花物語~スプレーカーネーションの“ミニティアラ ピンク”

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

画像提供:「花ねこ日記」

変わったカーネーション

2008/11/1(土) 午前 6:22

花屋さんにはたくさんのお花さんがいましたが
あるお花さんが嘆いていました
こんな色やかたちはいやだって
そのお花さんはカーネーションなんだけど
みんなと違ったお花のかたちをしていたの

こんなのいやだ
どうしてみんなと違うんだ
お客さんだって嫌ってるよ
買ってくれる人なんかいないよ
その花さんはいつもそう言って嘆いていました

お花屋さんはそのお花さんが大好きでした
みんなと違っているから好きでした
お花屋さんは思っていました
そのお花さんを買ってくれる人がいると
きっとお花さんは自分の良さに気がついてくれると

ある日お花屋さんに二人の兄妹が来ました
お母さんのお見舞いにお花を買いに寄ったのでした
でも兄妹にはなにか特別な事情があるようなのです
お兄ちゃんどの花にしようか
花なんかあんな奴のために買う必要ないよ

あんな奴って言ってはいけないわ
私たちのお母さんなんだから
おれたちを捨てていった奴なんだぜ
母さんなんかじゃない親じゃないよ捨てるなんて
それは違うわお兄ちゃん捨てたんじゃないわ

お母さんが重い病気になって
お父さんや私たちの世話が出来なくなったからよ
お父さんとお母さんが話し合って決めたことなの
新しいお母さんが私たちのためにも必要だって
お母さんが一番つらかったと思う

それを捨てただなんて
お兄ちゃんだって良く分かってるでしょ
お母さんの病状が悪くなってもうそんなに時間が残ってないの
私たちの元気な姿を見てもらって
お母さんを安心させてあげなくちゃ

嫌いだよ母さんなんか
おれたちより先に死ぬなんて大嫌いだ
お兄ちゃん母の日じゃないけどお花はカーネーションにしようね
買うならそのヘンテコな花でいいさ
母の日のカーネーションなんか大嫌いだ


  まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/27 No.1249

藤川一郎
京都市北区紫竹北大門町37 葵荘17号
075-493-4676

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