる

          赤ちゃんは、宇宙から来た宇宙人。『ママだって、人間』というコミックエッセイで、田房永子さんがそんな表現をしていた。自分の赤ちゃんが産まれてくる瞬間がテレポーテーションで出てくるような感覚で、人間の体の中は宇宙なんだと思ったそうだ。 生まれてしばらくは宇宙(体の中)からしぼり出された飲み物しか飲めないし「育児って宇宙人を人間にしていくことなのかな」と田房さん。 この宇宙のたとえは、妊娠出産経験のない自分にも妙にしっくりきた。自分にとっての妊娠や出産のイメージが、壮大で未知で

          宇宙人家族 #かくつなぐめぐる

          「風が吹いた」と彼女は言った #かくつなぐめぐる

          誰かを好きになる瞬間というのは、人によって違う感覚なのだろうか。いつか観た漫画原作の映画では、主人公の女の子が人を好きになった瞬間を「風が吹いた」と表現していた。恋に落ちるでも溺れるでもなく「風が吹く」。わたしも誰かを好きになるときは台風の嵐みたく一瞬で、でもきっかけは些細でくだらないことばかりだった。 なかでも一番意味がわからないのは、何年か前に「俺、この仕事向いてないんだよね」と無邪気さと情けなさの滲む笑顔で言われたとき。どんな文脈だったかも、その言葉にどう返したのかも

          「風が吹いた」と彼女は言った #かくつなぐめぐる

          ドレス選びで思い出す嬉しさとか楽しさ

          ここ数日、友達の結婚式に行くための“お呼ばれドレス”なるものをネットで探している。ドレスに限った話ではないけれど、服選びで毎回困るのが、低身長ゆえのサイズ感だ。背の低いわたしは、市販のロングスカートやワンピースは丈が長すぎてことごとく着られない。 現在進行中のドレス選びでも「このデザインかわいいな〜」と思ってサイズ表を確認して、「Sサイズで総丈120cmか……」と悩み諦めることを繰り返している。丈が短めのドレスを見つけて、一度「カートに入れる」をタップしたこともあったけれど

          ドレス選びで思い出す嬉しさとか楽しさ

          インプットにちょい足しする

          インプットしたらアウトプットする。そう言うのは簡単だけれど、自分は思ってる以上にインプットばかりで、アウトプットできてないなあと思う。 休日を振り返っても、映画を観たり、漫画を読んだり、本を読んだりとコンテンツを享受してばかり。それをインプットとするなら、わたしは圧倒的インプット派だ。自分のなかに取り込むばかりで、自分から何かを生成することも絞り出すことも少ない。 アウトプットは「できた感」「やった感」がわかりやすく目に見えやすいのに対して、インプットは、その感覚を得にく

          インプットにちょい足しする

          楽しむをちゃんとする夏

          ここしばらくモヤモヤとした時間を過ごすことが多くて、「楽しむ」をちゃんとできてなかったように思う。 自分の至らないところにばかり目がいってしまったり、自分を責めたり、目の前のことでいっぱいいっぱいになっているうちに、ものすごい速さで時間が過ぎていった。それは今に始まったことではないけれど。とにかく仕事もプライベートも楽しむ余裕なんて全くなくて、ずっとせわしない気持ちで毎日を過ごしている。 仕事は楽しい瞬間はあれど焦りのようなものが強くて、その合間にちょこちょことバラエティ

          楽しむをちゃんとする夏

          台風のような恋じゃないけれど #かくつなぐめぐる

          自分が昨日着ていたTシャツや彼のシャツをハンガーにかけ、下着や靴下やタオルをピンチで挟みながら考えていたのは「今日は絶対、家に帰らない」だった。 わたしは定期的に電車で2時間半ほどかけて彼に会いに行く生活をしていて、今回、彼の家に来たのは2日前。けれど、今日、出て行くと決めた。 きっかけは、付き合って数年になる彼が朝に言ったひとこと。傷つけるつもりもなく、無自覚に言ったであろうその言葉にカチンときた私は「冷たい人だね」と言い放ち、彼の「いってきます」も無視した。彼はそのま

          台風のような恋じゃないけれど #かくつなぐめぐる