花物語~ イワシャジン

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

画像提供:「花ねこ日記」

小さなベルのかたちをしたお花さん

2008/10/30(木) 午後 8:23

小さなベルのかたちをしたお花さんがあるでしょ
そのお花さんたちは可愛い音色で鳴るのよ
でも人にはその音色は聞こえないの
動物さんや鳥さんや虫さんたちはちゃんと聞こえるのよ
今日はそのお話をしましょうね

ずっとずっと昔
お山ではいろんな生き物が仲良く暮らしていたのよ
お山は動物やお花さんには天国だったの
そこへ人間がやってきたの
動物さんやお花さんたちをとっていったのよ

生きものの天国だったお山が
もう安全な場所ではなくなったの
次は自分の番だと思うとみんな悲しくなったの
でも悲しんでいるだけではいけない
どうしたらいいかみんなで話し合ったの

人間たちをお山から追い出すために
みんなで力を合わせようと約束したの
そしてみんなで自然の神様にお願いしたの
私たちに力を与えてくださいって
自然の神様はみんなの願いを黙って聞いていたの

自然の神様はベルのかたちをしたお花さんを
お山のあちらこちらに植えてあげたの
そしてそのお花さんたちに言ったの
動物さんやお花さんをとっていく人間が来たら
お花を鳴らしてみんなに知らせてあげなさい

お山を荒らしていく人間たちが来たの
さっそくお花さんはベルの花を震わせて鳴ったの
人間が来たよ注意しなさいって知らせたの
動物たちはお花さんが鳴るのを聞いて
人間に知られることなく隠れることが出来たの

霧さんもみんなの味方になってあげたのよ
霧でお山をすっぽり包んだの
人間たちは何も見えなくなって
何もとらずに仕方なくお山を下りていったの
お花さんが鳴って危険を知らせたのがよかったのね

動物さんたちはお花さんにお礼を言ったの
そしてお花を植えてくれた自然の神様にも
お山にまた生きものたちの笑顔と笑い声が戻ったの
悪い人間たちには聞こえなかったけど
いい子にはお花さんの鳴る音色がきっと聴こえるよ


  まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/26 No.1248

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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