ichimai_2015

一枚の紙に絵を描きながら、その場の全員で即興の物語をつくるパフォーマンス、「いちまいば…

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一枚の紙に絵を描きながら、その場の全員で即興の物語をつくるパフォーマンス、「いちまいばなし」で製作した物語を投稿しています。ブログ:http://yusatoblog.blogspot.jp

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「旅する家」とはなにか 12

12 2016年の活動について 私としては、来年度も「旅する家」で、「表現」を行っていきたいというのは変わらず、さらに継続してゆくことでその面白さの底上げをしてゆきたいと思っています。 ここでの「表現」のためには、そのモチーフとなる地域の文脈が重要であると述べましたが、常陸太田はまだまだそんな歴史や文化がたくさん残っている場所だと思うので、やはりこの土地にゆかりのある行事や儀式をベースに、それを自分たちがどのように組み替え表現してゆくのかに軸においた活動をしたいというのが

    • 「旅する家」とは何か? 11

      11 「旅する家」が出来るまで ここからは、「旅する家」の進行過程に合わせて、さらに詳しく話していきたいと思います。 今年の春、くじらぐもさんの依頼で、常陸太田で2回目の物語作りのパフォーマンスを行った時に、塩原さんから「何か一緒に面白い事が出来ないか」という、お誘いを受けました。前年に一度この地に入って、その雰囲気や集まる人に興味を持っていた私は快諾し、さて何をやっていこうかと考え始めました。 実はその依頼があった前夜、林さんの紹介で菊池政也さんに出会っていて、ここで

      • 「旅する家」とは何か 10

        10 「旅する家」はどんな活動なのか 「アートプロジェクト」には、様々な進行の仕方がありますが、私の行うプロジェクトには以下のような特徴があります。 1、<場と関係> 活動が行われている場所とそこに関係する人とのつながりをもつ 2、<出来事>活動の本質は、物、人、時の関係の中に現れる出来事の中にある。 3、<新たな価値> まだ見たことのないものを生み出す。    1と2については、「美術史」のところで説明したように、「アートプロジェクト」が「場」と「関係性」に注目

        • 「旅する家」とは何か?

          9:日本のアートプロジェクト 00年代から始まった日本のアートプロジェクトの提示の仕方としては、新潟県の「大地の芸術祭越後妻有アートトリエンナーレ」、愛知県の「あいちトリエンナーレ」、瀬戸内海の島々を舞台にした「瀬戸内国際芸術祭」などに代表されるような、 ある会期(2ヶ月程度の会期を3年に1度など)を設けて、多数の作品やアートプロジェクトを地域の中に点在させ、地域住民やボランティアが運営に関わりながら、迎えた観客に回遊させる形態、いわゆる「芸術祭」(アートフェスティバル)

        「旅する家」とはなにか 12

        マガジン

        • 旅する家
          2本
        • 250〜300話
          20本
        • 十日町「いちまいばなし」
          21本

        記事

          「旅する家」とは何か? 8

          8 アートプロジェクトに至る美術史について3 アートプロジェクトへ  さて、長らくお待たせしました。やっとこの辺から「アートプロジェクト」へ続く道筋が見えてきますよ。 そんな中、同じく美術の外側へ可能性を広げていった流れの中に「場」を基軸とした流れがありました。美術館やギャラリーで作品を制作、展示するという事に見切りをつけ、現実の環境や地形の中で作品を構成し始めた作家たちが「アースワーク」というジャンルを生み出しました。 、湖に渦巻き状の堤防を作ったの「螺旋状の突堤」、

          「旅する家」とは何か? 8

          「旅する家とは何か?」7

          7 アートプロジェクトに至る美術史について 4現在 このように、概念=「意図」や「意味」自体が作品化されるようになったことが「現代美術」の特徴としてあげられますが、そこからさらに時代が進むと、もう一つ、他の分野との融合が盛んに行われるようになっていきます。 この頃、近代的な合理主義、西欧中心主義、そしてそれらが招いてしまった2度の大戦の反省から、多元的、相対的な価値観が重視されはじめました。これは、一つの価値観(西欧の価値観がナンバー1だ!)で世界を覆ってしまうのではなく

          「旅する家とは何か?」7

          「旅する家」とは何か? 6

          6 アートプロジェクトに至る美術史について 3現代 市民革命からの、合理的で進歩的な「芸術」の発展は、、ここで大戦という大きな転機を迎えます。それぞれの社会が理想を目指し、合理的に進歩していった先に行き着いたのは、皮肉にも戦争でした。悲惨な世界大戦が世界を覆うことで、近代を牽引してきた合理主義や進歩主義に陰りがさしてきました。そこで、芸術の世界でも今までの価値感に疑問を投げかけ、近代を乗り越えるための芸術が生まれ始めます。 そもそも芸術とは何か?何が芸術なのか?ちゃぶ台返

          「旅する家」とは何か? 6

          「旅する家」とはなにか? 5

          5 アートプロジェクトに至る美術史 1近代以前〜2近代 「西洋美術史」について、まず今回は世界大戦が始まるまでの時代の流れを、ざっくりと紹介しましょう。以前も述べたように、革命が起こる近代までの「芸術」は、その文明や社会の中で一番大きな力を持ったシステムに、活用されるためのツールになっていました。 美術の始まりは洞窟壁画と呼ばれていますが、ラスコーなどの壁画がなど有名で、歴史の教科書にも出てきたりしますね。この頃もちろん「芸術」なんて概念はないですから、あとからそう分類し

          「旅する家」とはなにか? 5

          「旅する家」とは何か 4

          4 西洋美術史について 今回からは、「アートプロジェクト」という美術の動きがどのように生まれてきたのか、美術史をざっくり辿りながら説明をしていきたいと思います。 ちなみに、「美術史」というのは「西洋美術史」の事です。「芸術」が「芸術」であるには、この「美術史」の中で作品がどのような意味や価値を持っているかが非常に重視されます。一見誰でも作れるような作品でも、「美術史」の中で革新的な表現であれば価値は非常に高くなり、一方、超絶技巧であったり、誰もが楽しめる作品でも、すでに誰

          「旅する家」とは何か 4

          「旅する家」とは何か3

          3 アートプロジェクトとは?  「旅する家」が「芸術」と見なされ、「美術史」の中で分類されるならば、「アートプロジェクト」という分野に入るでしょう。 「アートプロジェクト」とは、特に最近日本各地でやたらと行われている活動ですが、ものすごくざっくり言えば「実際の社会の中でどうやって芸術が行えるか?」ということを試す活動のことです。 長い間、芸術は「美術館やギャラリーなどの限られた場所で/芸術家が作った作品を/ある程度裕福で教養のある人が見る」というような、限られた世界の中

          「旅する家」とは何か3

          「旅する家」とは何か? 2

          2:「表現」と「芸術」について さて、前回お伝えしたように、「価値があると思える物や状態を作り出すこと」=「表現」だとすると、それが扱う領域は非常に広いものになります。絵画、彫刻、音楽、踊り、映像、写真などわかりやすいものから、日常会話や料理、行事やイベントまで、人間が「うまくなりたい」とか「いい物を作りたい」「誰かに伝えたい」などの気持ちを持って行う多くの事が「表現」になります。 そして、このような数々の「表現」に価値をつけて分類し、組織化したシステムを「芸術」と呼びま

          「旅する家」とは何か? 2

          「旅する家」とは何か? 1

          「何か面白いことが一緒にやりたい」 そんな一言から、始まった「旅する家」の活動も、先月完成式を終えてひと段落しました。私としては今後も活動を続けて行きたいので、そろそろ来年の話もして行きたいのですが、その前にまずこの「旅する家」で私自身がどのようなことを行っていきたいのかという意図をみなさんに説明しておこうと、いろいろと書き綴ってみました。書き綴ってみると、あれもこれも説明しておかなくならなくなって、結局こんな長い文になってしまいました。 このようなプロジェクトでは、「ア

          「旅する家」とは何か? 1

          「本町2丁目建国物語」

          第299話 2015年8月2日 新潟県十日町 十日町本町2丁目のお店に雪が降っていました。 そこは女の人がやっているメガネ屋さんで、 今日はお客さんに白内障の方がやってきました。 お客さんはメガネふきを買って行くと、雪が止み空が晴れてきました。 お客さんの白内障も治り、メガネが必要なくなりました。 でも、まだ老眼だったので、 メガネ屋さんの2階にある薬屋さんの薬を飲むことにしました。 薬を飲むと、目が治り活動的になって楽しいことをしたくなりました。 そこで、

          「本町2丁目建国物語」

          「満月と幽霊とプリン」

          第298話 2015年8月2日 新潟県十日町 満月が田んぼを照らしていました。 そこには幽霊がいて、人間の妬みのような悪しき気持ちを食べていました。 すると、人間の嫌な気持ちがどんどん世の中から消えていって、 悪口を言う人が少なくなり、みんな幸せになりました。 でも争いごとはまだ絶えず、夫婦喧嘩をしている人たちがいました。 さらにたくさんの幽霊が出てきて、喧嘩の仲裁に入りました。 夫婦喧嘩は、冷蔵庫にとっておいたプリンを食べたか、 食べなかったかでもめていまし

          「満月と幽霊とプリン」

          「山のサイクリング(仮)」

          第295話 2015年7月31日 新潟県十日町 十日町のスキーのできる山で、 夏休みに山の頂上を目指してサイクリングをしている人がいました。 景色が良くて、お腹もすいてきたので、 お弁当に美味しいおにぎりを食べました。 お腹いっぱいになって眠ってしまうと、 雨が降ってきたので傘を探しました。 あたりに傘がなかったので、木を探しました。 たくさんある木で雨宿りをしていると、空が晴れてきました。 またサイクリングをして山の頂上へ行くと、 さらに素晴らしい景色が

          「山のサイクリング(仮)」

          「月になった妖精」

          第294話 2015年7月31日 新潟県十日町 広い広い田んぼの中に木がありました。 その木はカラスが芽を落としていって、生えてきたものでした。 木には髭の生えた妖精がいて、 周りの人たちはいつも何の妖精なんだろうと考えていました。 妖精は鳥の妖精で、木にできた卵から生まれていました。 妖精が卵を温めていると、そこから人間の赤ん坊が生まれました。 赤ん坊が育ってゆくと、髭が生えてきて脱皮をして月になって、 その月の光を浴びた土から、また木が生えてきました。

          「月になった妖精」