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「もう無理だ」と思えているうちは大丈夫だよとか そんなことを言う君にわたしの死体は運ばせない


もう何度呟いただろう。

駄目かもしれないと。
でもわたしって元から駄目だったんじゃないか。別に成功体験も大してないくせに、わたしは少しだけどうにかなるかと思っていたのだ。夕方、仕事の帰り道 子供たちとすれ違う。
戻りたいとは思う。けれど戻るのって面倒だったりもする。戻ったからといって、今の居場所が変わるとは思わない。きっと戻れたことに甘えて、またこの場所にすら戻ってこれなくなってしまうかもしれない。

面白いくらいに努力が出来ないわたしは、これからどこに向かって歩を進めようとしているのだろう。文章は書き続けたいし。かといっていまはそれで生きていけるわけでもないし。
いまの職場では自分の嫌いな人の機嫌を損ねないように自分を殺す。笑ったような表情を丁寧にわたしは顔に貼り付け。今日も明るい自分で踊っている。

わたしはわたしなのに。
noteに文字を打っている時だけがわたしにとって自分を鏡で見る時間だった。本当はもっと好きな本を沢山読んだりしてみたいな。好きな人に会いに行ってみたりもしたいな。わたしがわたしで完結してしまうのはあまりにも淋しい。

もっとさ。お化粧したいの。
わたしは女の子ではないけれど。女の子みたいなことをしてみたいの。でもそれをする勇気がひとりでいつか持てるかな。いつかわたしは、真っ白のワンピースを着て街を歩いて死んでみたい。


「もう無理だ」

と、声に出してしまいそうになる。
心の中でそれをぐっと堪える。だってそれを言っても「まだ大丈夫だよ」と言って殴られてしまうから。けれど「もう無理だよ、よくわかってるじゃん」なんて言われてしまったが最後、わたしは自分の足だけでは立ち上がれなくなってしまいそうだ。周りに虚言を吐かれているうちが花なのかもしれない。そんなくだらない妄想だけが自分の頭の中を回り続ける。

やりたいことに手を伸ばしたいけれど、駄目にあってしまうのが怖い。第一志望の面接が一番緊張する、当たり前だ。元から自分は妥協してきた人生だったはずなのに。瞬間を切り取った途端、人は都合よく一番が欲しくなる。


選択される屍


文章を書く仕事がしたくて。
休日の朝4時からわたしはネットの波に乗り始める。

でもわたしが求められるようなところって調べれば調べるほどない気がしてしまって。だってそもそもわたしって何者でもないから。
Twitterやnoteのフォロワー数が増えようとも、それは別に何か信用に直結するわけでもなければ、それは実績でもなんでもない。もっと深いところにある過程が、その人物を作りあげているのだろう。


「あなたの強みはなんですか?」

と、そんな顔をしないでくれ。
元々弱いところしかないけれど、これからは何かを強くするように生きなければならない。
そんなこと考えたこともなかった。
わたしは誰かに引っ張られるように。別に自分の足で歩いたわけでもなく。ただ高校を卒業し、大学を卒業し、就職した。別になりたいものがあったわけでもなくて。それこそなりたくないものの方がそんな人間は多かったりもするのだろう、わたしみたいに。

わたしは隠しながらも隠せずにきっとここまできた。noteを毎日更新してきて、この前100日が経った。これをたった100日と捉えるか、100日も経ったのに何をしていたのか自分は、と。そんな感情が混ざり合う。

"文章を書く仕事がしたい"

でもその現実は、わたしが好き勝手にしていても成り立つものではない。だからこそその現実に立ち向かってすらいないのに、折れそうになってしまう。きっと仕事になってしまったとしたら今みたいな文章は薄まってしまうから。

でも今まで歩いてきた道とは少し違う。今度の道は自分で見て踏んで。本当に小さな穴が先にあって。迷いながらも進もうとしている。

今、わたしはフリーターで。
飲食店で働きながら、明日が約束された生活を垂れ流している。
会社員の頃、わたしは楽しくなかった、勿論。みんなと同じ道を歩いているのにそれを楽しいと思ってはいけないと思っていたからだ。努力は間違いなくしていたけれど、自分で決めた努力ではないときの満足感は違うものだった。

楽しくないどころか、わたしは周りについて行くことすら出来ていなかった。わたし自身が「もう無理だ」と思った頃にはもう戻れないところまで身体も心も削れすぎてしまって。削れた粒子は、そのまま探せないところに混ざっていた。


あの頃わたしがもう無理だと嘆いていた時「そう思えるうちはまだ大丈夫だよ」と背中をさすってくれた人間の手の温もりが。今自分を後悔させている。

生きているという事実が、わたしの心を"大丈夫"と錯覚させる。それは自分の未熟さを痛感せざるおえなかった。それでも死んでしまってからでは遅いだろう。頑張ったその先で、ふと身体を空で軽くさせてしまったとしたら、わたしは後悔する暇すらない。

今わたしが文章を書きたいと思って。
こうして毎日パソコンの前に立ったり、小さなスマホの画面に文字を並べている。これが何を生み出せるのか。誰の心もまだ動かせていないけれど、この道を歩き始めた以上「もう無理だ」とは思いたくない。だってこの文章を書く人生は、わたしが間違いなくひとりで決めたことだからだ。会社員を卑下しているわけではない。ただ会社員の道はわたしが決めたことではなかったから。

「まだやれる」

そのわたしの姿を笑われてしまったとしても。癪だもの。それでもわたしは笑ってきた君にわたしの死体を運ばせるわけにはいかない。

だってまだもうちょっと生きていたいの。

楽しいね、今はだよ。


書き続ける勇気になっています。