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石原吉郎「花であること」

恋人が六甲高山植物園に連れていってくれました。
ひんやりとした空気に花の輪郭を見て、思い出した詩がひとつ。

今日の短歌はお休みして、石原吉郎の詩をお届けします。

 花であること

花であることでしか
拮抗できない外部というものが
なければならぬ
花へおしかぶさる重みを
花のかたちのまま
おしかえす
そのとき花であることは
もはや ひとつの宣言である
ひとつの花でしか
あり得ぬ日々をこえて
花でしかついにあり得ぬために
花の周辺は適確にめざめ
花の輪郭は
鋼鉄のようでなければならぬ

──石原吉郎『サンチョ・パンサの帰郷』から

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