高山が作家として更に飛躍することを願い創作活動を支援したい!~エッセイ「ガーターベルトの女」の作品化を目指して【497】

妄想家・夢想家無名居士の
夢物語の記録です
無名作家 高山のエッセイ
「ガーターベルトの女」の
映画化芝居化 
その他いろいろ作品化できれば
なんて途方もない夢を観ています

📖 高山のエッセイ~『レット・イット・ブリード』雑感

またもザ・ローリングストーンズのアルバム紹介です。

ほぼ記憶だけでわざと書くように努めました。要らない情報を入れるより自分自身が感じたままを書いてる方が良いですからね。

間違いが有ればすいません。

もうこの辺り語り尽くされてる感じですが、やはりファンとしては、書きたいですよ。

特に1968年の『ベガーズ・バンケット』から、『メインストリート』の『ならず者』までが全盛期という人が多いの分かります。

分かるけど、僕はそのあとの『山羊の頭のスープ』の後も好きです。

今でも精力的ライブを続けてるストーンズには、頭が下がります。

この中で、ストーンズファンがベストスリーを挙げるとしたらまず入ってくるだろうってアルバムを敢えて挙げます。

持ってたんですが、CDやレコードを大量に処分した時に紛れて処分したと思います。

iPodに入れてたんですが、iPodを去年落として聴いてなかったです。

仕事で移動してて、一つ歳上の作業員がロック好きでたまたま持ってて車で聴きました。

その人はどちらかと言うと古いアメリカンロックで、ストーンズの熱狂的ファンではなかったけどたまたま持ってましたね。

アルバムタイトルは『レット・イット・ブリード』です。

これは、1969年のアルバムです。

『ベガーズ・バンケット』は、1968年で僕の生まれた年です。

『ベガーズ・バンケット』で原点回帰して、更にそこにカントリー風味と分かりやすさを加えたのが、『レット・イット・ブリード』かもと思います。

聴いた時は天気が良くて、長距離ドライブで非常に気分が良くなります。

『レット・イット・ブリード』の前作の『ベガーズ・バンケット』が、何処か密室的だとすると、『レット・イット・ブリード』は少し開放的です。

この時期は、ギタリストと言う意味では過渡期で、若いミック・テイラーを入れてるけど、まだブライアン・ジョーンズも居ると言う状態です。

このレコーディングの途中で抜けて、ミック・テイラーを迎えてます。

ブライアン・ジョーンズは、抜けて直ぐに自殺してると思います。

未だにブライアン・ジョーンズの自殺の原因など諸説あるし、古い人達はブライアン・ジョーンズ原理主義的人が居ますね。

ストーンズの初期のリーダーで、ブルースのコピーバンドとして引っ張ったと言うことと、あらゆる楽器が出来た等そのカリスマ性は言われますが、僕なんかの世代はストーンズを知った時に既に死んでましたからね。

思い入れがほとんどないんですよ。

このアルバムは、キース・リチャーズが非常に頑張ったアルバムだと思います。

僕はミック・ジャガーも勿論好きですが、キース・リチャズの方がどちらかと言えば好きです。

愚直なまでのバンドマンでロックン・ロール好きですね。

しかし、ストーンズはこの二人でほとんど成り立ってます。

プロデュースに入る時は、二人でグリマー・ツインズと言いますね。

ミックのソロは古くなるけど、キースのソロは古さを感じないってのも二人の違いを表してるかもです。

どちらにせよ、この頃の二人は喧嘩をしながらも完全に両輪でやってると思います。

『レット・イット・ブリード』は、捨て曲無しです。

一曲ずつ挙げたいけど、トータルで聞いて欲しいですね。

個人的に印象的な数曲を、私見で感想を書きますね。

一曲目の『ギミー・シェルター』、これは女性ヴォーカルのメリー・クリントンとのデュエットになってます。

つい最近は違う人に確かなってましたが、九十年代以降はライブではリサ・フィッシャーとミックのデュエットでお馴染みですね。

今、このアルバム聞くと暴力の匂いや戦争の匂いを感じますが、丁度ベトナム戦争の頃だからかも知れないです。

ライブでやるより、原曲の方は何処かおどろおどろしい部分を残してるように思いますね。

若いストーンズからは、一種の狂気のような物さえ感じます。

最近もこの曲やりますが、原曲の方には歌詞の内容や時代背景からか切迫感等感じて良いですよ。

ある意味、今聴かれるべき曲かも知れないです。

ストーンズの代表曲の一つですね。

二曲目の『虚しき愛』は、ロバート・ジョンソンのカバーですが、ストーンズの色になってます。

三曲目の『カントリー・ホンク』は、『ホンキー・トンク・ウーマン』の時に生まれた曲らしくて、カントリーナンバーでこれはこれでとても良いです。

四曲目の『リブ・ウィズ・ミー』は、曲としてわりと単調ながらベースの厚みや色々なものが混じって、アップテンポでとても良いですね。

個人的に、これはヘッドフォン着けて大きな音で聴くと盛り上がります。

ライブでも良くやりますからね。

五曲目が『レット・イット・ブリード』です。

ブルージーなナンバーで、準メンバーもう一人のストーンズと言われたイアン・スチァート、ピアノが際立って良いです。

これもライブの定番ですし、その時々によってスピード等変わってるけど良い曲です。

ここまで非常にバランス取れてて、一気に聴けます。

七十年代の半ばの『山羊の頭のスープ』や、『イッツ・オンリー・ロックン・ロール』と違って、曲によってのバラツキが全くないですね。

ああいうバランスの悪いアルバムも、個人的には好きですけどね。

六曲目、昔で言うとレコードのB面です。

これが『ミッドナイト・ランブラー』です。

これもライブで非常に歌われますね。

いつかの日本公演では、この曲を聞くために来てると甲本ヒロトが言ってたらしいですね。

良い曲です。ここではミック・ジャガーのブルースハープが全体を引き締め、引っ張ってますね。

ミックジャガーのブルースハープは、年々上手くなってるように思います。

ライブでは、何処に隠してたのかと言う感じで出して来ますね。

ミックのブルースハープは、もっと評価されて良いと思いますね。

レコードで言うB面に、この曲を持ってきた事でほぼこのアルバムの成功は感じられます。

七曲目が『ユー・ガット・ザ・シルヴァー』です。

キースが歌う、しんみりした良い曲です。

この曲に関してはここでも良いけど、今たまにライブでやるのを聴いてるとキースらしい下手ですが、味わいのあるのを聴けます。 

歳を重ねる事によって味わいが出てますよ。

元の曲も若さがあって良いんですけどね。

話し逸れますが、キース・リチャーズのソロのライブを幾つかDVDやビデオで観てますが、やはりライブになると、ボーカルとりながら歌うって慣れてないんでしょうね。

ミックと比べてはいけないけど、それでもライブはキースは苦しいですね。

ミック・ジャガーのライブパフォーマンスぶりが凄い過ぎるんですけどね。

八曲目が『モンキー・マン」です。

ジャンキーを歌った曲で、近年たまにライブでやりますね。

ブルース・ロックで盛り上がりますが、これをかつてジャンキーだったミックとキースが作ってるのは面白いですね。

ラストの九曲目が『無情の世界』です。

最初綺麗な合唱団から始まる、ストーンズの名曲の一つですね。

雄大な出だしから、最後は徐々にハードになっていきます。

最後をこれで終わらされては、文句のつけようが有りませんね。

これもライブでやりますね。

このアルバム、ほとんど今でもライブで使われてる事からも分かりますが、名曲揃いです。

殺伐と狂気と若さと開放。

混沌と矛盾した物を含みながらも、全体のトータルバランスは崩れてないって凄いね。

何だかんだ言って、一応全曲紹介したのはそれだけ魅力的なアルバムだと言う事です。

因みに、ビートルズの『レット・イット・ビー』はこのあとで、昔はビートルズが『レット・イット・ビー』出したから、これを出したと勘違いしてました。

僕が、ビートルズよりも断然ストーンズ推すのは、凄みと狂気とライブバンドって事でしょうかね。

ビートルズも好きですけどね。

常に、ビートルズと比べられて劣ってると言われてたストーンズが、『ベガーズ・バンケット』と、『レット・イット・ブリード』で抜いたとかで無くて、違う意味で並んだ時期かも知れないです。

ビートルズはビートルズで、違う意味の凄みがあるとは勿論思いますけどね。

ビートルズには二人の天才が居たんですが、ジョンの方がやはり未だに評価されるのはポールが可哀想だなとも思います。

とにかく、ストーンズの若さと狂気と開放感を感じて欲しいですね。

六十年代の名作の一つで、ロックの名盤の一つです。

何より今聴くと、2000年以降のロックン・ロール回帰にも繋がる、古さを感じさせないアルバムです。

おわり

📖管理人・無名居士の 童話『花物語』〜泣き虫のニシキギさん

花の行商をしていたおかあさんから
お花の話を聞いて育った少女は
大きくなって念願のお花屋さんを開きました
少女のもう一つの夢は
子どもにお花のお話をすることでした
おかあさんがしてくれたように・・・

いまお山は紅葉の季節ね
なかでも一番きれいなのはニシキギさん
今日はそのニシキギさんのお話よ
ニシキギさんはどうして真っ赤になるのか
こんなお話があるのよ

秋にお山さんが紅くなるのはこの前お話したでしょ
自然の神様が少しでもお山が美しくなるように
一生けんめい考えて秋は紅くなるようにしたの
それは美しいものを見ると人はしあわせになるからよ
人がしあわせになれば自然もしあわせになる

ニシキギさんも美しくなろうと紅くなったの
でもいまほどは紅くなかったのよ
ニシキギさんはとっても気持ちが優しかったの
ちょっとしたうれしいことでも
ちょっとしたかなしいことでもすぐに涙が出たのよ

みんなは「泣き虫泣き虫」といってからかっても
ニシキギさんは泣きたいときに泣くのは当たり前
泣き虫ははずかしいことじゃないって思っていたの
泣き虫はけっして弱虫じゃないの
ニシキギさんは意志の強い人だったの

夏に元気だった虫さんが
秋になってニシキギさんの足元で
動けなくなることもあるの
飛べなくなった虫さんが
ニシキギさんの腕に落ちてくることもあるの

そんなときニシキギさんはどうすることもできなくて
悲しくなって涙が出るの
その虫さんたちのために
いっぱい泣いてあげるの
だってほかに悲しんでくれる人がないから

ニシキギさんが泣くのは悲しいときだけじゃなかったの
ニシキギさんは夜が好きだったの
星さんやお月さんを見て涙を流すこともあったの
もちろん昼間の青空も好きだったのよ
白い雲さんや故郷に帰る鳥さんたちを見ても涙が出たの

そうニシキギさんは悲しいときうれしいとき
ほかの人の倍も3倍も泣いたの
虫さんや鳥さんや星さんや月さんのために泣いたの
泣きすぎて人の目が紅くなるように
ニシキギさんも紅く紅くなったのよ

まぐまぐ!「花を歌うかな」'08/10/22 No.1244 から転載

📖 高山の作品から〜「Yとの嬉しい再会〜 11」

Yのシリーズも後一つか二つのエピソード書いて、現在のYを書きたいなと思います。

Yと仕事を再びしてると色々思い出してまだ、分かりませんけどね。

トンネルや建設関係には、その人がどういうポジションに居るかを表す為に、ヘルメットに線を入れます。

これは、きちんと決まってないけど、大体は普通の作業員には線は入りません。

班長や会社の職員等に一本の線が入りますが、会社の職員でもある程度出きるようになると、二本の線を入れたりします。

昔は、この二本線に憧れましたね。

今は、線は要らないやって感じです。

今は僕は、二本線ですね。

中には、社長等は三本も四本も入れるのも居ましたが、今はそうでもないですね。

元請けも、所長は二本線で同じ感じですよ。

Yと初めて会った現場の会社は、何故か班長も二本線でした。

元々、トンネルを主にして立ち上げた会社でなかったからかもですね。

Yは僕が掘削班、コンクリート班の班長になって二本線を巻くようになると、良いなあと羨ましがりました。

しかし、じゃあ、お前が被ると言うと、自分自身はそんな柄じゃないと嫌がりましたね。

単純に子供が、カッコいい物を見て良いなあって感じですよ。

しかし、二本線とか一本線とか線がないとかは、今は関係ないなと思います。

勿論、分かりやすいようにしなくてはいけないから、するのに反対ではないですよ。

関係ないと言うのは、炊事や事務員全てが関わって現場が成り立つって事です。

二本線が現場を作ってるって訳ではない、って意味ですね。

昔、有る元請けの所長は二本線を巻かなくて無線なんで聞いたら、住民から苦情が来やすくて、その時に直ぐ発見されるから二本線にしないと言いました。

これには笑いましたけどね。

結局、若い奴、歳を重ねた人、それぞれの役割が有るんですよね。

そして、良い習慣は受け継がれて行くべきだと思います。

Yと初めて会った現場で、最後はコンクリート班の班長でした。

掘削班は、一つになっててコンクリート班と掘削班の二チームでしたね。

勿論、それを支える雑工は居ましたよ。

Yは、その雑工でした。

掘削班が掘った後を、本格的にコンクリートを巻いて行きます。

しかし、あるところ位からどうしても地盤が高くなっていきました。

掘削班がいい加減に地盤を計ってたからでしょうが、良く有るんです。

前に前に進めばお金になるから、ついついその辺りがいい加減になるんですね。

地盤が高くなると、コンクリート班が削るんです。

そうしないとコンクリートを巻く時に合わせにくくなるし、おかしなコンクリが出来ます。

最終的に検査で、地盤を削るように言われますからね。

この場合の地盤とは、地面ですね。

 

コンクリート班で、パワーショベルの免許持ってるの僕でした。

それもコンクリート班には、小さいパワーショベルしか無くて必死に削って土をダンプで出すんですが、その間も色々指示をしないといけないから、もう、うんざりしましたね。

時々掘削班から大きいパワーショベルを借りて削りましたが、ダンプに乗れるのも僕だけなんですよ。

自分自身で削って、自分自身でダンプを運転して土を出す。

その間にコンクリート班に指示を出すとなると、一人では足らないんですよね。

皆、身体を使う作業は出来たけど、機械の作業は免許が無いのと乗るのが下手でしたね。

身体を使って、動くのはとても動いてくれましたけどね。

Yが空いてる時は手伝って貰ったけど、彼は彼で雑工が大変なんですね。

それに、彼は手抜きしないから、更に大変だったと思います。

Yは、掘削班には火薬の免許持って無かったから入れなかったけど、雑工としては若いのにオールマイティーでした。

コンクリートも練れるし、溶接やガスも使えるし器用でしたね。

知らない事も教えたら、覚えるの早かったです。

僕もYに、ダンプのタイヤ交換を教えて貰いましたからね。

皆が重宝してたから、あちこちで呼ばれてました。

そして、それを嫌がらずにむしろ喜んで引き受けてたから、更に仕事は増えてましたね。

一万八千円貰ってたけど、Yには少し上積みしても良いのではと、あちこちから話しが出た位です。

給料の件は、Y自身が周りと差が付くのは悪いから、といってましたけどね。

僕は、そういう状態がずっと続いたから、掘削班の班長に文句を言いましたよ。

この班長は、何度も出るけど他人のフィリピン人妻を寝取ってかつては逃げた人で、僕は子供の頃から知ってる人でした。

現場に最初から居たから、実質的に現場を回してるのはこの人でした。

評価の別れる人ですが、僕にはとても良くしてくれたし、少なくともこの現場では良かったですよ。

未だに寝取られた方は探してて、会ったら殺すと言ってますけどね。

当時、四十代後半に入るか位だったと思います。

その後、一緒に仕事してないからどうなったかまるで分かりませんし、年齢も何歳だったかは記憶だけです。

掘削班は、何十メートルも先を行ってるからこの調子である程度計ると、ずっと地盤が高いんですよ。

仕事終わって班長の部屋に行って、余りに地盤が高くてこっちはやってられないから、何とか出来ないかと言いました。

部屋には良く行ってましたね。

掘削班の班長してても、仕事の悩みとか教えて貰ったり色々して貰いました。

相部屋に居た人は四十代に入ったばかり位ですが、この人も昔から知ってる人でしたから班長は、お酒を飲まなかったけど、その人が、まあ、●●ビールでも飲めと出してくれてました。

この二人にとっては、僕は父の会社が潰れて来た苦労してる若者でしたね。

班長はゴムでトレーニングしながら高い声で、分かった日曜日に俺とお前とYで一気に削ろうと言いました。

ゴムでトレーニングは日課で若いのにまだまだ、負けらないが口癖でした。

無給での出勤になるのは、気にして無かったですね。

Yにも言っておけ、で話しは終わりです。

僕は、まさか日曜日に出てくれる、と思わずほっとしました。

それに、班長自ら出るって事は削るのやってくれるんだなと思うと、良かったでしたね。

班長は、腕が良かったですからこの人が出れば、日曜日だけで何とかなるなです。

しばらく雑談して、ありがとうございますと言って部屋を出ようとすると、何時でもお前が言うならなるべく相談に乗るからと言われました。

自分の部屋に戻ると、相部屋のYがテレビを観てたから、日曜日無給だけど手伝ってくれないかと言いました。

Yは何をするのかだけ聞くと、いいよと答えました。

Yなら、無給でもOKと言うだろうと思ってましたね。

Yもほとんど最初からのメンバーで、この班長には相当世話になってたし、僕とは仲良かったですからね。

日曜日に班長が、作業着に着替えて僕らの部屋に来ました。

僕らも作業着に着替えてたけど、先に来られるとは思いませんでした。

そしてかなりの量になるけど、一日で仕上げるぞと言いました。

出来たら三時位には目処を付けたいな、とも言いましたね。

現場に行く車の中で班長は、Yにダンプに乗れと言いました。

ここのダンプは二十トンダンプで大きかったから、ダンプ二台は要らないからお前は削った所を計るのと、どの程度削るかを指示しろと言いました。

僕は、てっきり自分自身もダンプに乗ると思ってたから、計るのは皆でやればと言うと、あのダンプは二台も要らないしどの程度削るかを見るのと、削った後をきちんと見ろよでした。

それからが、まあ戦争のようでした。

班長は、一番大きいパワーショベルに乗ると削る。

僕は、大体どの程度削るかを指示を出す。

Yは、ダンプで土を運ぶです。

班長の作業が早すぎて僕は、土まみれになりながら計りましたね。

一流の坑夫が急いで仕事をするとこうだ、と言う見本のようでした。

昼ご飯を、Yが車で近くのコンビニに買いに行って、三人で食べました。

八時に始めて、ほとんど休み無く三人で働きましたね。

昼には、最後の仕上げに地面をならすだけでした。

休憩所で、三人でコンビニの弁当を食べながらゆっくりしました。

班長は、どろどろに汚れた僕を見て笑ってましたけどね。

昼は、ゆっくりしてましたね。

僕が、昼からは僕がダンプに乗ろうかと言うと班長が、お前が計れば良いからと言い、それからYには計るのは難しいかもとも言いました。

Yは計れると言い返しましたが、そこから班長が話し出しました。

Y、お前は、こいつに付いていく事になると思うよ、と僕を指しました。

お前は火薬の免許取ったら、そのうちこいつの下に付くようになるよとも言いました。

僕は、何が言いたいのかいまいち分かりませんでしたね。

Yもそうだったと思います。

班長はYに、お前が耳が悪いからとかでなくて、こいつはリーダーになるし、お前はその下でせっせと働く事になると思う。だけど、それはお前にとって悪い事じゃないし、俺も若かったらこいつに使われるようになってたと思う、と言いました。

結局、作業員には役割が有るんだよ。お前は、一生作業員だよ。

俺みたいにな、と言いました。

僕は、俺はそんなに偉くならないです、と言い返しました。

そしたら、それじゃその若さで、腕がまだそれほどある訳じゃ無いのに掘削班の班長やって、今はコンクリート班の班長やってるのは何故だと思うか?それに、偉くなるとかでは無いんだとも付け加えました。

それと、俺がお前が掘削班の班長してる時に良い坑夫が少ないから、俺の右腕とも言える●●を貸しただろう。

あいつが言ってたぞ。良く働くけど、一番驚いたのは人を使うのが上手いってな。

僕が掘削班の班長をしてた時に、メンバーが班長のよりも弱いからと、良い三十代後半の坑夫を貸してくれたんです。

普通ならあり得ない事です。

普通なら班が反対だとライバルですからね。憎み合う事も有るのが普通です。

班長は続けました。

結局、向き不向きって有るし、リーダーになる人間には、そういう気質が備わってるんだよ。

だから、歳上でも皆お前の言うこと聞くし、お前を助けようと思う。

そういうのは、ここに来てしばらく見てたら、あー!やっぱり、お前は親父さんの息子だなと思ったぞ、と続けました。

僕が、そうですかねと言うと、更に続けましたね。

そうだよ。腕は、まあまあ位にしかならないかも知れない。

だけど、人の輪を作っていく上手さに、俺はこいつはリーダー気質だなと思ったし、何かしら起これば責任取るし、激しく怒るの見てたら面白かったよ、と言いました。

Yは、俺は出世しないのかなと、笑いながら聞きました。

まるで、出世しなくても良いような口振りでしたね。

本当に、Yにとっては出世等は、昔も今も興味ないですね。

班長は、坑夫にとって出世って何かを考えてみたら、お前が負けてこいつが勝つって事じゃないんだな。

それぞれの持ち場が有るって事だよ。

お前は、こいつになれないし、こいつはお前になれない。

しかし、お互いがトンネルを掘るって目的で頑張る。

そこに、当然将来は多少の上下関係が出来てもそれが、重要じゃないだろう。

こいつの親父は、社長になってもとにかく坑夫を大事にしたぞ。

こいつが社長になるかは分からないけど、リーダーになるだろうな。

そしたら坑夫を大事にするよ。

Y、見てたら分からないか?こいつは、使える人間とはとても仲良が良いけど、使えない人間、或いは働かない人間はかなり早めに相手にしなくなる。

そして、使える人間を本能的に上手く使いこなす。

使えないと言えば、二十代の沖縄から来てた男の子を、三日目位でコンクリート班から外したのこいつだぞ。

余りに使えないのと、サボるから帰れ!と怒鳴って、帰らせたんだぞ。

ありゃこいつのおじさんが、つまり所長が連れて来てた奴なのに、そんなのこいつに関係ないんだよ。

普通は、おじさんが連れて来てるなら気を使うのにな。

おじさんも俺とは気が合わないけど、こいつの判断に任せたのは偉いよ。

おじさんが居るからここで班長になれたんじゃなくて、皆が押し上げたんだよ。

それに、こいつのおじさんは、実はリーダー向きより職人だよ。

おじさんは、とにかく今はこいつが、リーダーになってもなれなくても、坑夫として通用するように鍛えてるんだよ。

Y、お前も歳上に好かれて年下に恐れられる。

しかし、お前の場合は時間がかかったし無意識の計算が無いけど、こいつには無意識の計算があるよ。

だから、こうやって俺もこいつが言うならってんで、日曜日に無給で出てる。

今はまだまだ、若いから助けてやらないとな、という気にさせる。

そのうち俺くらいの歳になったら、お前がこいつに使われてると俺は思うよ。

だけど、それは、それぞれの役割なんだよ。

トンネルを掘るってのは、それぞれの役割を一生懸命こなすって事だよ。

どっちが上とか下とか、本当はないんだよ。

それにしても、こいつには親父の血が濃く流れてる。

かと言って、親父の威光をどうこうってのもまるでないけどな。

そう言うと笑った。

Yはそこで、「それなら俺は、ずっと子分で良いよ!!」 

と言ったから、班長と笑った。

しかし、Yにはそう言う純粋さがあった。

それを、単純だとか馬鹿だと言う人も居るかも知れないけど、僕達は思わなかったです。

そう言う純粋さは、僕には薄かったと思う。

班長の言う通り、使える人間、或いは一生懸命やる人間を大事にしたが、使えない、一生懸命やらない人間は、無意識で大事にしなかった。

班長は、二人とも仕事での度胸も有るし、お互いが尊重しあって立場が変わっても仲良くだなあ、と最後に言った。

結局、昼休みが終わって地盤の整地は、一時間程で終わった。

流石に、班長が出てくると早かった。

班長は、ここの現場が貫通して後は雑工が多くなると、台湾行っての仕事を色々な人に声を掛けた。

僕もYも声を掛けられたが、次の短いがトンネルに行く予定だったので断った。

特にYは何度も誘われたが、僕はYに辞めておけと言った。

台湾には行ったことが有るし、この班長は何度も行っていたが、果たして、この班長がここのようにYを扱うかは、僕には不安があったからだ。

現場が変わったり立場が変わると、この班長は人も変わると言われていたからだ。

ある時、班長が怒って部屋に来て、Yを引き留めてるのはお前かと言った。

僕は立ち上がって、Yは俺の子分ですからと言った。

二人の間に少しだけ緊張が走った後に、班長は笑いながらやっぱりお前には負けるな、と言って出て行った。

しかし、班長が言うように立場は変わっても、誰が上で誰が下とかは無いんですね。

一つの目標に向かって、それぞれが協力する事です。

Yは、最近この話しを思い出して、俺は子分だからを何かと言えば言うようになった。

僕はその度に、こんな出来の悪い子分は知らんと笑う。

Yは、今回はたまたま僕に引き上げられたが、きちんとした観察眼のある人間なら、Yを欲しがるだろうと思う。

僕の中では、周りの僕と同じ立場の人間がYを放っておいたのは損をしたし、馬鹿だなと思う。

一生懸命やって出来る坑夫を探すのは、とても難しいからです。

Yが、耳が悪いと言うのに偏見を勝手に持ってしまった連中は、馬鹿だとはっきり思いますね。

同じ事を元請けの所長も言うし、他の作業員も言いますよ。

Yは、耳の事が有ったからこそ、一種の逸材になれたのかもとも思いますね。

そこにたどり着くまで、彼がどれだけ苦労したかは、想像するしか出来ないですけどね。

結果的に、あの時班長が言ったことに近い形にはなったけど、これは僕が偉いとかでは無くて、役割です。

それぞれの役割が有るんですよ。

僕個人の気持ちは、坑夫で居たかったってのも有ります。

皆で仕事してそれが、上手く行った時にどろどろになりながらも、終わってトンネルを出るのは最高の気持ちですからね。

これを一度でも味わうと辞められませんって位、気分の良い物です。

どちらにせよ、トンネルは特にチームだと言うことです。

それを忘れてはいけないですね。

おわり

📖「ガーターベルトの女」の映画化のためにエッセイをお読み下さい・・・「ガーターベルトの女 13」番外編2(フィクション)

前書き

犯罪的部分は僕の空想と考えて下さい。


「ガーターベルト」シリーズを終わらせないと、次に行けないです。

こんなに長くなるなんて思いませんでした。

しかし、他のをここで書くと緊張の糸が切れますから、ここでは「ガーターベルト」をとにかく終わらせないとです。

今回の一話を入れて別れを書くと思いますが、正直別れはどうなって別れたのか覚えてないです。

その後に再び友達関係に戻したのもどうやったか覚えてないです。

人は嫌な記憶は消えるんだな、の典型だよね。

まあ、二十年以上前の話しを思い出しながら書いてますからね。

死んだヤクザの親友が出てきた事から、更に書きたいってなりました。

今回も、Mと僕とヤクザの親友のAの話しです。

Aも僕もジーンズマニアでした。

正確には僕がマニアで、Aが後から好きになりました。

当時はまだ、リーバイスの古着の良いモデルが二万とか三万で手に入りました。

まだ、探すところを探せばあったんですよ。

それより、僕が十代の頃は普通のより安くあった位です。

しかし、九十年代に入って国産のレプリカジーンズが流行ります。

実際、僕が今履いてるのはリーバイスとレプリカジーンズです。

日本人のリーバイスに対する研究は非常に進んでますよ。

リーバイスの復刻版モデルも、今ほど酷くなかったですね。

今は、リーバイスは失敗したなと思いますよ。

日本のブランドとコラボレーションをしてないですし、今のリーバイスの昔のモデルの復刻版は見事に失敗してますね。

Aは、仕事柄どうしてもスーツが多くてジーンズ穿けないと嘆いてたけど、あちこち買いに行きましたね。

Mはそれを見ながら、呆れても居たけどね。

しかし、Tシャツとかの良いのが有ると着てましたね。

女の子は、リーバイスとかに凝るってほとんど無いですね。

女の子は、次のシーズンには新しい流行が来ますからね。

男も有るけど、僕は基本は変わりません。

夏は、Tシャツにジーンズに、上にワークシャツやアロハやボーリングシャツ着ます。

下はジーンズですね。

冬はスウェットを着て、革のジャンパーかミリタリー系のジャンパーです。

下はジーンズです。

たまにワークパンツを履くけど、ほとんどジーンズです。

だから、知らない人から見たら同じの何時も履いてるとなるけど、色落ち様々で実は違います。

ベルトとか小物は変えますね。

少し前に、さすがにぼろぼろになりすぎてて売ったから、一番古いのが二十年ほど前のです。

三十代初期に買ったのですが、色はかなり落ちてるけど、まだまだ現役ですよ。

それとジーンズは段々と自分自身に馴染んで、自分自身の体型の形になりますからね。

自分自身だけの物になると言う魅力が有ります。

二十年穿けるなら良いのを、です。

それと色落ちに関しては、やはり良いものが味わい深く落ちますよ。

僕の基本的考えです。

今は良いのを買えないけど、きちんとしたアメカジのメーカー買ってるから大丈ですね。

 

本当は欲しいの有るけど、まあ仕方ないです。

Mの店で、Aを交えて洋服談義をしてました。

Mは、カジュアルも着るしシックなのも着ましたね。

僕の前では、なるべくカジュアルなの着てましたね。

体型が良いのと、身長は高くはなかったけど体重は確、か一メートル五十五センチで四十一キロとかでした。

しかし、細いなあって感じではなくて、運動してたからか丁度良かったです。

胸も有りましたからね。

Mの店でそういう話しから、珍しくAが他県に行ってジーンズ買わないかと言いました。

僕の県の隣は、九州最大の都会ですからね。

豚骨ラーメン食べに行くのも良いし、たまには三人で行かない、です。

僕と二人では何度か行ってたけど、Mを誘うのは初めてでした。

Aは僕を指すと、こいつが何か買ってくれるよと笑いました。

僕は、Mはアメカジにそこまで熱心にならないだろうと思ってたから、行かないと安心してたら行くと言い出して、慌てましたがね。

三人で行く日を決めて、Aの車で行く事になりました。

高速使ってもけっこう当時はかかったから電車で行こうと言うと、俺なら速いから大丈夫と自信持ってました。

彼が乗ってたのがベンツでしたが、一度僕が乗ってたのはスカイラインGTSでしたが、負けると思ったから会社の同僚からスカイラインのGTRを借りて高速で競争したけど、ベンツはそんなに速くないぞでした。

直線で完璧に負けたからおかしいだろう、で言いました。

同僚のスカイラインGTRも手を入れてて相当速くて、普通のBMWとかなら勝負にならかった位ですからね。

聞くと、数百万円かけて改造してるとの事でした。

ポルシェに高速で負けたのが悔しくて、ポルシェに勝てる位にしたかったらしいですが、その後ポルシェに合わないんだと嘆いてましたね。

ベンツの皮を被ったスポーツカーでしたね。

しかし、ベンツと言えばヤクザってイメージ有るけど、普段乗ってたら乗りごごちは最高に良かったです。

当時は、父がシーマに乗ってたけど格段違いましたね。

その日も時間きっちりに僕の所とMの所を回って拾うと、Mがたまには前に乗りたいと言うから、何故かMが助手席で走り出しました。

皆カジュアルな格好で、特にMは短いTシャツ着て、へそのピアスが背伸びすると見えました。

Aは、Mちゃんが前だと似合いのカップルだよなと笑いましたが、Mから後ろの人そう言うのけっこう焼きもち妬くからね、と笑われました。

僕が焼きもち妬くの知ってましたからね。

車は高速に乗る前から車線変更繰り返して、どんどん他の車を抜いて行きました。

Aのテクニックは凄かったですよ。

Mは、その度に凄いと言ってましたね。

高速に乗ってからは取り締まりの場所を知ってて、そこだけはある程度スピード落としたけど圧倒的なスピードで次々抜きましたね。

Mは薄い青のお洒落なサングラス描けてて、僕とAはレイバンのティアドロップのサングラスを掛けてました。

僕は薄い茶色で、Aが黒でした。

僕が、こうして俺達もレイバンのサングラス掛けてジッポのライター持って羊モクを吸ってるなんて信じられないなと言うと、Aが軽く笑ってポケットからカルティエのライター出して投げました。

そして、こんなの欲しくなかったから要るならやると言って、ジッポのライターでマルボロに火をつけました。

Aは、カルティエなんてのはある程度年齢が行って持つのには良いのかも知れないけど、本当は俺の趣味じゃないんだと苦そうに言いました。

この車もだよ。アメ車の旧いのが欲しいと言ったらダメだったよ。

お前が前に乗ってた逆輸入のHONDAのシビックも、俺は見た時にあ!これ乗りたかったのだと思ったよ。

スカイラインに変えたのは意外だったけど長距離運転するから仕方なくと聞いて、なるほどだったなと言いましたね。

Mは、男ってそんなのに拘るけど二人は拘るよねと言ったから、Aに俺達が十代の頃はレイバンなんて夢だったし、俺はこいつの影響だよと微笑みました。

Mは笑いながら、この人ややこしいからね。そういうのにねと言って笑いましたが、Aがだけどそういう拘り持つってけっこう大事なのかもと思うよ、と言いました。

女の子は分からないけど、高いとか安いとか関係無くて自分自身の物を確立するって大事だよ、と静かに言いました。

       

隣県の店に着くと駐車場に入れて、喫茶店に最初入ってアイスコーヒー頼んで一服しました。

Mもアイスコーヒー飲みながら、二人が兄弟見たいねと笑いました。

確かにジーンズに白のTシャツでスニーカー、種類は違うけどアディダスでした。

髪もお互いジェルでオールバックですからね。

しかし、僕は身長一メートル六十八でしたが、Aは一メートル七十五を少し越えてました。

Mにどっちが弟だよと言うと、Mは珍しく難しい顔をして、時には貴方がお兄ちゃんの時もあるし弟のときもあるよ、と言いました。

二人のバランスが良いって事だよ。お互い欠けてる所を補ってるし、強い所をお互いで強化してる感じ。

私にはそういう友達居ないからね、と少し寂しそうに言いましたね。

Aは、俺達がいるじゃんと静かに言いました。

Mはそうだねと言うと、だけど女だからそこは入れないって有るんだよ、と返しました。

Aは頷くだけでしたね。

それから、ジーンズやアメカジの何度かAとは来てる店に入りました。

店の店員は覚えていて久しぶりですね、今日は彼女さんですかと二人に言ったから、Mがさあどっちの彼女でしょうと笑ながら言い返しました。

店員は明らかに困った顔をしてたから、僕がどっちでも良いじゃんと言うとTシャやアロハを見始めました。

そこは一階は新品を置いてて、二回は古着を置いてる当時は有名な店でした。

今は新品だけを置くのに変わってますし、雰囲気もまるで変わりましたね。

MもTシャツを見てたら、これ良いねとはしゃいで見せて来ました。

白にブルーでアメリカ的なイラストが何か書かれてましたが、メンズ物でした。

僕がこれのレディース無いのかと聞くと、店員が無いですねと言ってレディースは向こうですと指しましたが、Mはレディースはいまいちだったと残念そうに呟きました。

SサイズでもMには大きいですが、Aが裏を見たり触って店員に、買うからコインランドリーで洗って乾燥機にかけて来てくれと頼みました。

店員は、そういうサービスはしてないですと毅然と言ったら、Aがそこにあっただろうと言うと店員のポケットに二千円をねじ込むと、行って来いと言いました。

店員は明らかにAの態度に腹が立ってたような顔をしたので、Aがお客様は神様とは言わないけど、お前の態度次第ではこのあと数万円使うかも知れないのを他で買うぞ、と言いました。

他にも店は有るしそこで聞いてみるよ。コインランドリーに行ってくれないかなと。

そう言いながらもう一つ良く行く店にケータイを出すと掛けようとしました。

店員は慌てて、行きますと言ってTシャツ持って出ました。

洗って乾燥機に掛けたらかなり縮むんですよ。

僕も後にジーンズでそれをやって貰った事が有るけど、TシャツはAが始めてでした。

AはTシャツを何枚か買うと上に行こうかと言うと、階段で上に上がりました。

Mは初めてなので、上の古着に驚いてましたね。

リーバイスの良い色落ちのジーンズがショーケースにいくつも入ってるし、スウェットのレトロな感じの物やアロハの綺麗な物も有りました。

Tシャツはなかったですね。

Mはリーバイスの古着を見て高いねえと驚いてたけど、あ!これ良いねと指差しました。

Aが後ろから僕の方に来ると、足らなかったらと言って僕の後ろポケットに数万円ねじ込みました。

Mが言ったのを出して貰うと、やはりメンズでしたが腰のサイズが27インチでした。

メンズにしては細いです。

色落ちも良い古いタイプのリーバイス501でした。

しかし、履かずに合わせるとやはり太いんですよ。

レングスは珍しく少し長い程度でしたから、履いてみろよと言いました。

値段は、多分このメンズにしては小さかったから四万数千円でしたね。

店員に太いベルト持ってきてと言いました。

Mが履いて出てくると太かったですが、ベルトを通して絞めて見ました。

普段はわりと細目を履いてたけど、これはこれで似合いましたね。

後にPUFFYがこういうスタイルで出ますが、その少し前です。

色落ちは良いし上をある程度タイトにしてれば、Mのスタイルの良さが逆に目立ちましたね。

僕は、何度も鏡でMにあちこち向かせてベルトの位置とか変えました。

僕は自分自身服が好きなので、そういうのするの好きなんですよね。

これは後に男にもした位ですよ。

MもAも下から適当にレディースのTシャツを持ってきて、Mに合わせるように僕に渡しました。

Mは、これは良いねと言いましたね。

Mはファッションにはうるさかったから、嫌な時は嫌でしたね。

僕も良いよと言うとMが、買ってくれるんでしょと笑いました。

そのあと半分は出すから、貴方の持ってるGジャンくれない、と言いました。

LeeGジャンで、僕が着込んでた為に色落ちが良くなってたのをMは何度か欲しいと言ってたのを断ってましたが、思わずこれは払うしGジャンも冬に着れば袖だけ長いけどやるよと言ってしまいました。

Aが、流石男前だなと後ろで呟きました。

そうしてたら、Tシャツをコインランドリーから店員が持って来ました。

店員は不服そうな顔を隠してるようでしたね。

まだホカホカでかなり縮んでました。

Mは、Tシャツの上からそれを着ると丁度良いよと喜びました。

結局、僕はボーリングシャツの古着とキャップを買っただけでした。

AはTシャツを数枚と、同じようにボーリングシャツを買いました。

Mはジーンズにコインランドリーに持って行かせたTシャツと太目のベルトとキャップを買いました。

Mの分は全て僕が払いました。

足りなくなってAがポケットに入れたのを使いましたが、後で返すからと言うといいよと、Mちゃんが楽しんだんだからと言って断って来ましたね。

結局、Aと僕はジーンズは買わなかったです。

Mは店で着替えると、嬉しそうでしたね。

それに似合ってましたよ。

Mが似合ってる服を着てるのは僕にとっても幸福でしたし、それが自分自身が好きなアメカジなら尚更でしたね。

Aが、美味しい豚骨ラーメン食べに行こうと車を出して移動しました。

駐車場に入れると通りを三人で歩いてると、前から五人の同じ位の若者が歩いて来るとMに向かってこれから3Pか、と冷やかしました。

まさかそんな事を言われると思ってなかったから、唖然としながらも周りを探りましたがゴミバケツしか有りませんでした。

Aは素早く動くと一人を蹴ると、もう一人を殴ってる時に後ろから三人に捕まりかけてました。

僕はゴミバケツを持つと一人に投げつけて、走ってAを捕まえようとしてる一人にタックルして上からに何度か殴りつけました。

相手もタフでしたね。

Aから殴られても、持ち直して立ち上がって来てました。

僕は、少し先の店の前にデッキブラシを見つけました。

それを持つと、一人二人三人と剣道の要領で脳天を打ちました。

力の加減は無しですから、一人は何処かを激しく切ってアスファルトにボトボト血が落ちました。

Mの声が聞こえたから見ると、一人がMを捕まえようとしてました。

流石のMも逃げるのに必死で、それを見たAは道の横からブロックを取ると、Mを追ってる男に投げつけました。

そして、走って思い切り助走をつけながら飛び蹴りを相手の顎に入れました。

スローモーションのように、綺麗に顎に入るのが見えましたね。

そうしてると大きな声で、そこの君たち止めなさいと聞こえました。

制服の警察官が二人居て、後ろにパトカーが停まってました。

Aは、逃げるぞと言うと路地を指しました。

僕はMに合図すると、Mも走りました。

狭い路地をどんどん入って、最後は何かの店があるような地下に潜りました。

夜になったらバーか何かになるような所でしたね。

三人とも肩で息をしてましたが、幸いAと僕が擦り傷程度で済んでましたし、警察も僕らより向こうを捕まえようと動いたようでした。

地下の暗がりで煙草に火をつけると、Aが地下から顔を出すと一度上に上がって戻ってきました。

自販機でコーラを三本買ってきて渡しました。

三人とも喉がカラカラでしたから、一気に飲みましたね。

Mはクスクス笑ってました。

ハラハラドキドキだね、と楽しんでましたね。

貴方のデッキブラシも良かったけど、Aさんの膝蹴り見たと興奮してました。

僕も、あれは顎砕けたなと笑いました。

Aは、お前にやられたの一生治らないかも知れないぞと言うと、ニヤリと笑いました。

結局、しばらく隠れてそのまま車で帰りました。

Aは、ラーメンは残念だったけど仕方ないなと言いました。

それから三日ほどして、Mが出来たらAさんと飲みに来てと電話があったので、Aと二人で行きました。

Mはあの時に買ったTシャツとジーンズで店をやってて、二人でそりゃ水商売じゃないよと言うと、水商売嫌いだからねと笑われました。

Mに僕のGジャンを渡すと、やったー!!と言ってきました。

夏に着るのには大きかったけど、似合いましたね。

Mは、こないだラーメン食べられなかったから、お客さんに福岡のお土産でラーメン貰ってるから今食べるといって、お湯を沸かし始めました。

さっき団体のお客から沢山ぼったくったから灯りは消すと言うと、ラーメンが出来ると三人で食べました。

Aが、普通は飲んだ後のラーメンだけど、こういうのも美味しいなあと呟きました。

Mは、私の愛情エキスがはいってるからと笑いました。

その時に、Mが将来の夢って有るとAに聞きました。Aはまあ、この世界に入ったんだからある程度までの所に、死なないで行きたいなと言いました。

この人の夢は小説家だよと、僕を指して言いました。

Aは、トンネルの世界で上に上がるとかじゃないのかと言うと、Mちゃん書いたの読んだこと有るの、と聞きました。

意外だと言う感じはなかったですね。

Mは、短編読んだら偉そうだけど意外と良かった。

 

その代わり、字がミミズがはって踏まれたような字だよと言うと、クスクス笑いました。

Mはその後で、私にはそういうの無いからうらやましいと、少し寂しそうに言い僕の手を握りました。

何となく、初めてMを可哀想だと思って手を握り返しました。

この時の服を買いに行ったのは覚えてましたが、喧嘩をしたのは、これを書いてて思い出しました。

すっかり忘れてましたね。

三人とも二十代で元気が良かったなあと思います。

今度、仕事でAの墓の近くを通るので墓参りしながら、あんなのむちゃくちゃだよなと話しかけたいですね。

小説家にはなれないだろうけど、何とか生きてると伝えたいです。

おわり

「ガーターベルトの女」 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 番外編 番外編2 14 15 番外編3
「ガーターベルトの女 外伝」(フィクション編)
1
「新・ガーターベルトの女 
 2 3 4 5 6 7 8 9 10
Blogger 英訳ページへ

「無名魂」FC2ブログ
https://mumeikon.blog.fc2.com/
管理人 無名居士
ichiro73@softbank.ne.jp

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?