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死者と霊性

フォークロア

形が無くてもただ見つめてる
波のあわいを泳いでいたの
瞳の中で蒼く燃えてる
その痛みを覚えているの

触れないものばかりが見えて
声を出しても消えていくだけ
焼けた海は空を照らして
ひしゃげた街降りしきる雪

月の明かりで糸を結んで
手繰り寄せたあなたの跡
花瓶に挿すには綺麗じゃないけど
すこし暖かい浅い傷跡

きっとあなたが生れ落ちたこの土地は生きていて
ずっと昔に置いてきた小さな思い出さえ
まだ、そこにあるよ 覚えてるよ
あなたは、柔い雪に生まれてきたんだよ

一次提出で出したやつ

去年の秋から今年の夏にかけて見た(聴いた)深海誠「すずめの戸締り」、cero「e o」、太ったおばさん「出会って四光年で合体」、宮崎駿「君たちはどう生きるか」はいずれも解釈に幅があるというか、見る人によって様々な思いを抱かせてくれる作品だが、私は”目には見えないが確かに存在する何か”が持つ大きな力って確実にあるし、無視できないよなあとか考えていた。当然それぞれの作品に対して思うことはそれぞれだけど、震災とコロナを経た日本社会を前提に描いているのは共通している(んじゃないかと思う)し、だからこそ評価されているはず。

まだ20年ちょっとしか生きてないけど、それでも大きな災害やパンデミックを目の当たりにすることがあって、あと個人的に葬式に参列する機会が割とあって、ついでに今の変な生活があって、なんというか理屈で生きていくにはあまりにもこの世界は歪んでいるな、みたいな実感があった。結局魂なんだよ、みたいな怪しい会話を友達とよくしていた。

フォークロアは古くから伝わる伝承や都市伝説を意味している。私たちはずっと昔から絶えず生活を続け、その中で様々な情報を伝えあって受け継いできた。そしてその伝承や都市伝説は霊性の存在が無くては成り立たない。数字で処理される情報に囲まれている私たちにはどうしても気づきにくいけど、この世界は確実にそれだけではない。何かに包まれている。私たちが今観測できる物質よりもはるかに多く存在するはずの暗黒物質の、その正体を未だに解明できていないような。

霊性や民俗学に関する本を斜め読みして、量子力学とか天文学のwikipediaを斜め読みして、だんだんスピってきたけど実際のところはよく分かっていないままこの楽曲を制作した。
私たちは観測できないけれどおばけたちはそこら中にいて、私たちを見つめている。

一次提出で出したやつ

なんて考えながら曲を作り、せっかくだから今までよりももうちょっと動きのある映像に挑戦したいかもと思ったのが夏の最初のほうだった気がします。ちょうどFRENZが開催される。もう、応募しちゃえ♡知らない♡みたいな投げやりな気持ちで応募したら受かってしまい、半分絶望しながらもなんとか作りました。

尊敬する映像作家の人も多数いる中で自分の作品が流れると思うと緊張というか申し訳ございませんみたいな気持ちになって食べ物も喉を通らないような状態で臨んだFRENZ本番だけど、いざ始まると本当に暖かくてただただ楽しく参加することができました。
大きなスクリーンと最高の音で自分の作品を上映していただけたので5割増しくらいで良く感じたし、上映後すかさずエゴサしたら多くの人から感想をいただけていて、「良かったです、頑張ってください」なんて面と向かって言われたりして、本当に嬉しかったです。

正直作ってるときは絵を何枚も(よく考えれば大した枚数じゃないんだけど)描くのがダルすぎてもうやりたくない!とか思ってたけど、あんなにも嬉しい言葉をもらえたら、次も楽しみにしてますとか言われたら、またやる以外ないじゃんね。もっと頑張ります。


そういえばFRENZは5年ぶりに行ったんですけど、前行ったときは厚手のパーカーを着てたことを思い出しました。今年はTシャツ一枚でも暑かったのに。

やっぱり狂ってるじゃんね❣