YOASOBIへの長すぎる年賀状、という名の2021年メモリアル

拝啓 YOASOBI様

昨年は、多くの幸せを贈ってくださり、誠にありがとうございました。
個人的なことばかりですが、思い出を振り返らせていただきます。

(以下、僕の思い出トークになります)

はじまりのバレンタイン・KEEP OUT THEATER

思い起こせば、もう一年近くも前になりますね。
YOASOBIにとって初のライブとなった、新宿ミラノ座跡地でのパフォーマンス。

ライブを観る前は、これほどYOASOBIを好きになるとは思っていませんでした。なんなら、配信当日になって

「そういえばライブやるっぽいな……けどパフォーマンスで好きになったわけでもないし……けど分からないから気になるし。あれ、レポート企画とかあるの、へえ、チケット買ってみるか」

くらいの心境で観ることを決めたくらいです。

とはいえ、ライブが始まってからはもう虜でした。
単純にパフォーマンスの格好良さに燃えましたし、この場所・このタイミング・この曲だからこそ出来る演出を追求していたのにも痺れました。

「小説を音楽に」というコンセプトで生まれた曲たちが、ライブというひとつの物語に再構築されている、その構造はYOASOBIならではでした。
そしてこの瞬間、日本中・世界中のファンが別々の場所でYOASOBIに夢中になっている……と考えると、不思議な感慨が湧いたのです。場所は違っても、会うことなんてなくても、同じ音楽でつながっている。

……ということを考えながらライブを観ていると、「レポート、小説形式で行けるのでは……?」という企みが浮かんできました。

ただ振り返ると、あのときゼロから湧いた発想でもなかったのです。

以前から別アーティストのファンクラスタで過ごす中で、同じアーティストのファンでも注目するポイントは全然違う……という点に気づくことが多かったのです。自分の解釈を挙げつつ、別の人の注目ポイントは違うから面白い! と思っていたのですが。
なら、その「違い」をファンの多様さに絡めながら、一つのライブに対する感情を描いたら楽しいのでは、と気づきました。

もう一つは小説ですね、かれこれ5年近くは続けております。
字書きにはそれぞれ特徴があると思うのですが。僕が好きなのは(得意かは別として)人の心情にフォーカスすること、心情の違いから起こるドラマを描くこと、それをエモい感じの台詞と地の文にすること、です。
文章としては短いけれど強く心に残る、歌詞みたいなフレーズにしたい~と常々思っています。できてるかはともかく。

その顕著な例として、学生ライブやミュージカルを1曲につき1視点・10人以上でリレーしていく……という章を書いたりもしました。「歌詞やストーリーを一番に考える人」「大事な友人に格好いいところを見せたい人」「とにかく自分の殻を破りたい人」みたいな、姿勢の違いにこだわりました。

(逆に、「読者を引き込む構成」「先が気になる謎やスリル」「緻密な設定による説得力」あたりは苦手だと思ってます。プロットの修行せねば……)

「アーティスト語りと曲解釈」「キャラ先行で多視点の小説」という蓄積から、ライブ中に構想を練り始め。ラストが「群青」だからできる着地点が浮かんで。
このYOASOBI曲は、こういう人にこう響く」をリレーしていく形で書き上げました。

ありがたいことに、公式様をはじめ多くの方に気に入っていただけました。

ちょうどその頃、僕は修士論文でメンタルが弱りきっていたところでした。なんとか初稿が書き上がったは良いものの、教授からの指導や発表準備に追われる中で「やっぱり僕はクソザコなんだ……」という感情が募るばかり。趣味で新しい自分を見つけられたことで学業にも奮起できた、というのが2月下旬。
そして院を出る間際に公式様にピックアップしていただき、色んな方に褒めていただき、「キラキラした優秀な学生にはなれなかったとしても、僕らしい強みが見つかったのでは」というポジティブな気分で新生活に臨めた……というのが3月でした。

そして、地元に帰り入社して、「お金もらえる! だいたい決まった時間に帰れる! 家族も一緒! 心身の安定!」となりつつPS4と蜜月を過ごしていた、6月半ば。

YOASOBIからDMが届きました。

世界で一番青い夏・SING YOUR WORLD

この発表より1週間くらい前から、YOASOBIチーム(主に屋代さん・Twitter担当でおなじみ)との打ち合わせが始まりました。
といっても、Zoomでご挨拶させてもらい、セトリや演出プランを聞き……というだけで、「こんなレポートにしてください」みたいなディレクションはほとんど無かったです。未公開の情報を外で言わないとか、感染症対策しっかりやらねばとか、基本的なことくらいですね。

そこで、ライブまでに原作の集中履修をすることにしました。特に「BEASTARS」「ブルーピリオド」は、コミックスの一気読みに踏み切りました、2作とも非常に面白い……!

とはいえ。前回の小説型レポートから抜擢していただいたのは有り難いのですが、それの焼き直しをやるのは無理だな……とも考えていました。あれは曲とキャラの結びつきが強すぎて、2回目を書いても似たような雰囲気にしかできない可能性が濃厚でした(むしろ、違う解釈でキャラ書いてくれる人いたら読んでみたいです)

しかし、「ただの焼き直しにしない」を目指していたのはYOASOBIも同じです。UTオフィスの改造、大阪桐蔭高校吹奏楽部との共演……などなど、今回ならではの要素がぎっしりでした。
ならば僕も、YOASOBIの核である「小説を音楽に」を復習しつつ、新たなチャレンジにフォーカスを当てようと方針を固めます。

ここで活きてきたのがレビュー形式の記事。
YOASOBI語りのきっかけとなった「夜を駆ける」解説にはじまり、「ライブ全曲レポート」「アルバム全曲レビュー」「ドラマ全話レビュー」「ドラマ布教」「原作小説と映画の徹底比較」「アニメからテーマの抽出

……などなど。節操なくそのとき興味のあった物にまっしぐら。
あくまで印象なのですが、レビュー執筆者・キュレーターとして支持を集めたいなら、ジャンルを特化させた方が効率はいいんですよね。知見も集まりやすいし、読み手としても「このジャンルが好きだからこの人フォローしよう」となる。
その意味で僕がやってきたスタイルは、数字にはつながりにくいです。

しかしYOASOBIという、アーティストでありながら多彩な要素とコラボするプロジェクトには、この節操のなさが活きた……と、自分で思っております。誰に頼まれずとも言語化にトライし続けた、その成果ですね。

ちなみに、この手のレビューの師匠だと一方的に仰いでいるのが、ライムスターの宇多丸さんと、ブロガーの結騎了さんです。

という流れで、前日までに各楽曲の紹介パートだけは書いておき、現地で取材して、翌日の公開です。

このライブで何をやりたいかが明確だったので、かなり構成しやすかったです。前から思っていたYOASOBIの魅力(他のクリエイターとの共演)が全面に出ていたので、テーマも据えやすかったですね。

当日は主にカメラマンの安井さんに案内してもらっていました。素人には「今ここでウロウロしてていいの??」という不安が付き物なのですが、的確にエスコートしていただきました。
Ayaseさん&ikuraさんは、ライブ準備以外にもメディア対応などがあったらしく、かなり忙しそうだった印象です。直接お話を聞けたのも、ヘアメイク中や移動の合間などのスキマ時間でした。そんな忙しいなか優しく応じてくださって感謝しかないですし、あまり長いと平常心を保てなかった説もありますからね……ikuraさんと話す時間がもう少し長いと禁断症状が出そうでしたし(推しをクスリみたいに言わないの)

ちなみに記事の写真は、安井さんが撮ったものから僕と屋代さんでセレクトしています。推しの限定ショットが手札にある全能感は凄まじかった。

1万文字以上はある記事なんですが、読みやすいという反応が多くて嬉しかったですね。これまでのアウトプット経験は勿論、大学でのプレゼン準備の経験も活きたかなと思っています……役立ったことにしないとあの日の僕が報われないですし……

これまでにバラバラに積み上げてきた経験が成果になった、という意味でも大事な出来事でした。こうやって過去が伏線になっていくなら、歳を重ねていくのも楽しいな、と思うことも増えた最近です。

そして思い出を噛みしめながら、ファンとしてYOASOBIを追う日々に戻り、冬の近づいた頃。

あたたかな愛が溢れた冬・NICE TO MEET YOU

武道館ライブです。もし配信でもレポは書こうと思っていましたが、現地チケが当たって本当に良かった……

YOASOBIの本気、「どんなときも、そのときの全力」をフルに体感した回でした。
同時に、アーティストにとって最も大きな喜びの一つであろう「ファンの前で演奏する」がやっと実現したことがとても嬉しかったです。

混迷する時代に、多くのファンの希望となり続けていたのがYOASOBIです。
ならば、「YOASOBIを好きな人がこんなに居る、もっと居るんだ」と実感する機会がなかったら嘘だと思うのです(本人が望んでいないなら別として)

2019年に生まれ、2020年で飛躍したYOASOBIが、その先の景色までみんなを連れて行ってくれた……そんな2021年だったと感じます。

その象徴が、年末の大舞台。

「みんなの歌」を歌う証明、紅白歌合戦

まだ興奮冷めやらぬ翌日ですが、素晴らしかったですねYOASOBI紅白。

「ツバメ」は、立場を越えて仲良く踊る光景がすごく似合う歌なんですよね。SDGsの内容は多岐に渡りますが、根っこは「今を生きる人、未来に生きる人、誰も取り残さず豊かになろう」だと思っているので。

しかし今回の紅白の「カラフル」を最も感じたのがマツケンなんですよね、この混沌とした国籍ごった煮フィーバーにあらゆる立場の人が加わるの、日本流のインクルージョンだなと思うのです。

そしてそして、YOASOBIの歌い納め、「群青」です。

青をまとったダンサーの皆さんも、豪華すぎるオーケストラアレンジも最高だったんですが。
やはりikuraさんの「かけがえのないみんなだ!!」がとてつもないインパクトでした。

多分ですけど、ikuraさんがパフォーマンスで歌詞を変えることってなかったはずなんですよ。バンド全体で意見を出し合いつつ、「原曲を聴かせる」ことを原則としていたのがYOAOSBIだという印象です。小説から生まれた音楽であるぶん、ikuraさんは語り手であり主人公であり、歌詞の中で観客・リスナーを明確に指すことはしてこなかった。

だからこそ、今回のikuraシャウトはYOASOBIとしての姿勢の変化の象徴だと感じました。
物語を伝える、歌で表現する、だけでなく。

あらゆる人を、「みんな」を歌で勇気づける、日常を彩って心を支える、そんな存在に私たちはなるんだ……という、スターとしての決意。

有観客ライブを経て、「人に届ける」ことをより強く意識するYOASOBIになったのではないでしょうか。

何度でも、見たことのない景色まで

輝きと感動の詰まった、YOASOBIの2021年でしたが。
その勢いは、眩しさは、2022年になっても衰え知らずだと確信しています。

「こんなの初めて」を何度も実現してきたのがYOASOBIです。そのたびにファン一人一人が、世界に新しい色を見つけてきたことでしょう。

きっと退屈している暇なんてない、楽しみだらけの新年になることでしょう。

そのためにも、YOASOBIチームならびにファンの皆さん、くれぐれも体調にはお気をつけて。元気に、楽しんでいきましょう。

今年も、よろしくお願いします!

2022年 元日






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