凛の弦音  我孫子武丸

主人公、高校生の篠崎凛が弓道を通して成長していくお話です。
我孫子氏と言えば、「殺戮にいたる病」のイメージがどうしても強いのですが、えーっというくらいの爽やかな青春ストーリーです。


ここからは、ネタバレも含む感想





推理作家ものなのでいきなり弓道の師匠の自宅で起こる殺人事件からお話が始まります。なので、一話ごとに事件か…と思ったのですが、続くお話は「日常の謎」ものでした。探偵役は凛、助手が映画にどっぷりつかっていつか凛と弓道部部長の本多に出演してもらって映画をとることを目標にしている中田です。中田がただのストーカーかと思ったらこれが意外にナイス助手役、それほどしつこく感じません。最初は、うっとうしがっていた凛ですが最後の方では姿が見えないと気になるくらいの相手になります。
ちょうど1年分くらいのお話なのですが、凛の弓道の成長がすごく丁寧に描かれていて、最初三段に落ちて落ち込む凛ですが何がいけないのかわからない…それが最後の話の頃になると自ら成長していて、自分の弓道のようなものをつかみつつあるところまで描かれています。
作者のあとがきにもありますが、弓道について一つ一つ詳しく説明があるので読み進めていくとちょとやってみたくなること請け合いです。(でも、弓道場はあまり無いようで、初心者から始めるにはなかなかハードルが高いです。)

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