このアイデアが思い浮かんだのは4月の半ば頃だった。
名付けて"逆コロナキャンペーン"。家の中にこもって人との関わりを絶っていくことが、私は苦しかったし、世界的にも重苦しい雰囲気が漂っていた。その中でも、むしろ出なくていいやって思うような、出なくてもワクワクしちゃうことが無いかなと思っていたら思いついた。
よし、坊主にしてみよう、と。

もともと、坊主に憧れがあった。
1.髪の量が人よりも多くて強かったこと
2.坊主の人に魅力を感じること（余談ですが、中学生の頃からそう思っていたら2年前に海外でかっこいい坊主に囲まれるラッキー事象が起きました）
3.尼さんとかお坊さんの穏やかな感じが好きなこと

現在はIT会社員で女性だし、いずれやれればいいかなと思っていた。しかしこれはチャンスだ。まずは冷静に問題がないか考えてみた。
おそらく会社の人には、びっくりされるけど怒られたりはしないだろう。一応バレても笑ってもらえると予想される。一応ウィッグをかぶって行ってどのくらいで突っ込みが入るのか楽しみである。
友達はやってみたい人が多かったし、そもそも次に会えるのはいつなのだ。ということでここもOK。
最大の難関は父親。今は実家で暮らしているので顔を合わせることがある。一応兄も坊主だけど、反応が未知数。妹が茶髪にした時、泣きながら怒っていたので、一応秘密にした方が良さそうだ。
ということで、"普段はウィッグをかぶって、たまに外してびっくりさせる"というスタンスをとることで、他に問題は特にないことが分かった。

兄からバリカンを借りて、自室で妹と一緒にまずは髪を切り始めた。肩よりも長いくらいだったので、バリカンに詰まらない程度までハサミを入れたのだが、この時が一番不思議な感じがした。
自分で髪を切ることの未知な感覚と、切る時に感じた抵抗は自分の中の思い込みだったと思う。
『女性が坊主なんて』『髪は女の命』『似合わなかったらどうするの』『後悔したらどうするの』。
思わず、ウッとなってやめてしおうかと思ったけど自分の常識なんて破ってナンボでしょ！ということでザクーっと切っちまいました。
その後はサクサク切って、1cmにバリカンで刈って、髪の重さを計った。
予想では800gくらいあるかと思ったらなんと126gだった。全然違う。
頭が軽くて、スッキリしていて、これからこの髪型を選ばない理由がないな、と思ったのを覚えている。

その後、用意してたウィッグを被ったのだが、ものすごい変だった。内向きボブだったのだが、顔の大きさと横の内向きのカールの角度があっていなくて、輪郭にカールがささっていた。
あとは横から見た時にのっぺりしていたり、正面から見た顔のバランスがおかしかったりしていた。（坊主豆知識: ウィッグは深く被れば良いという訳ではなく、前髪と顔のバランスが1:1になるのが良いらしい）
それから試行錯誤して、今では10回のうち7回はほぼ自然な姿になった。明らかに変な時もあるが、帽子をかぶれば大丈夫！
あとは、個人的にウィッグに対して人の頭みたいで不気味と感じていたのだが、今では全然怖くなくなった。隣に置いて毛並みを整えたりしていると、ペットを撫でてるみたいな気持ちになる。
他にも坊主びっくり現象ということで、お風呂場で雪を見れるようになった。
自分の髪がおろし金のようになっているので、泡が粉々になり、粉雪のように深々と降り積もってゆく。これから坊主を見かけたら、雪製造機として見てみてね。

似合うかどうか問題については、全然問題がなかった。頭の形が良いと言われたり、タイの少年僧みたいとか、何事かと思うぐらい似合っているらしいので、良かった。
私としては生まれた時はみんなこれ（坊主）だったことを考えたらみんな似合うんじゃないかと思っているので、大丈夫、似合うよ、と言いたい。

では、ここで坊主にしてみて良かったことを挙げていく。
1.軽い、涼しい
2.お手入れが楽（顔を洗うついでに髪を洗える）
3.表情が丸出し（相手に感情が伝わりやすくなる）
4.自分の顔のポテンシャルに気づく（意外とお洒落な鼻じゃん、目が綺麗、など）
5.人のびっくりした顔が見れる
6.私が女性であることは髪型に依存しない
7.ウィッグが怖くなくなった

などなど…？
逆にデメリットとしては、
1.めんどくさい（私がウィッグを併用しているため。いきなり宅急便が来たりすると調整が間に合わない）
ウィッグを使ってることで蒸れたり手入れが大変だったりはするが、坊主自体にはデメリットは別に無いような気がしている。髪型の一種だからね。

さて、最後に坊主に関しての質問をいただいたので回答して終わりとする。
Q坊主にしてみて、あー髪が欲しいな、ロングにしたいなと思う時は無いのですか？

A.あります。朝起きて、またこの髪型かよ、とちょっとびっくりしています。私は坊主の経験がしたかっただけなので一瞬で髪が伸びたらそれに越したことはない、とは思っています。