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~第34回~「大湯祭の話」

11月末から氷川神社は「大湯祭」が始まります。
これは当社の特殊神事中、最も有名なものとして知られる神事です。
「大湯」の由来は釜で湯を沸かし、その湯により清めの儀式を行った為と伝えられます。

元は氷川神社の男体社、女体社、簸王子社の内の簸王子社の祭祀と伝えられ「武蔵州足立大宮氷川太明神縁起之書」によれば、至徳二年(1385)12月10日に干柴薪を焼いて炉壇のようにし、これを踏む火剣祭礼を行ったとあります。
また延宝年間(1673~1681)の社記には既に大湯祭の文字がありますので、歴史ある神事であることが伺えます。

神事は11月30日から始まり12月11日に終わるもので、11月30日より大湯祭本祭の為に神職は神社に参籠し潔斎を致します。
前斎といいまして、11月30日から12月9日まで行います。

そして12月10日に本祭を迎えます。
本祭のお供え物は米、酒、百味膳、菱餅、海老、長芋、串付の大鮒になります。
百味膳(百取膳ともいいます)は海川の物8種、山野の物8種で一膳とし、種々の神饌をすべて熟饌(調理した神饌)にして、本殿、摂末社あわせ百膳をお供えします。
また例年、本祭がある12月10日には酉の市「十日市(とおかまち。熊手市とも)」も開催されますが、本年は中止となっております。

翌11日は後斎。
解斎のお祭で本殿祭の後、饗膳式(きょうぜんしき)という古式床しい直会の儀が執り行われ「幾久(いくひさ)、幾久、幾久」と社頭隆盛の言祝ぎを発し、神職が神酒を拝戴致します。

自然からの様々の実りを感謝する心と幾久しい平和への祈り。
昔も今も、そしてこれからも大宮の変わらぬ風土・風習として紡いでまいります。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕


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