夜の光 坂木司

関東地方の地味な県にあるすごい進学校というほどでもない程々の進学校にある天文部は「週に1回部室に集まり、季節ごとに夜空を望遠鏡で観察すること」というノルマだけ課されているゆるい部活である。
その部活に集まった、3年生ジョー、ブッチ、ギィ、ゲージは性格もグループもバラバラだが密かにスパイの任務に就いているのだが…。

ここからネタバレ含む感想。


4人が順に交代しながら語りを務める。ゆるい部活…この1点がポイントとなり天文部を選んだ4人。3年生になるまでは、お互いの連絡先も知らない状態だったが、あるとき偶然居合わせたことがきっかけとなりそれぞれにコードネームを付けてスパイ活動を始める。
坂木さん、おなじみの緩い青春物語かと思いきや、話が進むとだんだんヘビーなお話だということがわかってきた。そして、なぜ緩い部活に所属する必要があったのか…、うーん、読み進めるほど深い話なのかもしれないと思う。家族との関係などうんうん、そうだよなぁ~と賛同しながら読んでしまった。特に最後の章のジョーの語りは、残念だけどそれは一生ずっしり乗っかってくるからそれなりに回避策も考えないといけないんだよ~と呟いてしまった…。
自分自身に重なる部分もあり、同じように共感できる人も少しはいるのかなと考えながら読みました。私自身は、人生それなりに折り合いつけているけれど高校生の頃読んだら、共感しまくりで怖くなったかも…。でも、当時も現在も同じように感じている人には出会ったことがないので割と少数派ではないかと自分では思っている。
ちょっと心が疲れていて、先行きが不透明な人には、ぜひ前向きになれる1冊としてお勧めします。

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