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おうちのあかり

※「おうちのありか」本編読了後にどうぞ。

計には今でも、夢だったのかそうじゃないのか分からない。
まあ、どっちでもいいっちゃいい、けど。

計の部屋と潮の部屋をつなぐ扉のない出入り口、そこに下がった目隠し代わりの白いロールスクリーンがほんのりと明るんでいた。
ふと目を覚ました計はそれに気づくと、傍らの潮を揺さぶった。
「おい、あっちの電気つけっぱなし」
「えー……?」
うす目の潮が眉根を寄せる。
「消したって」
「でもついてるだろーが」
「まじで……?何でだろ、消しといて」
「自分でやれ」
「国江田さんに求められすぎて疲れたから動けねえ」
「んなこたこっちが言いてーわ‼︎」
ふだんは寝起きがいいのに、どうしたわけか今夜の潮は心底眠いらしく、それ以降話しかけても揺すってもまぶたをぴくりともさせなかった。演技じゃなさそう、と判断すると計はしぶしぶ起き上がる。潮の部屋の電気代だし、ひと晩明かりがついていようがどうという話ではないのだが、計は計で、その時隣の明るさが妙に気になってしまったのだった。

※この続きは商業誌「OFF AIR」に再録されております。

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