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~第86回 ~「大湯祭と持続可能な社会」

氷川神社では特殊神事「大湯祭」が始まりました。
本祭(12月10日)のお供え物では、米、酒、百味膳、菱餅、海老、長芋、串付の大鮒が並びます。
百味膳は、海川の食物を八種、山野の食物を八種で一膳とし、種々の神饌をすべて熟饌(調理した神饌)にして、本殿、摂末社あわせて百膳をお供えいたします。

さて、百味膳の一つには干し柿が入りますが、氷川神社が護る片柳地区(さいたま市見沼区)周辺は、古くより柿を栽培され柿渋も作ってきました。
その柿渋は品質が良く、江戸の町では評判になったそうです。

柿渋は柿渋染めに使われたほか、木材家屋の柱等の防腐剤、さらには番傘に塗られて防水剤として使われました。
破れた傘の柿渋のしみた和紙は丁寧に剥がされて魚屋さんが江戸前の魚を包むのに使われており、現在社会が目指す「持続可能な社会(SDGs)」の取組を日本はすでに実践していたことが伺えます。

鯛、カツオ、タコ、海老をはじめ海の恵みが大湯祭でお供えされると伺い、「海なしの埼玉大宮の地まで荒川や見沼用水を使って江戸前の魚が船で運ばれた際も、かつては柿渋が使われたのかな」と想いを馳せました。
神様に、そして先人たちの知恵に改めて感謝を申し上げます。

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〔 Word : Keiko Yamasaki Photo : Hiroyuki Kudoh 〕

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