高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【496】

妄想家・夢想家無名居士の
夢物語の記録です
無名作家 高山のエッセイ
「ガーターベルトの女」の
映画化芝居化 
その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています

 

📖 高山のエッセイ~「風俗の話しマントル」

もう八年ほど前になります。

そう考えたら時が経つのは早いなです。

自分自身が四十代に入ってたのを覚えてるのと、当時の現場が広島に少しあってそこでの話しです。

広島の現場でトンネルのコンクリート打設と、小さいトンネルをやってました。

しかし、当時一番大きかった現場は鳥取と九州で、僕もなかなか広島には行けなかったです。

しかし、作業員は優秀なのをこの頃から本格的に回すようになってたから、大きいとか小さいとか関係なく作業員は優秀でした。

広島に久しぶりに行って、宿舎に二週間程泊まって作業を見たり手伝ったりでしたね。

もちろん事務関係の処理とかもやってました。

作業員は大半は僕が集めてて、皆ほとんど僕より年下でした。

特に、コンクリート打設メインになると技術より体力だから、なるべく若い連中置きましたね。

ある時、僕の部屋で数人で飲んでました。

男が集まって飲むと、僕は仕事の話しさせないです。

すると喧嘩になるからです。

もっぱら何処の現場でこういうハプニングがあったとか、あとは女の話しです。

過去の女性の話しを面白く話すんですね。

もちろん、皆知らない女性の話しですがね。

そういう何時ものパターンの話ししてると一人が、高山さんこっちの風俗で面白いの知ってると言い出しました。

風俗での話しも定番ですが、面白い風俗とはと聞くとその作業員が話しだしました。

作業員は三十代前半で、今でも一緒に仕事してます。

そいつが言うには、あるマンションに行くと女の子待ってて、そこで何人ともやれるとの話しでした。

そこで選んで3Pもあるし、女の子を変えるのも自由だと言うんですね。

それがマンションですよと言うから、あ!っと思いました。

それは、」そこのマンション全体と言うか何室か借りててやってるんじゃないと聞くと、そうみたいですと答えました。  

僕は、それってマントルじゃんと言うと、若い連中はピンと来ないようでしたが、一人同年代が居て、あー!でした。

マンショントルコを略してマントルと昔言いました。

マンションの一室、或いは何室か借りてソープランド的行為をする事ですね。

しかし、僕より少し上の世代に流行ったはずで、今どきあるの?でしたが、広島に三十代の頃に住んでた時に噂を聞いてたのを思い出しました。

けっこう盛んに行われてると、聞いてはいたんですよね。

一人が、それなら行こうと言うけど実際に行ったのは居ないんですよ。

電話番号の入った貼り紙を持ってましたね。

そのまま、明日行くからと電話したんですよ。

三人で行くとなって、高山さんも行こうですが、金が無いからいいよと言うと一人がパチンコで勝ったから奢りますと来ました。

そういう場所に慣れてるだろうから行こうです。

正直面倒でしたが、セックスがしたいとかよりも好奇心で行くことにしました。

次の日に、車に乗ってそのマンションまで出かけました。

それが市内からかなり離れてて、郊外の住宅街に有りましたね。

マントル側の指示で。近くのコンビニからもう一度電話してとなりました。

車二台で行ってたから。停めて携帯で電話してました。

すると今度は、そこから近くにパーキング有るからそこに停めてです。

車を停めてまた電話すると、歩道橋渡って降りて何かの広告のあるところからまた電話してです。

相手の警戒心の強さに、逆にこっちが警戒しました。

何かしら起こったら、とにかく逃げようと言いましたよ。

広告のある所から電話すると、四人で間違いないですねと確認されたようです。

もう一度、小さい公園まで来たら電話してです。

皆うんざりしてきてたけど、僕はわりと面白がってました。

公園で幾つか石を拾って、ジーンズのポケットに入れました。

何かしら起こった時の為ですね。

公園まで来ると、再び四人で間違いないですねと、ジャンパーとか着てる人はすいませんが前を開けて広げてくれないかです。

冬に入りかけてたから皆ジャンパーや軽いコートを着てました。

僕はピーコート着てたから、前を開けて広げて見せました。

相手は何処から見てるなと、その前辺りから確信してましたが、それにしても何だ?です。

風俗に行くと言うより、そういう危険なの面白いなと笑うと、流石タフな連中でこれも社会勉強ですねと笑ってました。

ジャンパーやコートの前を開けて見せてると、そこから歩いて直ぐのマンションの何号室に来てくださいと言われました。

ただし四人一緒にで無くて、一人づつ少し時間をおいてくれです。

先頭に俺が行こうかと言うと、皆行ってくださいです。

本当に普通のマンションで、入るとエレベーターがあってその階を押して上がりました。

エレベーター降りたら何室か有りましたが、指定された所のチャイム鳴らすとスッとドアが開いて、手を軽く引っ張られて中に入れられました。

ドアは、音もほとんど立てずに閉めましたね。

上手いなと感心しながらも、ヤバイかもと思いました。

入ると手を引っ張ったのは細身のスーツ姿の長身の男で、素早くボディチェックすると申し訳なさそうな顔をしながら言いました。

警察よりもこっちです。うちのバックに付いてくれてたのが、離れたから気を付けてるんですよ言いました。

頬を指でスッと撫でるようにして、ヤクザが怖いと言うのを話しました。

それに四人ともカジュアルな格好でしたが、ヤバイ人に見えたから更に警戒したと言いました。

僕は思わず笑いました。

確かに、四人揃うとヤバイ人に見えなくも無いかなです。

僕は薄いサングラスしてたし、他の連中も人が余り寄って来ない感じでしたからね。

それと、トンネル屋の持ってる雰囲気って有ります。

それは、どういう格好をしてても出ますからね。

中を見るとほとんどマンションと変わりなくて、入って直ぐの所に小さいカウンターが有るのだけが違いました。

四人とも同じように入れられました。

コースはどうしますかと言うから、ノーマルと皆答えたらそれぞれの部屋に行ってくれです。

そこで気に入らないなら、他の違う部屋を紹介するからです。

マンションは広くて六室以上あって、皆それぞれの部屋に行きました。

僕の入った部屋には布団が敷かれて、ミニスカートのおばさんが座ってました。

考えたら昼間なんですよね。

何処かの奥さんか何かでしょうが、三十代軽く超えてるし太ってたから、あー!駄目だでごめんねと部屋を離れました。

カウンターに行くとチェンジしてと言いました。

若くて細い女の子なら良いと言うと、もう一つ上の階に上がって何号室に行ってくれと言われました。

チャイムは鳴らさず、ノックを四回して一度間をおいて二回ノックしてくれとも言われましたね。

僕は、携帯で連絡してるのにそこまで警戒するかと苦笑いしながら聞きましたよ。

もう一つ上の階に行って、言われたようにすると若い女の子がスッと開けると中に入れてくれました。

他に男とか人がいないようでしたね。

顔を見ると美人でない上に、笑うと歯がかなり汚いのが分かりました。

ここでチェンジと言っても良いけど、四十代の僕はまあ、良いかと仕方なく女の子としました。

お兄さん、昼間に来るから貧乏くじを引いたんだと、その女の子言いましたね。

夜ならこの部屋に、若いOLとか来るのにでした。

その上、人件費削減か何かでここには男の人が居ないから、何か起こった時の為にこんなの持たされてるとスタンガンまで見せられました。

僕のスタンガンは射精せずに適当な所で終わらせて、女の子と仕方ないから話してました。

他にこのマンションに幾つ部屋が有るのかと聞くと、全部で五つと答えました。

僕は虚しい気持ちで元の部屋に戻ると、四人がどんよりした顔で待ってました。

四人で出ると、皆おばさんか若いけど酷いのに当たったようです。

皆、口々に昼間に来たのが失敗だです。

そのまま帰ると言うと、飯を食べて飲みに行こうになりました。

あー!お金がもったいないと思いながら、仕方ないから付き合いました。

最終的に僕が昔から知ってるスナックで飲んでたら、一人が電話したから敵討ちに行ってくると言い出しました。

さっきのマントルですね。

酒も入ったら悔しくなったんでしょうね。

タクシーで行って、宿舎にはタクシーで戻ると言いました。

三十才になったばかりの作業員で、僕は若いねと送り出しましたよ。

それと、明日は昼勤だからきちんと出ろよと付け加えましたね。

次の日の朝礼で皆に会って昨日の話ししながら缶コーヒー飲んでたら、最後に行った若い作業員も来たからどうだったと聞きました。

すると苦い顔で、相手は確かに若かったけどレベルは凄く低かったですよと答えました。

僕はまあ、今回は外れだったと思えば仕方ないよと答えました。

その後、九州で仕事しててその話しになると、広島で違うマントルに行ったのが居てそれは凄く良かったと話しだしました。

当時、彼は鳥取に居て広島に通ったようです。

鳥取は良いところですが遊ぶ所は、ないですからね。

普通の綺麗なOLとか、綺麗な奥さん系とかばかりだったらしいです。

僕らは、たまたま貧乏くじを引いたのでしょうね。

広島に限らず、再びこのやり方してる所は多いと聞きますね。

まあ、個人的には自腹でなかったし一つの土産話しが出来たなくらいに思ってますよ。

三十代後半から四十代に入って、風俗に行きたいより風俗での人間観察が楽しくなってますからね。

男が性を発散する場所って、何処か滑稽で何処か物悲しいものだと五十代を前に今では思いますよ。

おわり

📖管理人・無名居士の 童話『花物語』〜榛名富士と雲さん

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は
子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

青空に白い雲が浮かんでいるでしょ
雲さんとお山はとっても仲がいいのよ
いつも元気かいって声を掛け合っているの
雲さんがいつものように
お山に声をかけようとしたの
するとお山さんの顔色が悪いことに気がついたの

お山さんどうかしたの
顔色が悪いようだけど
やあ雲さん心配かけたようだね
たいしたことはないのだけど
ちょっと気になることがあってね

お山さんは雲さんに話し始めたの
実はね雲さん
榛名富士と呼ばれていることが
最近重荷になってきたんですよ
できたらその名前を返上したいんですよ

そんなことだったのお山さん
僕はまたどこか病気になったのかと思ったよ
なあんだそんなことだったの
お山さんそんなことは気にしなくていいんだよ
自分で付けたんじゃないんだから

富士山は世界一美しい山
日本人はその富士山が大好きで
一番自慢できることなんですよ
だから富士山のようなお山が
いっぱいあるのがうれしいんですよ

郷里の名前を付けてお山を自慢したいのです
郷里を誇りに思っているんですよ
いろんな富士山があっていいんですよ
お山さんはもっと自信を持っていいんですよ
みんなが榛名富士といって愛しているんですよ

ありがとう・・・雲さん
ありがとう・・・



まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/20 No.1243 から転載

📖 高山の作品から〜「Yとの嬉しい再会〜 10」

Yのシリーズもう少しで終わりにしようかとも思ったんですが、エピソードも少し残ってるから後書けるだけ書きます。

Yを通して人間の強さとか或いは、一種の純粋さとか感じて貰うのと、コツコツ一生懸命やれば報われるって事を書きたいです。

今の日本は、コツコツ一生懸命やっても報われない社会ですが、Yのように一部かも知れないけど、報われる人を書きたいです。

それと、トンネルの世界の独特な人間達を描きたいです。

なんだかんだ言っても今思えば僕は、トンネルの世界が向いてたんでしょうね。

高校生くらいの時は、絶対にこういう世界には入るまいと思ってたし向かないと思ってたんですけどね。

親父の血を最近は、つくづく感じますよ。

やはり前と同じで、鳥取の現場での話しです。

Yとほぼ同い年位の、沖縄から二つの現場を共にしたGって居ました。

こいつの事は、ブログかエッセイに書いてますね。

自衛隊あがりで、見た目は実に爽やかな好青年でした。

体もゴツいし、これは良い若者だと思ったらまあ、手癖が悪くて最悪でしたね。

手癖とは、同じ宿舎に住む人間のお金を盗むんですよ。

トンネルの世界は大抵共同生活です。

部屋に鍵など掛けませんから、これが最も最悪ですね。

部屋に鍵を掛ける人間は、馬鹿にされるますからね。

トンネルの世界は色々居ますが、これは、多分最もやってはいけない事です。

しかし、盗んだ所をきちんと押さえないとどうしようもないで、知ってる人はとにかく注意してました。

Gの事を初めて読む人に簡単に説明すると、Gは沖縄で連れて来てくれたベテランの坑夫のお金まで盗んでました。

鳥取では、仕事は火薬の免許を持ってたから途中から僕と掘削班に入りましたが、まあ身体は立派ですが上手く立ち回って、楽な方に楽な方に行くタイプでしたね。

僕と同い年の、前にも出たHは滅多に怒らないんですが、ある時道具箱をどすんと車に積むと本当ならGを乗せないと行けないのに、僕と二人で帰りました。

そのくらい腹が立ってたようです。

当時、YとGではYの方が腕は上でしたが、火薬の免許を持ってないって事でYは掘削班の正式なメンバーになれなかったです。

最初にGと入ったのが前にも出てる掘削班の班長で、現場に最初から居たある意味現場の全てのリーダーの人の所でした。

しかし、三日もすると班長はGに、お前は向こうの班に行くか掘削班を辞めろと言いましたね。

見てて、仕事ぶりが余りに悪かったからです。

誤魔化してやってるように見せるけど、ベテランには直ぐにばれますからね。

それで反対の班に入って、他の人間と入れ換えましたね。

まあ、仕事に関してはこういう人間は沢山居ますから驚きはないです。

しかし、Gは見た目は非常に好印象で、人のお金を盗むって奴でしたからね。

お金が手に入らない時は、人の部屋に置いてる煙草を盗んでましたよ。

ある時、こいつ何時も吸う煙草違うなあと見てて、あ!っと気付きましたね。

しかし、Gは結婚したばかりで、前には僕が所長してた時に家に送る明細を誤魔化してくれと行ってきて、誤魔化した事が有ります。

少な目に給料をしました。

これは、わりと既婚者は前は多かったです。

仕送りするから、自分自身の小遣いを少しでも取りたいんですよ。

しかし、Gは風俗に行くとか酒を飲みに行くとか無かったから、何に一体お金をと思ってたらパチンコでしたね。

最終的には追い出されて、ヤバイところにお金を借りて家にも帰れない状況になりましたけどね。

パチンコをちょくちょくしてるなと思ってたけど、僕がやらないから周りに聞くと相当好きだと言ってましたね。

結局パチンコで身を持ち崩したけど、元々がズルい人間でした。

ギャンブルとか酒で身を持ち崩すのは、勝手ですが生き方のズルさが嫌いでしたね。

前に口ひげさんとして出てる人は、Gの紹介でGの親戚か何かでしたね。

似た者同士だなと思いましたね。

僕達途中から入ったグループは、Gがそういう奴ってなかなか言えなかったです。

それを言うと一応一緒のグループでしたから、僕達までろくでもないと思われるからです。

しかし、Yと相部屋になると、Yがお金が前から無くなると言い出しました。

僕はGとは言わずに、とにかく俺にも分からない所に現金は隠して置いた方が良いよと言いましたね。

ある時現場に行くのにたまたまGと一緒になったら、車に乗って直ぐに忘れ物したからと言って宿舎に戻って、少し待つと戻って来たことが有ります。

その日仕事から戻ると、Yが財布からお金が全て取られてると言いました。

僕は、あーあGがやったなと思いました。

Yも僕の忠告聞かずに、枕元の分かりやすい所に財布を置いてましたからね。

Gは何かにつけてあちこちの部屋を訪ねたけど、誰が無防備か見てたと思いますね。

金額的にはYの金額は五千円とかでしたが、これはYに言っておくかと思いました。

それで、Gに気を付けろと言いました。

実は、Gは前からやってると思うけど、やってる現場を押さえられないから難しいからと言いました。

Yは不思議な顔をしました。

先ず、そういう事をトンネルでする人間が居るのかと言うのと何故僕は、今まで自分に知らせなかったのかを不思議に思ったようです。

僕はきちんとその辺り説明しました。

一応僕らのグループで来てるけど、俺はGが嫌いだしGを信用してないとまで言いました。

Yは分かったようでした。

それなら、また来るねと言うと、僕に何かしら自分自身の財布の中にメッセージでも入れてよと言い出しました。

空の財布に嫌味のメッセージを入れて欲しいが文章が浮かばないと言うから、僕は適当に、G!!お前がやってるの分かってるぞと書いたらと言いました。

そんなのしてもGの手癖は治らないから、適当に言いましたね。

そしたらYは、それを平仮名で大きな字で書くと空の財布に入れて笑いました。

今度来たらムカつくだろうねとニヤニヤしました。

僕は、正直そんなのしてもムカつくとか無いのではと思ったけど、Yの好きなようにさせました。

Yは僕に、●●ちゃんは何処に隠してるのと無邪気に聞いてきたから、僕は思わず自分自身の隠し場所を教えましたよ。

一つは、部屋に入って直ぐの作業着を吊るしてる所に簡単な道具箱も吊るしてました。

その中に現金を入れてました。

もう一つは、バックの底に財布を入れてお金も入れてました。

二ヶ所に分けてましたね。

Yは、それを聞いて俺も押し入れの奥に現金を入れるよと言いました。

完全に僕を信用してたし、僕もYを信用してました。

十日ほど何もなく、Yの財布は同じ位置からずれずに置かれてました。

しかし、ある時戻ると財布が無くなってました。

中には例のメッセージ以外は入れて無かったけど、Yは顔色変えましたね。

財布を必死に探し始めて、Gの所に行くとまで言い出しました。

Yの財布はノーブランドの、当時も今もバイカーが良く使うチェーン付きの物でした。

皮製でしたが、かなり痛んでたしもうそろそろ代えた方が良いのではって感じでした。

しかし、Yは財布に拘りました。

相当怒ってたのを、僕が何とかなだめました。

それでもYは、いつかGをやってやると言ってました。

その時は止めないで、とも言いました。

そこまで怒るかと僕は思ったのですが、ある時風呂に入ってて、たまたま昔から一緒の同い年のHと二人になった時に彼から聞かされました。

あの財布は別れた奥さんが買ってくれた物で、Yにとってはとても大事な物だったと言うのを。

僕には言いにくくて、Hに言ったのかも知れないですね。

Hは、当時は既婚者でしたからね。

Hは、YはGにいつか復讐するよとも言いました。

Yは、Gの手伝いでも現場では仕事はきちんとするけど、口を聞かなくなりましたね。

そして普段は、目さえ合わせなくなりました。

僕はこれは、何時かYとGは激突するなと思ってました。

しかし、普段僕らに見せる感じは全くYは変わってなかったです。

Gが僕に、Yが最近態度が悪いと僕に言ったことがあった時は、お前が自分自身で考えろと言い返しました。

もう何度も過去にGを庇って来てたから、この男は変わらないと思い突き放しましたね。

仕方なく連れて現場を歩いてた所長のおじさんも、Gには困ってました。

僕やHに何とかしろと言ったけど、無理だと答えましたね。

現場を仕切ってた班長はGをあからさまに嫌うようになりましたね。

仕方ないですよ。

YとGは対照的でした。

社交的でお調子者で、一見すると好青年に見えるG。

決して社交的とは言えないし、見た目は人から好かれないY。

仕事を文句ばかり言って上手くサボるG。

仕事を黙々とこなして、文句の一つも言わないY。

パチンコに熱中するG

遊びはほとんどしないY。

知らない人間も、段々Yを認めるようになりますね。

Yが耳が悪いとか関係なく、それを補って余りある勘で一生懸命仕事をするんですから当然ですね。

共通するのは、お互い身体はゴツいくらいでしょうかね。

しかし、Gは一、二度僕から本気で怒られた時は相当びびってましたが、Yは肝が据わってましたね。

見た目だけのGは、中身が全く無かったですね。

誰かが、Gを張りぼてだなと言ったのを覚えてますね。

Yの復讐は、意外な形で起こりました。

ある時宿舎の前の道で、YとHと何人かでYのハーレーに乗せて貰ったり乗ったりして遊んでました。

そこにGが来ました。

Yは、それを見るとG君も後ろに乗せてやると言いました。

久しぶりにYが、Gに話しかけたのを見て驚きました。

Gはいいよと遠慮すると、Yは大きな身体で威圧するように近づくと、自分自身が羽織ってた軽いジャケットを押し付けました。

もしも転けたらTシャツだとヤバイから、と言って笑いました。

ヘルメットも、自分自身の使ってるフルフェイスのを渡しました。

Yの目は笑って無かったですけどね。

Yのその時の迫力は凄かったです。

無理でも乗せようって感じでした。

GはYに圧倒されながら、仕方なく薄いジャケットを着てヘルメットも被ってYの後ろに乗りました。

近くに居たHが、僕のお腹を軽く叩いて合図して来ました。  

何か始まると、そこに居た勘の良い連中は思いましたね。

Yは、軽く直線をGを乗せて走りました。

そして、皆の前で一度止まると楽しいでしょうと言って、次はしっかり俺を持っててねと言いながらエンジンをふかしました。

俺を持っててねと言う言葉は、エンジンの音でほとんど聞こえなかったです。

Yは、また直線を走るとスピンするように戻る時にUターンしました。

タイヤから煙が上がるほどの急なUターンでした。

Gは、ポーンと道に放り出されました。

人形のようにです。

Yは、Uターンして走るとゆっくりGの所に戻って、バイク用のエンジニアブーツで踏みつけながら、大丈夫と言いました。

皆走って行くと、Gの下に履いてたジャージは破れて、Yが渡した薄いジャケットもあちこち破れてました。

起こすと、ヘルメットのお陰で衝撃だけのようでした。

あちこち擦り傷はあったけど、骨折も大きな打撲もないようでした。

Gは、すっかりビビって小便を漏らしてましたね。

数人がGを支えて起こそうとすると、Yがバイクから降りてきて肩にかつぎ上げて運ぶと、宿舎の砂利の上に放り投げました。

Gは起こった事がいまいちまだ掴めて無かったけど、Yは強引にヘルメットを取ると自分自身が被って、そのまま走り去りました。

Hが、Gの側に行くと自業自得だわと言って、明日もきちんと仕事出ろやと言いました。

僕とHは二階に上がりながら、あの程度で済んでラッキーだと言いました。

二人で飲もうかと言いながら、Gの事はもう相手にしてなかったです。

次の日にGは、おじさんの所長に昨日の事を皆の前で告げ口しましたが、おじさんはプライベートなんか知らんわと言って、相手にしませんでしたね。

班長はそんなのいちいち報告するなと、後ろから蹴りを入れてましたね。

それからのGは極端にYを恐れるようになりましたが、Yは口は聞かないけど、Gの手伝いだろうと関係なくやってました。

ある時部屋に戻ると、Yの財布が戻ってました。

Gがまだ持ってたのを、ビビって返したのでしょう。

Yは、それは喜びましたよ。

それは、子供がクリスマスプレゼントを貰った時のような喜び方でしたね。

Gは戻す事で、今後もあのような事が無いようにと思ったんでしょうね。

Hと、そういう浅はかさを苦笑いしましたね。

 

しかし、Gの手癖はしばらく止みましたが、やはりまた、始まりました。

当然、YやYと相部屋の僕の所には来ませんでしたけどね。

Gの末路は、その次の現場にギリギリで来なくて、借金作って家にも帰れなくなりました。

  

ヤバイところからの借金もあったようで、奥さんから何度か電話があったけど、行方不明に近いです。

生きてるのか死んでるのかも知らないし、正直興味も有りません。

奥さんが気の毒だなくらいです。

こう言うと冷たいけど、ある程度までは庇って来たんです。

それに、使えない作業員に僕は興味も無いですね。

YとHは、今一緒に仕事をしてます。

一週間程前に、Hが合流しました。

Hの坑夫としての腕は一流ですが、Yの成長に驚いてます。

あれは火薬の免許さえ取れば凄くなるとHは言ってたけど、その予想を越えて凄くなってるのに驚いてますね。

Yは、今でもあの財布を使ってます。

チェーンが取れたのを修復に出したり、皮の破れたのを自分自身で直したりしながら使ってます。

元奥さんは、今はYが稼ぎが良いから子供の為に急にお金を送れと言うような人ですが、何らかの愛情がYの方には有るんだけどね。

Hも離婚しましたが、遊び人だったお前にはそういうの分からないよ、と僕には言いますね。

まあ、夫婦とか元夫婦とかは分からない物です。

分からなくて良いとも思いますね。

男と女は難しいですね。

おわり

「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「ガーターベルトの女 12」番外編(フィクション)

前書き

今回は、フィクションとして読んで下さい。

こういう犯罪は、僕の想像と思って下さい。

二十年以上前の話しですが、鮮烈に残ってるのに最近驚いてます。

「ガーターベルト」シリーズ、飽きてる人も居るでしょうが、僕が書きたいのと書いておくべき、で書いてます。

いずれ形を変えてサイトにアップもあり得ます。

サイトでは、『友人』や『日本刀と青春』は、Aとの話しをフィクションにしてる。

AとMをと、僕との話しを残して置きたいから書いてます。

何時だったか忘れたけど、Mの店でAと飲んでました。

大体Aが来ると端に座って、Mと僕との話しを微笑を浮かべながら聞いてました。

Aは地元のヤクザでしたから、他のお客でAに気付く人が居ると、すっとチェックして帰ってました。

Mに、ヤクザが出入りする店と思われては不味い、と思ってたんですよ。

ヤクザが飲む店は有りましたからね。

ある時、Aの舎弟の十代位の男がAを探して来たことがあったけど、その時のAは舎弟を外に出すと、怒ってましたね。

当時は、ケータイも電波が入りにくくて舎弟は来たんでしょうが、Aは自分自身の関係者をMの店に入れるの非常に嫌がってましたね。

僕と二人で飲んでたある日は客が居なくて、Mと僕とで映画の話しから様々な楽しい話しをしてました。

Mが、トークを回す感じで時々Aさんも何か話してよと言うと、ブランデーのロックを飲みながら俺は聞いてたら楽しいで、ほとんど自ら話さなかったです。

しかし、十代の時の話しになって、僕は酔ってたんでしょうね。

こいつは高校に入ってないのに時々学ランで来て周りを脅してたと言うと、Aは日本刀持ち出す剣道部のキャプテンに言われたくないと笑いました。

学校同士の抗争で、僕が日本刀持ち出して二人で突っ込んだ話しをしました。

Mは面白がってカウンターから出ると、僕らの間に座りました。

Mは暴力は嫌いでしたが、その頃の話しを面白可笑しく僕が話したから、Mの高校ではあり得ないらしくて笑って聞いてました。

Mは、珍しくブランデーの水割りを自分用に作ると、お客が来たらもう終わりましたって言うから、と看板だけ消しましたね。

どっちが強かったのと聞くからそりゃAだよと言うと、Aはこいつは外国に仕事で行って人を刺してるからなあ、と笑いました。

実際正当防衛で刺してたけどそれは、お前別だよと言い返しました。

腕相撲はどっちと聞くから、Aはこいつの腕力に勝てるの居ねえよ、と笑いました。

実際は、腕相撲やっても左は僕が強かったけど、右は負けてましたね。

左が強いのは剣道やってた人間の強さですが、喧嘩では圧倒的にAだったと思いますよ。

Mが、ふと僕の耳の所を匂ってシーブリーズ使ってるよねと言って、耳の後ろを匂うと清潔にしてるかとかオッサン臭いか分かるんだよ、と言い出しました。

突然話しを変えるのもMの特徴でしたが、不快では無くて上手くそこから話しを広げました。

シーブリーズは、夏には大抵つけてました。

今でもつけますが、Mが勧めたからです。

耳の後ろを匂うとって、今で言うと加齢臭ってやつですが、Aの耳の後ろを匂ってマッチの匂いがする、と言い出しました。

Aは少し笑って、良く分かったなあと言うと火薬だよ、と小さい声で言いました。

僕もAを匂うと、火薬の匂いが僅かにしました。

僕の仕事でダイナマイト使うけど、こういう火薬の臭いは黒色火薬の匂いです。

昔のダイナマイトですが、僕は一二度しか使ってないです。

しかし、ピンと来たのがタイとかベトナムで撃った古いリボルバー拳銃の臭いです。

Aは、珍しくMちゃん古い拳銃と古いダイナマイトを今日試したんだよ。と言いました。

Mは、驚きながらも興味津々です。

新しいのは、こういう臭いはしないんだよと言いました。

そして、明日の夕方でも撃ちに行くかと僕らに言いました。

ダイナマイトは専門家がここに居るけど、もう大丈夫だからと言うと微笑みました。

僕は、Aが酔って言ってるので無いのが分かったから面白いけど、撃つところ有るのかと聞くとAは頷きました。

Mは、私にも撃たせてくれるの、です。

Aは、どうせ試さないといけないんだよと言うと、安全を守るならMちゃんも良いよと言いました。

組内で試せと言われてたようですが、細かい事は言わなかったですね。

僕に向かって、こいつは撃ち殺して何処かに埋めて、Mちゃんと俺が付き合うってどうかな、と笑いました。

次の日の夕方に、車で僕の所に来ました。きっちり時間通りでしたね。

高級外車に乗ってました。

Mも待ち合わせの所に居ました。

乗ると時間に通りだねと言うと、この人と違うねと僕の腹を軽く叩きました。

それから、走ってどんどん田舎の道に入って行きました。

最終的に、元々何かの坑道跡が残る空き地に行きました。

周りは川と山だけです。

狭い道を通ってそこまで来ましたが、運転も慣れてましたね。

車から降りたら、Mちゃん耳をふさいでと言うと、腰から拳銃出して山に向かって連発で撃ちました。

僕は、音といきなりでしたから驚いたら、Aは大笑いでしたね。

これはOKと言うと、後ろのトランク開けて五丁の拳銃を出しました。

Mには自動式の渡すと、安全装置の外しかたから構えまで手取り足取り教えて、空き缶を置いて撃ってといいましたが、僕には、お前は分かるよなでした。

Mは、何度か目に空き缶を撃ち抜けるようになってはしゃいでました。

僕は、古いタイプを山に向かって撃ちました。

Mも僕もこんな所で拳銃か、と思うと楽しかったです。

Aがじゃんけんをいきなり僕にしてきたので思わずすると負けました。

Aは、空き缶のビールのロング缶を出すとそこに立ってと僕に言って、負けたからなとロング缶を頭の上に乗せました。

Aは離れて拳銃を構えたから、お前なあふざけるなよと僕は怒りましたが、Mが大丈夫失敗しないよ、と真面目に言いました。

Aは、失敗しても頭が飛ぶんだし、そうなったら埋めてMちゃんと帰るよと笑いました。

僕は抗議しようとすると、Aが動くなと大きい声を出したので立ってました。

音がすると頭の上に衝撃が来ました。

Aが自信があったのでしょうが、流石にビビったので僕はもうひとつ銃を出すと、Aの足元に何発か撃ちましたね。

Mは後ろで、二人で美女の取り合いしてるみたいと笑いました。

結局、全て撃っておかしなものが無いのを確認すると、Aは車に仕舞いました。

最後に後部座席から袋に入った日本刀を出して来ました。

鞘はご立派な木で出来てて、抜くと明らかに高い物だと分かりましたね。

お前まだ木とか切れるかと聞くから、多分と答えたらかなり太い木を指して、あれを切ってみろよと言いました。

切れ味は保証するし失敗しても、気にするなと言うから数年ぶりに日本刀を構えて、何度か息を整えて切るとすぱりと太い木が切れましたね。

腕より日本刀が良かったんでしょうね。

MもAも、おー!と叫びました。

帰りに僕は、暴発の恐れとかあったのかと聞くと、お前と俺のにはあったよと答えたから、ふざけやがってと言いましが楽しかったですね。

帰りにMがちょっと停めてと言うと、小さいお店に入るとソフトクリームを三つ買ってきました。

その辺りは乳牛で有名で、美味しいソフトクリームでも有名でした。

僕に向かってMは貴方甘いの好きだしソフトクリーム好きだよねと言ってAさんも食べてよここの美味しいからと言いました。

Aは、路肩に車を停めるとソフトクリームを食べながら、そういえばお前は甘いの好きだったなあ、と笑いました。

僕は、好きだよ悪いかと答えたらMが、さっきまで拳銃撃ってたのがソフトクリーム食べてるって良いね、とクスクス笑いました。

Aもそれは言えるね、とクスクス笑いました。

食べ終わると、Aは美味しかったなあと言うと車を発車させましたが、しばらく行くと思い切りUターンしました。

不味いなあ俺はこういうタイプで無いのに、お前とMちゃんと居ると不味いなあと言いながらさっきの店に戻ると、もう一つ食べたくない?と聞いて来ました。

Mも僕も、普段は無口でクールな男がソフトクリームにはまったのに笑いながら、食べたいと答えました。

結局、三人で二つのソフトクリームを食べて帰りましたね。

それからしばらくしてMから連絡があって、Aさん来るから飲みに来なよと言ってきたので、また二人で飲んでました。

何時もの感じです。

クールに隅に座ると、延々飲みながらMと僕の話しを聞いてましたね。

Mが話しの途中で、Aさんあそこよりまだ美味しいソフトクリーム有るからまた行こうよと突然言うと、Aは飲んでたのを吹き出しそうになってむせました。

Aが、ソフトクリーム食べて映画見に行こうよと言って、今度は拳銃無しねと笑いました。

出来たら時代劇か西部劇が良いけど、最近無いから何でも良いよね、と笑いました。

Aは何とか煙草に火をつけながら、Mちゃんには負けるなと僕に向かって微笑みましたね。

負けると言いながら嬉しそうでしたね。

今思えばAはMが好きだったと思うけど、それ以上に三人の関係を大事にしてましたね。

日本刀をわざわざ持ってきたのも、Mの前で僕の良いところを見せたかっんだと今では思いますよ。

Mと同じで、自分自身好きな人間には優しかったんですよね。

それが一般的な形で現れなくても、今では分かりますね。

その後、僕がMと別れたと知ると勿体ないし俺にとってもショックだ、と言いましたね。

Mと友達関係が戻ったと聞くとそりゃ良かったけど、俺はあの店は行かないよと言いましたね。

かつての三人の関係は壊れたからと、行くと自分自身が口説きそうだったのだろうと今では分かるけど、当時の僕は三人の中では最も子供でしたね。

そういう機微が分かってなかったです。

Aは僕より数倍モテました。実際、綺麗な女性を連れてるのを何度か見たけど、四十代になって会った時は、女より男の方が信用できる。ただし一部だけだけどな、と言ったのを思い出しましたね。

Aは数年前に死んだけど、ソフトクリームを美味しそうに食べてる顔を思い出すのと、Mの店のすみで微笑みながら強い酒を飲んでたのを思い出しますね。

彼は今でも僕にとっては変わらない親友ですね。

生きてる、死んでるは僕には関係ないですが、時に非常に悲しくはなりますよ。

おわり

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