麻原彰晃との対談企画顛末記⑥

それまでのあらすじ)20年前のこと。東京の国立市でワークショップを運営していた。その参加者から、麻原彰晃の法話の集いをやってほしいと頼まれた。それはおもしろい。そこで、上座仏教の僧侶と麻原の対談を企画した。

さて、実行段階。オウムから、尊師は空中からの毒ガス散布に遭って重体となり、対談は不可能になった言ってきた。その企画はお莫れ。しかしそんなこともあり、池谷はオウムらしいという話が伝わっていった。

インドの抱きしめる聖者と呼ばれる、アンマ(マータ・アムリターナンダマイー)が来日するということになった。そのセヴァ(奉仕活動)の集いを、福祉会館の大広間で開いた。

その際に、インドに祈りの言葉を、覚えようということで、プリントを配布した。この祈りの言葉は、インドでは千年以上にも渡って唱えられているポピュラーなもの。美しい響きである。冒頭には、聖なる音の響きであるオームがある。

オーム ロカーハ サマ−スターハ スキノー バヴァンドゥー
ロ−カーハ サマスターハ スキノー バヴァンドゥー
ロ−カーハ サマスターハ スキノー バヴァンドゥー
オーム シャーンティ シャーンティ シャーン ティヒー

「生きとし生けるものが幸せでありますように」という趣旨の祈りの言葉だ。

オーム アサトーマ サッ ガマヤー
タマソーマー ジョーティル ガマヤー
ムリッチョールマー アムリタン ガマヤー
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒー

(偽りから真実へと導いて下さい。暗闇から光明へと導いて下さい。死から永遠の自己へと導いて下さい。安らかでありますように。)

オーム サルヴェーシャム スワステイール バヴァトウー
サルヴェーシャム シヤンテイール バヴァトウー
サルヴェーシャム プールナム バヴァトウー
サルヴェーシャム マンガラム バヴァトウー
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒー

(すべての人々が完成に到達できますように。すベての人々に平和が訪れますように。すベての人々が心の安らぎを得られますように。すベての人々か幸運に恵まれますように。安らかでありますように。)

オーム プ-ルナ マダ プ-ルナ ミダム
プルナーアーッ プ-ルナ ムダッチャデー
プルナーシャー プ-ルナ マーダーヤー
プルナ メーヴァ ヴァシッシャデー
オーム シャーンティ シャーンティ シャーンティヒー

(あれは完全なるものである。これもまた完全なるものである。完全なるものから完全なるものが生じた。完全なるものから完全なるものを取り去っても完全なるものは依然として存在する。安らかでありますように)

そういったインドの古代の言葉、サンスクリット語の祈りの言葉をいくつプリントして参加者に渡した。

冒頭のオームは、インドではあたりまえの聖音である。この響きがすべての哲学。生き方の源泉である。

その他、バジャン(祈りの歌)などを合唱して、散会となった。

ところが、このプリントしたものを、だれかが忘れてそのまま、大広間に置かれてあった。

そのプリントを見た福祉会館館長。おどろいて、電話があった。「すぐきてくれ」と言う。

行ってみると、そのプリントを示して「ほか、ここにオームと書いてあるじゃないですか。やっぱり、池谷さん、オウムでしょう」。そう言うのであった。

さて、こういう人に、オームの響きをどう説明するか。相手には、インド哲学とか仏教の知識がほとんどない。さて、どうやっって説明したらいいのか。(続く)

これまでの記事①〜⑤は以下に
https://note.mu/ichirindo/n/ne963975a6951
https://note.mu/ichirindo/n/ne963975a6951
https://note.mu/ichirindo/n/ncb911b2cc988
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https://note.mu/ichirindo/n/ne4567959d841

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