「オモテとウラ」の解説比較。アジアカップ初戦のトルクメニスタンでの違いは?

 サッカー日本代表は9日、AFCアジアカップUAE2019の初戦でトルクメニスタンと対戦し、先制されながらも3−2で逆転勝利をおさめた。

 同大会の日本代表の試合はNHK BS1とテレビ朝日系列で生中継されることになっているが、昨年のロシアW杯以降、代表戦では「裏解説」なるコンテンツがサッカー中継において定着し始めている。

 「大真面目に、言語化する」というテーマで「URA_KAISETSU/裏解説」という有料コンテンツを立ち上げた元日本代表で現サッカー解説者の戸田和幸氏の裏解説と地上波の表解説では、具体的にどういった違いがあったのか?

 この試合では両チーム合わせて5ゴールが生まれたが、各ゴール直後の解説者たちのコメントと、前半終了後、試合終了後の総括コメントを比較してみた。


■前半26分、トルクメニスタンのMFアマノフ(7番)のゴール/0-1

※本稿で使用する試合の画像は全て筆者が契約アカウントを保有するスカウティングシステム「Wyscout」で提供されている映像のスクリーンショットとそれを一部加工したもの。

NHK BS1(福西崇史氏) 

「すごいシュートではありましたけれども。ついていない部分があるにしてもミスが多いところ。そして誰かが行かなければというところがね、人数はいるので。凄いシュートですよ。そして権田にしても見えづらいというところはあると思うんですね。眩しくて」

テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「まさかと思いましたけどね。この距離から思い切り振ってきましたね。ワールドカップでもここから打つシーンって少なかったですからね」
中山氏 「そう考えるとたらればですけど、もうちょっと詰めていればという話になるんですけど」
松木氏 「気持ちの中で大丈夫だ、という思いがね」
中山氏 「ですね。全くプレッシャーをかけていませんでしたからね」
松木氏 「いや〜、ここからだな、ここから。まあ事故みたいなもんだから。忘れた方がいいね、今のは」

裏解説(戸田和幸氏)

「やっぱり(アマノフは)右足持っていますね。吉田が最初、少し距離を詰めてボールを横に出させたので。対応としては良かったと思うんですね。あと、その後の戻しのところが、ちょっとなんでしょうね、中盤の戻りが間に合わなかったというところはまあ、ありましたし。通常ここからシュートはないだろうというところから打っているので。まあ凄いシュートだな、というまず言い方にはなりますけど。ただ、この手のちょっとしたカウンターというか、序盤から続いていたじゃないですか? その理由は僕は日本側にあると思って。凄いシュートですけどね。そういう意味では、少し権田も準備不足だったのかもしれませんし。高さ的には処理できそうなところには飛んできているので。まあ、ちょっと嫌な展開にはなっちゃいましたよね」


■前半終了/0-1

NHK BS1(福西崇史氏) 

「上手く行かないな、という印象でしょうね。攻撃もそう。守備もそう。何かリズムも悪いし、やろうとしていることが相手もついてきているというのもあるので。まあ後半どうしていくかという、いろんなことを考えているんじゃないかなと思いますね。(修正ポイントは)ある程度攻撃のリズムじゃないですかね。ここから崩さなきゃいけない、というところでミスが多いので。その後切り替えてボールを取ろうとしているけれども、リズムが悪い分相手にリズムを与えてしまってボールが取れない。ここが上手くいかないので。その部分は変えていきたいですよね」

テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)※CM明け、後半開始直前

中山氏 「やはり攻撃の球離れですよね。そこを早くしたいですよね。今までのようにボールを持って出して、持って出して、ではなくて。そこを出して、出して、出してとワンタッチでつなげるようになってくると、相手も対応が遅れてくると思うんですよね。そういうタイミングを見計らった部分もあっていいのかなと思いますね」
松木氏 「(相手は)戻りの速いチームですから、戻る前に。相手のDFが自分のゴールに向かっている時に球が供給されるようにならなきゃいけないと思いますね」


裏解説(戸田和幸氏)

「ボールは持てましたよね。ボールは入るんですけど。入れ方とか、入れた後の部分も含めて、序盤から狙いすぎな感じはありますね、という話はしたんですけど。それが少しずつカウンターにつながっちゃったり。で、失点してしまったので。確かにあまり良くはないと思います。ちょっと気にはなっていますね」


■後半11分、日本のFW大迫勇也のゴール/1-1


NHK BS1(福西崇史氏) 

「コントロールから切り替えをしたところでもう、ある程度DFもついて行きましたし、余裕がありましたね。ワンコントロール目に良いところに置けたので、相手はシュートが来るだろうということでコースを切りますよね」


テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「サイドから速いボールで仕留めたね。大迫半端ねぇ、だよね。本当」
中山氏 「上手いですね〜。(上手さはどのあたりにあったのですか?)まずコントロールして、左足で打てるところに置いているんですよね。それによって多少キックフェイント気味に構えたことによって、相手はそこに入ってきますよね。そこからかわして、フリーでコースを狙えている。ここの一連の流れですよね。スムーズでしたしね。自分の意図したところにボールを置けているというところがまず」


裏解説(戸田和幸氏)

「でもこれでいいんじゃないですかね。幅は取ったと思うから。僕はできれば走ってほしかったですけど、長友に。でも、走らなくても得意なポジションで、質の部分で上回ったので。低いボールが入ったじゃないですか。原口がやっぱり外から仕掛けたから、この場面が作れたと思うので。はい。(大迫は)上手いですね。よく見えていましたね。間接視野だと思うんですけど。だからまあ、その人の能力、特徴をちゃんと発揮できる場所でプレーさせなきゃいけないですし、これでいいと思いますけどね」


■後半14分、日本のFW大迫勇也のゴール/2-1


NHK BS1(福西崇史氏)

「(ラッキーな部分もありましたが?)そうですね。ただ、ここに長友がいるということ。そして、原口とのコンビで相手を惑わしているということ。単純ではあるところですけど、相手が嫌がっているし、点は生まれていますので。サイドで高い位置を取れているというのは今、非常に効いていますね」


テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「いや〜、よく追っかけましたね。いやいや見事、見事。さあ、これで向こうがまた来るからもっとスペース空くからね」


裏解説(戸田和幸氏)

「良かったですね。(拍手)言った通りですね。話をさせてもらった形が出てくれると、とっても嬉しいですね。(まさにこれですもんね?)はい。揺さぶった時に、内側、深い位置も取りに行きましたけれど。はっきり言えば、守備側のミスだと思うんですよ。ボールの動かし方と、そこに入っていく意識はすごく良かったですね。入れ替わっちゃたんですよね、4番のサパロフがね。でも修正しましたね。何か言ったな。前半とは左サイドの位置関係が変わりましたからね」

■後半26分、日本のMF堂安律のゴール/3-1


NHK BS1(福西崇史氏)

「素晴らしいですね。ただ、相手が見ていると、もう切れたんじゃないかというところだと思いますけど。ボールを回している時にもう、諦めかけている選手も中にはいるので。この辺りの疲労と、ちょっとどうしようもないというところはあるんじゃないですか。いや、素晴らしいコースですよ」


テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「素晴らしいね。今クルッと回って。このダイレクトがね。アブダビターンだよね、これ」
中山氏 「一瞬後ろを見ているんですけどね」
松木氏 「いや〜、いいコースに飛んでいるね」


裏解説(戸田和幸氏)

「崩しもいいんですけど、あそこでシュートを打とうという考えを持っているいことがいいですね。ここのボール(=柴崎からの縦パス)はカウンターにつながりそうだなと思いましたけど。あの体勢で、ですよ。これでシュートを考える選手と、そうじゃない選手がいますから。彼は明確に、常にゴールを意識しているので。シュートを打ちましたけど。うーん、頼もしいですね。一瞬しかないですからね、シュートって」

■後半33分、日本のGK権田修一がエリア内でアンナドゥルディエフ(17番)を倒してPKを取られたシーン/その後PKを決められ3-2


NHK BS1(福西崇史氏)

「この時、取られるかもしれないという時にもう遅れているんですよ。こういうところの準備というのは切れていましたね。ちょっとの油断だと思います」


テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「これイエローカードとか出ないといいんだけどね。自分たちのボールから、まあ一つなんですけど。ちょっとポジションがね」
中山氏 「北川がね、狙われましたね。そうですね、攻めに行こうという姿勢で離れている時でしたね」
松木氏 「やっぱり一人残っている選手に対するケアは点差が開いてもDFラインね。大事ですからね。自分のミスですからね、権田ね。(PKは)相当集中していると思います」


裏解説(戸田和幸氏)

「ただ失い方が良くなかったですよね。GKのところを言及するのは難しいですけど、ただ失い方のところを考えなければいけないですよね。ここかぁ。北川のところかぁ。自分でターンをしようとしたんですね。確かにアンナドゥルディエフ、よく狙っていましたね。(PKで失点後)失い方は良くなかったですね。あとは場所を考えた時に、失った後のところがどうだったのか、というのがもう一つ。あそこの中央のところがあんなに、こんなにですよ、空いていいことではないですよね。まだ(ボールが)ハーフラインを越えていないですから。確実に安全な状況まではたどり着けていないので。そういう意味では、少しボールを保持している、まあミドルゾーンにボールが入った時の、何でしょうね、楽観的過ぎたというか。前にしっかりとボールが運ばれていくだろう、というところでポジションを取ってしまっているようには見えますね」


■試合終了/3-2

NHK BS1(福西崇史氏)

「まず最低限の勝ち点3を獲れたというところで良かったなとは思います。が、最初の入り。そして、最後の締めというんですかね。やっぱりちょっとリズムは悪かったですから。気になるところではあります。これは少しずつ、結果を出しつつ、チームを上げていくという段階ですから。この結果を元に、次の試合でどう、よりチームがレベルアップしているか。そういうところにはつなげてもらいたいですね」


テレビ朝日(松木安太郎氏、中山雅史氏)

松木氏 「今日は本当にアジアカップの初戦らしいね。ただよく、ベテランがね。本当にいいプレー。そして若手につなげました」
中山氏 「厳しい試合だったなと。トルクメニスタンの秘めた力を思い知らされた試合でしたね」
松木氏 「しびれるゲームでしたよ」


裏解説(戸田和幸氏)

「とりあえずですけど、前半しっくり来ず、後半修正をし、最後はヒヤッとするという。やっぱり何でしょうね、ちょっと間が空いて、合宿はしましたけれど全員揃わず。きちんと多分揃って試合ができたのは直前の1試合だけ。コンディションもばらつきがある。難しい試合だったのは間違いないですよね。こういう試合でお互いの連携と大会の雰囲気、レベルを感じた中で修正をして勝てたのであれば、次にはつながるのかなと。もちろん、勝ち点3を獲ったので、とは思います」

<了>

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