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在宅お母さん採用のすゝめ (中)

在宅お母さん採用のすゝめ (上)では、在宅お母さんを採用すると、モチベーションの高い人材が簡単に採用できるということ、働き方改革は形だけではなく、働き手のことを思いやる気持ちが大切だということを書かせて頂きました。
今回はより具体的な取り組みの話をしたいと思います。キーワードは「管理しない」です。

在宅ワークの導入に費用はほとんどかからない

在宅ワーク(テレワーク)を導入するための費用を助成する制度を見かけますが、クラウドサービスの普及によって、コストは驚くほど掛からなくなってきています。
社内でクラウド化が進んでいる会社であれば、その日からでも在宅ワークが始められます。
ちなみに私の会社では、G SuiteChatWorkBacklogの主に3つのサービスを利用して、全員在宅ワークを実現しています。

気になるセキュリティについて

在宅ワーク(リモート作業)ですと、セキュリティを心配される方も多いのではないかと思います。しかし、会社の入口でスマホを預けなくてはならないレベルの会社ではない限り、社内だからといって安全ということではないと思います。
各クラウドサービスには、しっかりとしたセキュリティ機能が用意されています。IPアドレスの制限や、2段階認証機能など、セキュリティ設定をしっかり行い、一人ひとりが高い意識を持つことが重要だと思います。
どうしても心配でしたら、ガチガチに監視することも可能だと思います。例えば、固定カメラで働いている人を撮影したり、PCのログを取るなどの方法が考えられます。
とても高いセキュリティが求められる仕事も当然ありますので、そのやり方を否定しませんが、私の会社ではやるべきことを最低限やってもらった上で従業員をできるだけ管理しないことにしています。管理することで自発性を損なったり、管理コストが増えるためです。
結局内部の人間であれば、多くの会社で抜け穴を見つけ情報を持ち出すことは容易にできてしまうと思います。大切なことは、社内の人間との信頼関係を築くことと、外部からの侵入を防ぐことにあります。

自由だからこそ、情報共有はしっかり行う

チャットの画面には、早いときには朝6時くらいからメッセージが流れ始めます。「おはようございます。これから作業を開始します。今日は暑い日になりそうですね。」「子供のランドセルを買いました。何色にするか迷いましたが・・・」「今日は子供が熱を出したので病院に行ってから作業を始めます。」「娘の幼稚園では風邪が流行っているみたいです」など、午前中は挨拶用のチャットルームに挨拶や日常の話が飛び交います。子供の話で盛り上がっている時もありますが、色々な人が色々なメッセージを書くので、最近はカオス状態です。
子供がいると、急に熱を出したり、保育園や幼稚園に行かなければ行けない用事ができることもあります。そのため、うちの従業員は皆自由な時間に働けるようにしています。
各自働く時間をGoogleカレンダーで共有してもらっています。何かあればチャットですぐに共有することで、自由な働き方を実現しています。

働かされている感を持たせない

チャット画面で「今日休んでいいですか?」とか、「明日は午後から仕事を始めてもいいですか?」など、承認を求める人はいません。
「今日は〜のため休みます」「明日は午前中子供を病院に連れていくため、午後から仕事をします」と、うちの従業員は書き込みます。
なぜ承認を求めないのか、それは承認を求める=管理していることになるからです。先程もうちの会社では従業員を管理しないことにしていると書きました。管理しているということは、従業員からみれば管理されていることなります。管理されているということは、働かされていることにつながると思います。
これはたとえ話ですが、自分から積極的に勉強をする子供と、親に勉強させられている子供、どちらがいい成績を取るでしょうか?
答えは明らかです。子供に良い成績を取らせたいなら、勉強をさせるよりも、勉強が楽しいと思わせることのほうが大切だと思います。
仕事も同じです。管理されている仕事に面白さを感じることは少ないのではないでしょうか?
ただ私の会社がティール組織ホラクラシー組織かと言うと、まだまだそのレベルには至っていません。しかし、ヒエラルキーは作りたくないのです。

離れているからこそ、密なコミュニケーションが必要

少なくても週1回はオンラインで進捗会議をします。
オンライン会議を行っても、ビデオカメラはOFFにして音声のみでつなぎます。ですからお互いの顔が見えない状態で会議をします
せっかくの在宅ワークですから、化粧などに時間をかけたり、自宅というプライベート空間が映り込んでしまうことに気を使われるのは、もったいないと考えているからです。
また月に1回はOne on One ミーティングという私と従業員の1対1のミーティングを最大1時間行っています。
ここでは仕事の話はもちろん、将来のこと、家庭のこと、趣味のことなど、些細な話も聴きます。基本的に聴くことが中心で、何かをしなさいと言うことはありません。ここで大切にしていることが、なんでも言ってもらえる関係を作ることです。不満(問題点)があっても言ってもらえなければ改善できません
残念なことに私の会社では不満(問題点)を言う方が非常に少ないです。それは働けているだけでありがたいと思っている従業員が多いためです。
良いことの様に思われそうですが、私にとっては残念なことです。私は従業員のためにこのような取り組みをしているのと同時に、全ての働くお母さんのため、そして社会のためにこの取り組みを行っているという意識が強いからです。働いているお母さんたちには、そのような社会への貢献の意識を持って欲しいと思っています。

全員オンラインだと直接会うのと何ら変わらない

直接会うことにこだわる人はまだ多いと思います。
全員が在宅ワークになり、オンラインでのミーティングが当たり前になると、直接会うことと違いがなくなります
私がサラリーマンだったころ、浜松市にある本社と、私が当時いた東京営業所で毎朝オンラインミーティングを行っていました。10年以上昔のことです。当時は音が頻繁に途切れました。また、本社側の数名のメンバーと、東京側は私ひとりでミーティングをやっていました。
このときはとてもやりにくさを感じていました。音が途切れるのもそうですが、本社側の空間を東京側では共有することができなかったためです。笑い声が聞こえても、こちらは状況がよくわからいこともしばしばありました。
人が2人以上一緒にいると、そこには共有空間が生まれます。その空気感はオンラインで相手方に伝えるのは今の技術では難しいのです。今後VR技術などが進歩することでその問題も解決されていくことでしょう。
ですが、今はオンラインミーティングをやるなら、全員が別々の場所でつないだほうがうまくいきます。
今はパソコンの画面をお互いの画面に共有することも容易にできますので、相手のパソコンの画面を見ながら話すことも気軽にできるのです。

やはり大切なリアル(オフライン)の場

先程書いた通り、ビデオカメラをOFFにして会議をしているため、その弊害も生じています。仕事をしている人がお互いの顔を知らない中で仕事をしているのです。(補足:私だけは全員面接するときにカメラをONにしてもらっているため知っています。)
できるだけミーティングを始める時にGood & New(この24時間で起こった、よいことや新しいこと)を話してもらったり、お互いのことを話す場を作ってますが、それでも1度でもリアルな交流の場があったほうが、精神的なやりやすさは変わります。私の会社では年に2回ほど、従業員全員を一箇所に集めて、食事会やワークショップを開催しています

交通費や宿泊費を全額会社持ちとなるため、コストは結構かかります。それでも開催することで、お互いの距離がかなり縮まるため、開催する価値は大いにあります

商店街組合のような存在でありたい

前回のワークショップでは、「どうしたらもっと働くお母さんたちにとって働きやすい会社になるか」を話し合いました。
会社運営を他人事のように捉えてほしくないと考えています。さきほどヒエラルキーは作りたくないとか、管理しないと書きましたが、雇う側と雇われる側、依頼する側と依頼される側、命令する側と命令される側などに分かれてしまい、受け身側の気持ちで働くことは、本当の意味での自立支援につながっていないのではないかと思います。
従業員一人ひとりが、商店街の個々のお店であり、会社は、それを束ねる商店街組合くらいの感覚でいたいのです。そしてお互いが支え合う関係になれれば、それは対等な関係であり、自立した存在であると言えるのではないでしょうか。

労働人口が急激に低下している今、乗り遅れないで!

ここまでの説明で、うちの会社でも在宅ワークを導入してみようという気持ちになれたでしょうか?(うちは無理だなと思ってますよね?)
私が在宅ワークを推奨しなくても、今後ほとんどの企業で在宅ワークなしでは成り立たなくなることでしょう。コンビニエンスストアでは、日本人の店員さんがほとんどいなくなりました。地方では人がいないという理由で閉店するお店も増えてきました。アルバイトの問題行動の写真がTwitterで拡散され、従業員の質の確保が問題視される時代になりました。労働人口の急激な低下はまだまだ加速度的に続くことでしょう。今後は、子育て中のお母さん、シニア、外国人労働者の3つに分類される労働者の力をいかに活用できるかがポイントになると思います。
その中でも私は子育てという偉大な仕事をしながら、キャリアをつなげるために第一線で仕事をする彼女たちを応援したいと考えています。
そして子育てが落ち着いた頃には、またフルタイムでバリバリと仕事をする環境に戻っていき、社会の発展にさらに大きく貢献してくれることだと信じています。

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