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最堂四期インタビュー「始まる前に気力の80%は使い果たしていた」

2018年11月23日から25日の3日間で行われたNovelJam。
ここから16の作品が生まれた。
今回は『みんな釘のせいだ』で内藤みか賞を受賞した最堂四期さんにインタビュー。当日の苦悩から受賞の瞬間について、また今後の展望について聞いた。

-NovelJamに応募したきっかけはなんだったのでしょうか。

試みがおもしろそうだったから、です。
もともと電子書籍に興味があったけれど、自分で調べて出すのにハードルを感じていて。
それを「2泊3日で小説仕上げてうまくいけば賞がもらえて電子書籍が出版できる」というお祭り騒ぎのようなイベントに惹かれて応募しました。
あと、普段はひとりで小説書いて、webで発表する……という繰り返しだったので『デザイナーがついたらどうなるか』『編集がついたらどうなるか』という点に非常に興味がありました

-ひとりで小説を書いて発表するのを繰り返しているというのは、実際に続けていると辛いのではないでしょうか。

しんどいですね!
自分は公募に応募しないタイプの趣味小説書きであり、結果がでなくて苦しむ……というしんどさじゃなかったのでまだマシだったんだなと今にしては思います。
今の販促フェーズに入ったNovelJamの方がプレッシャーが大きいですね……(笑)

-NovelJam初日、会場に一歩入ったときの感想を教えてください。

思った以上に会場が広くて、これからどれだけの人が来るのか……!と緊張しました。
わりと早い時間に会場に入ったので、まだ人は少なかったですね。
あえて人のいないテーブルについたので、誰がこのテーブルについてくれるかとドキドキしていました。

-早めに会場入りしておくのいいですね。人が多い状態に飛び込んでいくとなると余計に緊張しそうです。

確かに……! あと、名刺交換もしやすかった、というメリットもありました!まだ挨拶していない人をロックオンできたりもしたので!
それでも開始時間近くになって来られた方などには挨拶できないままになったりもしましたが……!

ちなみにこの最初の挨拶時間で気力の80%を使い果たしました
日頃のコミュニケーション不足がたたって……。

-早い!(笑)

-チームビルディングについては最堂さんのnoteで語っていただいているので、テーマ『家』についてお聞きしたいと思います。

-テーマを最初に聞いたときどのような感想を持ちましたか?

「はぁーーー範囲広っ」
ですね。
あまりにもさまざまなものを書ける、器のでかいお題を選んできたなぁ……という印象でした。
結局自分も「家族」というテーマに収束したわけですが。

-テーマ発表後にはデザイナー、編集がやんややんやと言い出したかと思うのですが。

ふふふふ(笑)
迷走するところだったので、非常に助かりました!

-もし、「家」でもう一本書くとしたらどういう作品を書いてみたい、という構想はありますか?

「家安(いえやす)さん」という『部屋の家賃を下げる』ことを仕事にしている人の話を書きますね。架空職業モノです。
でもあの短時間で書ききる気がちょっとしないので、みん釘で大正解だったと思います……。

-あ、でもそれ面白そうですね! 機会あったら読みたいです! 変な人いっぱい出てきそう……。

-実際、制作中で困ったことはありませんでしたか? 悩んだこととか……。

宿泊先で書く時間もそこそこ長かったのですが、寒かった、ことですね!
…と物理面(?)はおいといて、
ふたつあるんですが、ひとつが「自分は小説を書く時にタイトルを一番最後に考えるタイプであったこと」ですね。
しかしこれやるとデザイナーの杉浦さんを困らせることになるので……。
まぁ結局降りてこなかったので、仮タイトル(『ぜんぶ釘のせいだ』)に全力で乗っからせてもらうことになりました。
正直助かりました。そして仮題の流れを組んだ、「みんな釘のせいだ」になってよかったです!

-確かに、普段とは違うスタイルで進めなければならなかったところは多くありそうですね。もうひとつについても教えていただけるでしょうか。

もうひとつが「途中経過をwebで公開すること」でした。
しかもこれがエブリスタさんということで、こまかく評価がついてまわる、というのは短い時間の中で結構なプレッシャーになっていました。

初稿から大きく変わるタイプの書き手でもないので、「エブリスタで読んだからいいや」となる可能性もあって最終的な販売に響くのでは? という不安もありました。
なので、最後の最後の部分はエブリスタには公開しないという手を取りましたが……。

でも投稿を見た友人からアドバイスも貰えたので、オープンな場に投げるのは悪い試みでもなかったなと思います。

-プロットの段階からランキングが表示されますからね……みん釘のプロットが一位、確か初稿も良い順位でしたよね。

そこは素直に嬉しいですね。
表紙効果が大きかったなと思います!
ただその分「出来上がったものは微妙……」となる反動はめちゃくちゃ恐れていました。

(※初稿時の表紙デザイン案。販売時とは大きく異なっている)

-書いているときから、プレッシャーは大きかったのではないかと思います。結果として内藤みか賞受賞! 受賞時のことを思い出して一言お願いします!

自分の小説が評価された……というよりも、このチームでつくった作品が評価された! という思いが強く出て、とても誇らしかったです。
合作をやるためにNovelJamに参加したようなものなので!!!

-ちなみに今回のNovelJamで他に気になる作品はありますか?

自分が目標としていた米光一成賞を受賞された『【大好き】センパイを双子コーデでコロしてみた!』と誰もが羨む最優秀賞『いえ喰ういえ』はもちろんのこと、どれもプレゼン良かったな~……と思いまして、全作購入済です!

事前にnoteで自己紹介を書くようになっていたことや、もともとnoteで文章を公開されている著者さんもいたので、「あの人があの短期間で書いた小説」という点でも各作品はかなり興味深いです。
作家買い、に近い感情といいますか。

-最後になりましたが、今後の展望、目標などを教えてください。

割と面白い題材の作品がつくれたと思っているので、みん釘スピンオフの、ノベルゲームを作るのも楽しそうだなと思ったりしています。
今は時間さえあれば手軽にゲームがつくれるいい時代になったので、時間さえあれば……。

あとは電子書籍の宣伝にあたって学んだことなんですが……
自分は会社員やっているのですが、弊社の営業、広報担当に対する尊敬の念が増しました、もう驚くほど……!
個人でやっていくなら「著者or作品or作風が広く知られること」が宣伝の上で大事だと痛感したので、引きこもらずに色々とweb上で活動していこうと思います。

-ありがとうございました!

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写真© NPO法人日本独立作家同盟
文:ふくだりょうこ

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